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一線超えた報復
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推しに花瓶を買いに行かせてから、
3日が経過した。
あれ以降、推しが登校して来ていない。
名原「三田」
三田「…ぇ…名原さん?」
なんで声掛けられて驚いてんだよと思うが、
この感じで裏でやる事やってたり…
名原「九戸、来なくなったね」
三田「…あぁ…うん…そうだね」
名原「どうしたんだろうね」
三田「…サボってるだけじゃ無いかな」
名原「普段イキってるし、
やばい人に突っかかって拉致られてたり」
三田「九戸君は、そんな事出来ないと思うよ。
サボってるだけか、ただの病欠かだよ」
名原「よく分かってんだね」
三田「名原さんに言われてから
色々考えてみたんだ。
それで、九戸君が高圧的なのは
俺だけだなって」
棒立ちして考えた結果、
それが判明したってことか…
三田「俺が居ない時は、いつも1人で浮いてて…
可哀想な人なんだなって」
そこが九戸の推し要素なんだよね。
三田「登校して来たら…」
と三田が何か言おうとした時、
九戸が教室に入って来た。
手には袋を持っていて、
私達を見つけると近付いてきて
不服そうな顔を向けてくる。
九戸「…花瓶買って来てやったからな」
九戸は袋から花瓶を出した。
九戸「…俺が…割ったから」
ぼそぼそ言いながら、花瓶を
差し出してくる九戸。
しおらしい推し可愛すぎるなと、
受け取ろうとするが…
ガシャンッ
横から三田が九戸の手を叩き、
花瓶が再び床に飛び散った。
九戸「て…てめーなにすんだよッ」
そりゃ怒るよなと、突然の三田の行動に
私でも驚いた。
三田「まず、謝罪が先だろ」
九戸「は?」
三田「あと、同じ花瓶じゃなかった」
九戸「ふざけんなよッ」
九戸は三田に飛び掛かるが、
すぐに床に押し付けられ
割れた破片の上で九戸は悲鳴を上げた。
名原「ちょっ…何やってんの!」
私は三田の腕を掴む。
三田「止めるんだね」
名原「…血出てるし」
三田「破片の上に押し付けてるからね」
三田って、怒らせるとヤバいタイプだったのか…
九戸「痛ぇッ!
早く放せッ許さないからなッ」
九戸が暴れ、三田は手を放した。
九戸「クソッ…破片が…」
もっとギャンギャン怒るかと思ったが、
九戸は破片が刺さったのか
血が出てる手を見ながら
青ざめた顔をしている。
名原「えと…とりあえず、水道で…
破片入ってるから…擦らないように」
九戸「…う…うるさい」
九戸はヨロヨロと教室から出て行った。
名原「…やり過ぎじゃ」
三田「そう思う?」
名原「…確かに…いじめられてたのは、
三田だけど…その」
いじめ被害者が加害者に報復するのは、
因果応報だし、今まで無視してきた私が
止める権利はない。
ただ…推しがクズでも
物理的に苦しむ姿は見たく無いなと
三田を見ると、手から血が出ていた。
名原「三田も手が…」
三田「…あぁ、そうだね。
洗って破片出さないと」
痛がる素振りのない三田は、
血を床に垂らしながら教室から出て行った。
この状況に普段は面倒事だと無視していた
クラスメイト達すら騒然としている。
「名原、ここは片しとくから
三田の事追いかけた方がいいんじゃない」
「確かにトドメ刺しに行ったのかもよ」
不謹慎な言動にも程あるな…
関わったのは私からだし、
多分押し付けられたんだなと
私は三田達の後を追う。
~
クラスメイトの予感的中だった。
名原「うわ…やばいでしょ」
三田が九戸の胸ぐらを掴んで、
窓から落とそうとしている。
名原「ちょっと!」
堪らず駆け寄り、
とりあえず九戸の身体を掴む。
三田「謝らなかったから」
