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何故そうなる⑤
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金曜日
朝、更衣室にて
バンッ
那須野「今日は一週間の学校登校最終日!
熊ダイブは個性豊かな同級生達+後輩に
邪魔され、失敗に終わって来た」
「那須野ー、何1人で喋ってんだよ。
早く来い!」
私は監督に怒られ、校庭に出る。
那須野「月曜は明地君、火曜は八木岡、
水曜は夏穂さん&秋緒君、木曜は瑠璃君…
こう来たら、もう今日は村野君でしょ!」
一美「監督にタメ口使わない!」
那須野「痛い!」
~
朝一から、今日こそはと意気込んでいたが
外周を走りながら、嫌な予感がしていた。
そして、朝練後
私は自分の財布をすぐに開けた。
那須野「私は決意した…」
そして、財布を閉じる。
一美「…ほぼ空だったわね」
那須野「今の所持金は、15円」
一美「今月始まったばっかりなのに」
この1週間は、月の1週目である。
那須野「…そりゃあ、お金掛かりますわ…
クッキーはいいよ!
でも、ビッグシリーズはやばかった」
軽過ぎて、薄過ぎる自分の財布を
ポケットにしまい、絶望する。
那須野「うわーッ!
お金が無い!」
私は立ち尽くし、
空…いや、天井を見上げる。
一美「うるさい、早く歩け」
那須野「今月どう乗り切ればッ!」
一美「計画性無さすぎ」
那須野「いや、昨日ジュースを
皆に奢ったのが最大のミスよ」
昨日、部活前に秋緒君に捕まり
朝集まっていた全員分の
ジュースを奢る羽目になった。
一美「ドンマイ」
那須野「いや、一美もちゃっかり
紅茶のボタン押してたよね?」
一美「終わった事を後から文句言わないで、
ほら、今後どうするかを考えて」
私は目を閉じ、昨日先輩からの
達成感凄くなりそうって言葉が頭をよぎるが
所持金無さすぎて、現実に引き戻される。
そして、深呼吸をして目を開ける。
那須野「…もう諦める事にする」
ゴトッ
そんな私の決意に、
一美は信じられないという顔をして
いじっていたスマホを落とした。
一美「えっここまで来て、辞める気⁈」
那須野「うん、お金無いし」
一美「…えー、そっかー…」
一美は、落としたスマホを拾いながら、
悲しい顔をしている。
那須野「一美…
悲しんでくれるんだね」
私は涙ぐみ、一美を見ると
一美「明地君と
話す機会無くなっちゃうのかー」
バンッ
那須野「サイテー!
このミーハーがッ!」
一美への友情は、怒りに変わった。
私は村野君の背中を見つけ、
怒り任せに走り出した。
那須野「もうなるようになれッ
献上品無しで、訴えられても構うものかッ」
私は人をかき分けながら叫んだ。
那須野「村野君ッ!!!」
ザワッ
こんな生徒が結構居る廊下で
女子が男子を大声で呼び止めるとか
告白する気かと思われたかもしれない…
そんな誤解も、どうにでもなれ!
皆の視線が私に突き刺さり
周りが気を利かせ、
私から村野君への道が開かれた。
村野「ん?
