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Step3 胡蝶蘭男子の恋人役を務めることになりました
ワレモコウ①
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真山さんの宿題をなんとか形にして、次の日に提出した。
と言っても、思うような斬新なアイデアなんて当然思いつかなくて、真山さんも微妙な表情をしていたけれど。
この経営戦略室の仕事は、今まで私がやってきた単純作業はほとんどない。
当然だよね。会社の中の優秀な人が集められて、会社の行く末を思い描きながら、色々な案を練り上げていくための部署なんだから。
そんな中に私が採用されたのは、優秀さじゃ無くて、平凡さ。
そうなのよ。だから、落ち込むことはないはず。
平凡な人間が思いつくことを、平凡に言えばいいだけ。
とは言っても、給与泥棒しているような気分になってしまうのは、どうしようも無いね。
忙しくしている人の横で、何をしていいか右往左往していることほど、しんどいことって無いかもしれない。
本当に、早くこの職場が終わればいいなと弱気になる。
今日は雨なので、公園へお弁当を食べに行くこともできず、私は社食の片隅で静かに弁当箱の蓋を開けた。
「お、ここにいたね」
一口入れたところで、あの時と同じ声が振ってくる。
高梨室長だ!
ちょっとだけ恨めし気な視線になってしまうのは、しょうがないよね。
この人の思いつきのせいで、今私は手持無沙汰に苦しんでいるんだからさ。
そんな私の気持ちに気づきもしない様子で、高梨室長が耳元にで囁いた。
「今夜、時間ある?」
ふえっ。何?
「これは会社の仕事じゃないんだけれどさ、ちょっと個人的に頼みたい仕事があって。特別手当を払うから頼まれて欲しいんだけれど」
特別手当? 会社外の仕事?
なんだか怪しさ満点なんですけれど。
口を開けられずにふるふると首だけで無理と伝える。
「えー。頼むよ。君しか頼める人がいないんだよ」
ちょっと甘えたような口調をイケメンが使うの、反則!
NOと言えなくするなんて、ずるい。
そう思って断ろうと思ったんだけれど、その瞳には声とは裏腹に必死な思いが溢れていて、思わず首を縦に振ってしまったの。
ああ……また面倒なことに巻き込まれそう。
それを聞いた高梨室長、ほっとしたようににっこりした。
「良かった。じゃあ、仕事が終わったらいつもの会議室で待っていて」
「え、あの会議室でですか?」
「そう」
「わかりました」
一体何を頼まれるのか心配だけれど、こうなったら腹を括るしかないわね。
特別手当、いっぱいもらおうっと。
と言っても、思うような斬新なアイデアなんて当然思いつかなくて、真山さんも微妙な表情をしていたけれど。
この経営戦略室の仕事は、今まで私がやってきた単純作業はほとんどない。
当然だよね。会社の中の優秀な人が集められて、会社の行く末を思い描きながら、色々な案を練り上げていくための部署なんだから。
そんな中に私が採用されたのは、優秀さじゃ無くて、平凡さ。
そうなのよ。だから、落ち込むことはないはず。
平凡な人間が思いつくことを、平凡に言えばいいだけ。
とは言っても、給与泥棒しているような気分になってしまうのは、どうしようも無いね。
忙しくしている人の横で、何をしていいか右往左往していることほど、しんどいことって無いかもしれない。
本当に、早くこの職場が終わればいいなと弱気になる。
今日は雨なので、公園へお弁当を食べに行くこともできず、私は社食の片隅で静かに弁当箱の蓋を開けた。
「お、ここにいたね」
一口入れたところで、あの時と同じ声が振ってくる。
高梨室長だ!
ちょっとだけ恨めし気な視線になってしまうのは、しょうがないよね。
この人の思いつきのせいで、今私は手持無沙汰に苦しんでいるんだからさ。
そんな私の気持ちに気づきもしない様子で、高梨室長が耳元にで囁いた。
「今夜、時間ある?」
ふえっ。何?
「これは会社の仕事じゃないんだけれどさ、ちょっと個人的に頼みたい仕事があって。特別手当を払うから頼まれて欲しいんだけれど」
特別手当? 会社外の仕事?
なんだか怪しさ満点なんですけれど。
口を開けられずにふるふると首だけで無理と伝える。
「えー。頼むよ。君しか頼める人がいないんだよ」
ちょっと甘えたような口調をイケメンが使うの、反則!
NOと言えなくするなんて、ずるい。
そう思って断ろうと思ったんだけれど、その瞳には声とは裏腹に必死な思いが溢れていて、思わず首を縦に振ってしまったの。
ああ……また面倒なことに巻き込まれそう。
それを聞いた高梨室長、ほっとしたようににっこりした。
「良かった。じゃあ、仕事が終わったらいつもの会議室で待っていて」
「え、あの会議室でですか?」
「そう」
「わかりました」
一体何を頼まれるのか心配だけれど、こうなったら腹を括るしかないわね。
特別手当、いっぱいもらおうっと。
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