人形

なゆか

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3 おかしな生徒達

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私が副担任として
受け持つクラスはおかしい。

副担任「あのっ羽黒君に
誰も注意しないんですか?」

担任「あぁ、気にしたら駄目だ」

羽黒君はいつも人形を持っていて、
休み時間ならともかく、
授業中も人形を出して、髪を梳かしたり
話し掛けたりしている。

それを気にしないなんて
おかしな話である。

副担任「それに去年の話聞きましたが、
羽黒君を揶揄った生徒達が
退学処分になったそうじゃないですか。
それに山台さんが
大怪我を負ったのも羽黒君が…」

担任「余計な詮索をするな。
羽黒に対しては、放置するのが正しい事だ」

羽黒君のご両親の圧力なのか、
とにかく、こんな事
実際にあるんだなと思った。



副担任「え、何してるの…山台さん」

休み時間、クラスの様子を見に行った時
山台さんが羽黒君の膝の上に座っていた。

羽黒「彼女はトキ」

副担任「山台さんでしょう」

羽黒「僕の人形のトキだよ」

副担任「何を言ってるの、山台さんは
羽黒君の人形なんかじゃないわ」

山台さんは私に微笑んでくるが、
こんなのおかしい。

羽黒「この欠陥品は僕のだよ」

副担任「人の事を欠陥品だなんて」

担任「ちょっといいか」

私は血相を変えた担任に腕を掴まれ、
職員室まで引き摺られた。

担任「羽黒には構うなと言っただろ」

副担任「そんなこと言われても、
虐めを見逃すことは出来ません」

担任「虐め?」

副担任「山台さんは、羽黒君の膝の上に
黙って座っていたんですよ?
虐めじゃ無いですか」

担任「…いいから、構うな」

副担任「教師として見過ごすことなんて」

担任「構うな」

担任はその一点張りだった。



数日後

副担任「赤戸君まで、何をしているの!」

羽黒「彼はウィリアム」

赤石君の口に線が引いてあり、
異様に長いつけまつ毛…

日本人形みたいな山台さんとは違い、
腹話術人形みたいにされてしまっている。

副担任「…赤石君でしょう」

羽黒「ウィリアムだよ」

副担任「何を目的にしているのか
分からないけど、これ以上虐めは」

羽黒「虐め?
この子達は僕の人形になりたがったから
そうしてあげてるだけ」

副担任「ふざけないで、
そんなわけないじゃない」

羽黒「それなら、僕の人形達に聞いてみなよ」

羽黒君の膝に座る山台さん
羽黒君の足元に座る赤戸君

副担任「2人とも、羽黒君に
何か弱みでも握られたの?
先生が何とかするから何か言って」

そう聞くと、山台さんと赤戸君は
口を大きく開いた。

副担任「…え」

2人の口の中に舌が無かった。

副担任「…切ったの?」

羽黒「人形は喋らないから、
舌は必要無いよ」

こんな異常な事があっていいの?

副担任「警察に行くわ」

こんな事、私1人じゃ手に負えない。

親がどうなのか分からないけど、
学校側が放置した結果、
犠牲者が出てしまっている。

羽黒「警察?」

副担任「舌を切るだなんて…
それに、人形扱いなんておかしいわ」

羽黒「そう思ってるのは先生だけ、
2人ともこんなに大事にしてあげてるんだから
幸せでしょう」

副担任「これのどこが幸せなのよ」

舌を切られて、喋らなくさせてる時点で
幸せなわけがない。

副担任「こんな事許されない」

私の言葉に羽黒君はカッターを出した。

羽黒「今まで誰も
口出しして来なかったのに、
先生はおかしいよ」

副担任「それで2人を脅したの?」

カッターの刃を出し、私に向けて来るが
舌を切られてる2人は
もっと酷い仕打ちを受けたに違いない。

副担任「それを下ろしなさい」

羽黒君は意外にも私の言葉を聞き入れ、
カッターの刃を納め床に落とした。

羽黒「それで?
警察に行けばいいの?」

副担任「え…そうね、とにかく
2人に何をしたか話しを聞いてから」

羽黒「ただ僕は2人を
人形にしてあげただけ」

羽黒君は山台さんと赤戸君の頭を撫でた。

羽黒「でも、僕が警察に行ったら
しばらく一緒に居てあげられないね」

そう言うと、2人は私の前に立ち塞がり、
口をパクパクと動かした。

舌を切られ、何と言っているのか
聞き取れないが手を広げ羽黒君を
守ろうとしている。

副担任「…洗脳されてるのね」

早く気づいてあげれば、
こんな事にはならなかった。

副担任「ごめんなさい、
教師として、こんな事は
見過ごす事は出来ないわ」

私は謝ると、2人は手を下ろした。



それから、羽黒君を警察へ
向かわせようとしたが
担任に止められた。

それを振り切り、警察へ行くと
私が未成年に手を出したという密告が
あったとし、羽黒君ではなく
私が罰せられる事となった。

冤罪で服役中、
担任が面会に来て、羽黒君やあの2人は
どうなったと質問するが、
今までと何も変わらないと言われた。

私が何かを言ったところで、
現状は変わる事がなかった。

虚しい…

羽黒君がどんな生徒なのか知っていたら、
2人を人形にする前に
止められていたのかもしれない…

もっと、早くに気づけていれば…
何か変わっていたかもしれない…

私は教師失格だ。
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