あーいつも食べ物くれる子」
村野君は私に手を振った。
那須野「行くか」
私はザワザワする生徒の視線を
気にせずに再び走り出した。
那須野「くーまーッ」
ザワッ
?「なんだ?」
私は涙目になっていて
ちゃんと前を見ていなかった。
那須野「ダーイッ」
ダッ
私は跳ねる。
那須野「ブッ!!!」
どさっ
?「なッ」
この感触…絶対村野君じゃない…
そして、静まり返る廊下。
那須野「……ぅ…」
私は顔を上げると、
なんとも言えない顔をしている生徒指導の
滅茶苦茶恐い鷹町先生だった。
鷹町「生徒指導室に来い」
那須野「…はい」
~
私は生徒指導室で立たされている。
那須野「申し訳ございませんでした」
八木岡「まだ、あのくだらない事を
やっていたのかッ」
何故か八木岡まで居る。
八木岡「普段からふざけて
恥ずかしくないのかッ」
那須野「すみませんでした」
私の目には涙が溜まっていて
今にも溢れそうだが、
泣きそうなのは八木岡に怒鳴られてでも、
鷹町先生に説教されたからでもなく、
熊ダイブが出来なかった事に
ショックを受けていた。
那須野「…ぅ」
私は顔を上げられずに俯き続けると、
遂に涙が床に溢れた。
鷹町「那須野は、
何をしようとしてたんだ?」
私が泣いてるからか、
さっきの説教よりも
口調が優しい鷹町先生に質問をされた。
那須野「はい…私は」
私はこの1週間、村野君への熊ダイブが
全て失敗した事を説明した。
鷹町「熊ダイブ…」
那須野「私はッ…うぅ…あの動画の
おじさんとツキノワグマのように…なりたくてッ
熊にッ…うぅッ…ダイブする事が夢でッ…」
私は、その場に泣き崩れる。
鷹町「ゴホッ…く…熊ダイッ…ブか…
ふッ…くく」
八木岡「何笑っているんですか、
鷹町先生」
鷹町「那須野…ふふッ…ンンッ…ゴホンッ
ふぅ…顔を上げろ」
鷹町先生に言われ、顔を上げると
いつも仏頂面の鷹町先生の
顔が緩んでいる。
鷹町「ふッ…熊…熊ダイブッ…くくッ…
ゴホン…ンンッ…その熊ダイブが、
失敗しているようだがッ…ふぅ…
これからどうするんだッ…ふふふッ」
八木岡「笑い過ぎです、鷹町先生ッ」
笑いが我慢出来ず震えている鷹町先生に
私は諦める事を告げる。
八木岡「そもそも、異性に抱きつくなど
セクハラだからな!」
八木岡はグチグチうるさいが、
それを鷹町先生が制した。
鷹町「ゴホンッ…諦めるのかッ…くくッ」
八木岡「もういいですよ、鷹町先生」
私は、再度ちゃんと頭を下げる。
那須野「不愉快な思いさせてしまい、
申し訳ございませんでした。
2度とこんな事はしません」
そして、
私は返答待たずに
生徒指導室を後にした。
朝、更衣室にて
バンッ
那須野「今日は一週間の学校登校最終日!
熊ダイブは個性豊かな同級生達+後輩に
邪魔され、失敗に終わって来た」
「那須野ー、何1人で喋ってんだよ。
早く来い!」
私は監督に怒られ、校庭に出る。
那須野「月曜は明地君、火曜は八木岡、
水曜は夏穂さん&秋緒君、木曜は瑠璃君…
こう来たら、もう今日は村野君でしょ!」
一美「監督にタメ口使わない!」
那須野「痛い!」
~
朝一から、今日こそはと意気込んでいたが
外周を走りながら、嫌な予感がしていた。
そして、朝練後
私は自分の財布をすぐに開けた。
那須野「私は決意した…」
そして、財布を閉じる。
一美「…ほぼ空だったわね」
那須野「今の所持金は、15円」
一美「今月始まったばっかりなのに」
この1週間は、月の1週目である。
那須野「…そりゃあ、お金掛かりますわ…
クッキーはいいよ!
でも、ビッグシリーズはやばかった」
軽過ぎて、薄過ぎる自分の財布を
ポケットにしまい、絶望する。
那須野「うわーッ!
お金が無い!」
私は立ち尽くし、
空…いや、天井を見上げる。
一美「うるさい、早く歩け」
那須野「今月どう乗り切ればッ!」
一美「計画性無さすぎ」
那須野「いや、昨日ジュースを
皆に奢ったのが最大のミスよ」
昨日、部活前に秋緒君に捕まり
朝集まっていた全員分の
ジュースを奢る羽目になった。
一美「ドンマイ」
那須野「いや、一美もちゃっかり
紅茶のボタン押してたよね?」
一美「終わった事を後から文句言わないで、
ほら、今後どうするかを考えて」
私は目を閉じ、昨日先輩からの
達成感凄くなりそうって言葉が頭をよぎるが
所持金無さすぎて、現実に引き戻される。
そして、深呼吸をして目を開ける。
那須野「…もう諦める事にする」
ゴトッ
そんな私の決意に、
一美は信じられないという顔をして
いじっていたスマホを落とした。
一美「えっここまで来て、辞める気⁈」
那須野「うん、お金無いし」
一美「…えー、そっかー…」
一美は、落としたスマホを拾いながら、
悲しい顔をしている。
那須野「一美…
悲しんでくれるんだね」
私は涙ぐみ、一美を見ると
一美「明地君と
話す機会無くなっちゃうのかー」
バンッ
那須野「サイテー!
