ヒロインポジション

なゆか

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渡り廊下

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私は走り、7時40分に校門を駆け抜けた。

これなら余裕で間に合うな…

私は昇降口を過ぎ、渡り廊下に差し掛かった時
校内マップ前でウロウロしている男子が目に入る。

時刻は7時43分。
残り5分なら、道案内しても間に合うだろう。

多田「目的地は?」

菊間「え」

多田「どこに行きたいんですか?」

菊間「見ず知らずの俺に声を掛けるなんて、
君はとても親切だね」

多田「一年生?」

菊間「違うよ、こんな時期の転入生なんだ」

多田「ネクタイの色、同じだね」

同じ色の為、同い年だと分かる。

菊間「そうだね」

多田「目的地は職員室?」

菊間「うん、案内お願いするよ」

私より可愛い顔して、
微笑みを向けて来る転入生。

菊間「俺、菊間大一。
君と同じクラスになれならいいな」

多田「やばい」

菊間「え?」

多田「あ…あと、2分」

菊間「2分?」

多田「じゃあね、総受け転校生」

菊間「…え、何…そ…総受け?」

この手の女顔は誘い受けで、総受けだなと
勝手に決めつけた。

菊間「ちょっと、待ってよ。
君の名前は?」

多田「名乗るモンじゃ…」

菊間「そのセリフは言い切ってよ」

私は走って、その場を後にして、
7時48分ピッタリに教室に駆け込む。



ガラガラッ

多田「ふぃー」

真嶋「おい」

私よりも先に教室に居た同じクラスの
総受けズはこちらに近付いて来た。

多田「どうしたの、総受けヤンキー」

真嶋「その呼び方やめろって言ってんだろ」

定木「そうですよ、多田さん。
周りに誤解を招くような事を言うなんて
どんな教育受けてきたんですか?」

多田「総受け優等生」

定木「…」

真嶋「つか、総受け総受け言ってっけど
お前こそ、総受けだろ」

多田「違う、私はただのノブ」

真嶋「モブだろ、言い間違えんな」

総受けヤンキーに文句を言われながら、
私は自分の席にバッグを置き、引き出しに
教科書を入れる。

定木「真嶋君は、そっち界隈の事
本当によく知ってるんですね」

真嶋「従兄弟がって話しただろ。
普段根暗な癖にBLの話になると饒舌になる
イカれ女だ」

定木「変な親戚が居ると大変ですね」

真嶋「お前にも居るのか?」

定木「親戚ではないですが、
中学の同級生がそういうの好きで
まぁ、BLじゃなくて女の子同士の方ですけど」

真嶋「そんなのもあんのか」

定木「百合っていうみたいです」

真嶋「へぇ」

総受け同士仲良しだなと
私はベランダに出ると2人とも着いて来た。

多田「話が弾んでいるようだね、総受けズ」

真嶋「殺すぞ、テメー」

定木「それで多田さんは朝、
誰も居ない教室のベランダに出て、
やましい事でもするんですか?」

多田「え?」

定木「この時間に走ってまで登校する理由は、
多田さんなら、そういう事かと思いまして」

どういう事だよと否定する。

多田「そんな事しないよ」

定木「なら、何でこの時間なのですか?」

多田「ルーティンだから」

定木「そのルーティンを始めようとしたきっかけは?」

多田「凄い質問してくるじゃん、総受け優等生」

定木「僕がBLで総受けだとしたら、
多田さんは百合で総受けですね」

言い返して来た総受け優等生は、
中から窓を閉めた。

多田「なんで閉めるの!
私は何事にも前向きに総攻め」

窓を叩きながら、否定を続けるも
2人とも鍵を開ける様子はない。

真嶋「なら、後ろ向きは総受けって?
意味分かんねーよ」

定木「ちゃんと僕らを名前で呼ぶのと、
この時間に登校して、ベランダに出た理由を
話したら、開けますよ」

多田「えー」

シャッ

カーテンを閉められ、再び窓を叩く。

多田「分かった分かった!
言うから!でも、今はそれどころじゃない」

私は窓に背を向けた。
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