人形

なゆか

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2-2 押し付けた罪の重さ

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山台が休んで3日目の朝

俺が羽黒に住所を教えたせいで、
また山台が被害を受けているんじゃ無いかと
ここ2日、不安で眠れなかった。

「わー山台さん、可愛くなってる!」

クラスメイトの声に顔を上げると、
山台が登校して来た。

「どうしたの?超可愛いじゃん!」

なんて女子達に騒がれながら、
山台は俺に近づいて来る。

確かに前と違い、化粧をしているのか肌は白く、
髪がストレートのパッツン…

制服は着ているが、顔が完全に日本人形みたいに
なっている。

俺に笑みを浮かべて、
会釈をして来た。

俺が濡れ衣を着せたせいで
酷い目に遭ったのに…なんで…

羽黒「トキ」

羽黒にそう呼ばれて
山台の顔は嬉しそうに微笑んだ。

羽黒「僕のトキ、こっちに来なよ」

山台は羽黒の元に近付き、
膝の上に座った。

山台の行動に教室内が静まり返る。

やっぱり、俺のせいで山台は羽黒に
何かされたんだと分かった。



「なぁ…赤戸のせいだろ、アレ」

「お前が嘘つくから…」

クラスメイトに小声で非難される。

非難されても仕方ない事をした、
ただ、クラスメイトに言いたい事があった。

赤戸「お前らだったら、
羽黒に逆らう事が出来たか?」

俺は出来なかった。

赤戸「どうすれば良かったんだ?」

嘘つくしか無かった。

赤戸「俺は…」

「自業自得だろ」

「本当それ、一年の時も羽黒君に
嫌がらせしてたじゃん」

「赤戸のせいで、山台さん可哀想」

そう俺はすぐにクラスメイト達から
突き放された。

あぁ、そうだ…俺には
味方が居ないんだった。



羽黒は授業中関係無く、山台を膝に乗せて
髪を梳かしたり、頭を撫でたりしている。

羽黒「あ…ここにまだ痛んだ髪ある」

羽黒は山台の髪をハサミで切り出し、
ぱらぱらと床に髪の毛が落ちていく。

何で…先生も誰も何も言わないんだ。

羽黒「このくらいかな」

前を向いている山台が
どんな顔しているのか分からない。

でも、あんなに優しく頭を撫でられている。

赤戸「…羨ましい」



赤戸「羽黒っ」

俺は山台と下校しようとしている
羽黒を呼び止めた。

羽黒「何」

俺のせいで山台は…俺のせいで…

赤戸「山台の事」

羽黒「彼女はトキだよ。
もう僕の人形だから」

赤戸「…俺も」

羽黒「は?」

赤戸「人形にしてくれよ」

そしたら、きっと
俺にも優しくしてくれる…

赤戸「いいだろ…」

前に羽黒に切られた傷跡を指でなぞる。

赤戸「コレ付けたの羽黒だから」

俺には味方は居ない…だったら…

赤戸「責任持って
俺の事も人形にしてくれよ」

羽黒「いいよ」

羽黒はすんなり承諾してくれた。

クラスメイト達から、
冷ややかな目で見られるが構わない。

だって、今後は羽黒に
大切にしてもらえるから…
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