このミーハーがッ!」
一美への友情は、怒りに変わった。
私は村野君の背中を見つけ、
怒り任せに走り出した。
那須野「もうなるようになれッ
献上品無しで、訴えられても構うものかッ」
私は人をかき分けながら叫んだ。
那須野「村野君ッ!!!」
ザワッ
こんな生徒が結構居る廊下で
女子が男子を大声で呼び止めるとか
告白する気かと思われたかもしれない…
そんな誤解も、どうにでもなれ!
皆の視線が私に突き刺さり
周りが気を利かせ、
私から村野君への道が開かれた。
村野「ん?
あーいつも食べ物くれる子」
村野君は私に手を振った。
那須野「行くか」
私はザワザワする生徒の視線を
気にせずに再び走り出した。
那須野「くーまーッ」
ザワッ
?「なんだ?」
私は涙目になっていて
ちゃんと前を見ていなかった。
那須野「ダーイッ」
ダッ
私は跳ねる。
那須野「ブッ!!!」
どさっ
?「なッ」
この感触…絶対村野君じゃない…
そして、静まり返る廊下。
那須野「……ぅ…」
私は顔を上げると、
なんとも言えない顔をしている生徒指導の
滅茶苦茶恐い鷹町先生だった。
鷹町「生徒指導室に来い」
那須野「…はい」
~
私は生徒指導室で立たされている。
那須野「申し訳ございませんでした」
八木岡「まだ、あのくだらない事を
やっていたのかッ」
何故か八木岡まで居る。
八木岡「普段からふざけて
恥ずかしくないのかッ」
那須野「すみませんでした」
私の目には涙が溜まっていて
今にも溢れそうだが、
泣きそうなのは八木岡に怒鳴られてでも、
鷹町先生に説教されたからでもなく、
熊ダイブが出来なかった事に
ショックを受けていた。
那須野「…ぅ」
私は顔を上げられずに俯き続けると、
遂に涙が床に溢れた。
鷹町「那須野は、
何をしようとしてたんだ?」
私が泣いてるからか、
さっきの説教よりも
口調が優しい鷹町先生に質問をされた。
那須野「はい…私は」
私はこの1週間、村野君への熊ダイブが
全て失敗した事を説明した。
鷹町「熊ダイブ…」
那須野「私はッ…うぅ…あの動画の
おじさんとツキノワグマのように…なりたくてッ
熊にッ…うぅッ…ダイブする事が夢でッ…」
私は、その場に泣き崩れる。
鷹町「ゴホッ…く…熊ダイッ…ブか…
ふッ…くく」
八木岡「何笑っているんですか、
鷹町先生」
鷹町「那須野…ふふッ…ンンッ…ゴホンッ
ふぅ…顔を上げろ」
鷹町先生に言われ、顔を上げると
いつも仏頂面の鷹町先生の
顔が緩んでいる。
鷹町「ふッ…熊…熊ダイブッ…くくッ…
ゴホン…ンンッ…その熊ダイブが、
失敗しているようだがッ…ふぅ…
これからどうするんだッ…ふふふッ」
八木岡「笑い過ぎです、鷹町先生ッ」
笑いが我慢出来ず震えている鷹町先生に
私は諦める事を告げる。
八木岡「そもそも、異性に抱きつくなど
セクハラだからな!」
八木岡はグチグチうるさいが、
それを鷹町先生が制した。
鷹町「ゴホンッ…諦めるのかッ…くくッ」
八木岡「もういいですよ、鷹町先生」
私は、再度ちゃんと頭を下げる。
那須野「不愉快な思いさせてしまい、
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