名原「流石にまずいでしょッ
とにかく、手放して!」
三田「分かった」
三田は手を放すが、
九戸の重心が窓の外の為、
窓から落ちそうになる。
名原「ゔッ…三田ッ…三田!」
気絶してんのか九戸の身体はだらんとしていて
流石に私の力だけじゃ支えきれない
やばい、九戸が落ちちゃう…
三田「どうしたの」
名原「どうしたのじゃないッ…ぁッ…」
やばい…やばい…やばいやばいやばいッ
名原「はぁッ…はッ…やば…ぃッ」
本当に落ちる…やばい…どうしよう…
名原「三田ッ…三田!」
三田「謝らないから」
名原「謝らすからッ…早く…」
今の状況に気づいた生徒の声や、
外に居る生徒が騒ぎ出す。
騒ぐな、誰か助けに来いッ
三田「…」
ようやく、三田の手が伸び
九戸と共に廊下に倒れ込んだ。
名原「はッ…はッ…はぁッ」
身体が震える…本当に落ちそうだった…
私にもたれ掛かって気絶してる九戸の
顔は殴られたのか頬は腫れ、
口元から血が出ている。
三田「そんなに泣く程、
必死になる事?」
名原「信じられない…今ッ…人殺そうとッ」
三田「謝らないから」
名原「謝らないからって…おかしい…」
三田「…そっか」
誰かが呼んでくれたのか、
やっと先生が来て、気絶してる九戸は
運ばれ、私と三田は職員室に向かった。
~
「そもそも、九戸が三田の事を
いじめていたわけだしな」
担任と学年主任を交えて、
さっきの状況について、話し合ったが
何故か三田の報復は
仕方ないという結果になり
三田は厳重注意のみだった。
確かにいじめてた九戸に非はあるけど
限度があるだろ…
それなのに、仕方ないで済ますって…
名原「…おかしいでしょ」
「名原は不服そうだが、これ以上
どうすることも出来ないだろ?
九戸が落ちなくてよかったじゃないか」
なんなんだよ、それ…
まともなの私だけなわけ?
三田「…」
3日が経過した。
あれ以降、推しが登校して来ていない。
名原「三田」
三田「…ぇ…名原さん?」
なんで声掛けられて驚いてんだよと思うが、
この感じで裏でやる事やってたり…
名原「九戸、来なくなったね」
三田「…あぁ…うん…そうだね」
名原「どうしたんだろうね」
三田「…サボってるだけじゃ無いかな」
名原「普段イキってるし、
やばい人に突っかかって拉致られてたり」
三田「九戸君は、そんな事出来ないと思うよ。
サボってるだけか、ただの病欠かだよ」
名原「よく分かってんだね」
三田「名原さんに言われてから
色々考えてみたんだ。
それで、九戸君が高圧的なのは
俺だけだなって」
棒立ちして考えた結果、
それが判明したってことか…
三田「俺が居ない時は、いつも1人で浮いてて…
可哀想な人なんだなって」
そこが九戸の推し要素なんだよね。
三田「登校して来たら…」
と三田が何か言おうとした時、
九戸が教室に入って来た。
手には袋を持っていて、
私達を見つけると近付いてきて
不服そうな顔を向けてくる。
九戸「…花瓶買って来てやったからな」
九戸は袋から花瓶を出した。
九戸「…俺が…割ったから」
ぼそぼそ言いながら、花瓶を
差し出してくる九戸。
しおらしい推し可愛すぎるなと、
受け取ろうとするが…
ガシャンッ
横から三田が九戸の手を叩き、
花瓶が再び床に飛び散った。
九戸「て…てめーなにすんだよッ」
そりゃ怒るよなと、突然の三田の行動に
私でも驚いた。
三田「まず、謝罪が先だろ」
九戸「は?」
三田「あと、同じ花瓶じゃなかった」
九戸「ふざけんなよッ」
九戸は三田に飛び掛かるが、
すぐに床に押し付けられ
割れた破片の上で九戸は悲鳴を上げた。
名原「ちょっ…何やってんの!」
私は三田の腕を掴む。
三田「止めるんだね」
名原「…血出てるし」
三田「破片の上に押し付けてるからね」
三田って、怒らせるとヤバいタイプだったのか…
九戸「痛ぇッ!
早く放せッ許さないからなッ」
九戸が暴れ、三田は手を放した。
九戸「クソッ…破片が…」
もっとギャンギャン怒るかと思ったが、
九戸は破片が刺さったのか
血が出てる手を見ながら
青ざめた顔をしている。
名原「えと…とりあえず、水道で…
破片入ってるから…擦らないように」
九戸「…う…うるさい」
九戸はヨロヨロと教室から出て行った。
名原「…やり過ぎじゃ」
三田「そう思う?」
名原「…確かに…いじめられてたのは、
三田だけど…その」
いじめ被害者が加害者に報復するのは、
因果応報だし、今まで無視してきた私が
止める権利はない。
ただ…推しがクズでも
物理的に苦しむ姿は見たく無いなと
三田を見ると、手から血が出ていた。
名原「三田も手が…」
三田「…あぁ、そうだね。
洗って破片出さないと」
痛がる素振りのない三田は、
血を床に垂らしながら教室から出て行った。
この状況に普段は面倒事だと無視していた
クラスメイト達すら騒然としている。
「名原、ここは片しとくから
三田の事追いかけた方がいいんじゃない」
「確かにトドメ刺しに行ったのかもよ」
不謹慎な言動にも程あるな…
関わったのは私からだし、
多分押し付けられたんだなと
私は三田達の後を追う。
~
クラスメイトの予感的中だった。
名原「うわ…やばいでしょ」
三田が九戸の胸ぐらを掴んで、
窓から落とそうとしている。
名原「ちょっと!」
堪らず駆け寄り、
とりあえず九戸の身体を掴む。
三田「謝らなかったから」
名原「流石にまずいでしょッ
とにかく、手放して!」
三田「分かった」
三田は手を放すが、
九戸の重心が窓の外の為、
窓から落ちそうになる。
名原「ゔッ…三田ッ…三田!」
気絶してんのか九戸の身体はだらんとしていて
流石に私の力だけじゃ支えきれない
やばい、九戸が落ちちゃう…
三田「どうしたの」
名原「どうしたのじゃないッ…ぁッ…」
やばい…やばい…やばいやばいやばいッ
名原「はぁッ…はッ…やば…ぃッ」
本当に落ちる…やばい…どうしよう…
名原「三田ッ…三田!」
三田「謝らないから」
名原「謝らすからッ…早く…」
今の状況に気づいた生徒の声や、
外に居る生徒が騒ぎ出す。
騒ぐな、誰か助けに来いッ
三田「…」
ようやく、三田の手が伸び
九戸と共に廊下に倒れ込んだ。
名原「はッ…はッ…はぁッ」
身体が震える…本当に落ちそうだった…
私にもたれ掛かって気絶してる九戸の
顔は殴られたのか頬は腫れ、
口元から血が出ている。
三田「そんなに泣く程、
必死になる事?」
名原「信じられない…今ッ…人殺そうとッ」
三田「謝らないから」
名原「謝らないからって…おかしい…」
三田「…そっか」
誰かが呼んでくれたのか、
やっと先生が来て、気絶してる九戸は
運ばれ、私と三田は職員室に向かった。
~
「そもそも、九戸が三田の事を
いじめていたわけだしな」
担任と学年主任を交えて、
さっきの状況について、話し合ったが
何故か三田の報復は
仕方ないという結果になり
三田は厳重注意のみだった。
確かにいじめてた九戸に非はあるけど
限度があるだろ…
それなのに、仕方ないで済ますって…
名原「…おかしいでしょ」
「名原は不服そうだが、これ以上
どうすることも出来ないだろ?
九戸が落ちなくてよかったじゃないか」
なんなんだよ、それ…
まともなの私だけなわけ?
三田「…」
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