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Step4 胡蝶蘭男子と同居することになりました
ミヤコグサ②
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ラフな格好に着替えてきた室長。すごくリラックスした顔していて嬉しくなる。
良かった。こんな風に穏やかな顔をずっと見れたらいいな。
「「いただきます!」」
二人で向かい合って、手を合わせてからいただく。それだけのことが、こんなに温かくて、幸せな気持ちになれるんだ。
「美味しい。味付けも濃くなくて、ちょうどいい。なんだかほっとする味だな」
「そうおっしゃっていただけて嬉しいです」
「これなら、毎日食べたいな」
「え、そ、そうですか。嬉しいです」
その言葉に、ドギマギしてしまう。もう、無自覚イケメンはこれだから……
「本当に。毎日食べられたらいいな」
しみじみとした声に、思わず私も真顔になる。
「あの……ここにいる間は作りますよ」
「いや、ごめん。忘れてくれ。花乃ちゃんも仕事で疲れているだろう。無理しなくていい」
そんな風に言われたら、余計に作ってあげたくなってしまうじゃないですか。もう、計算していたら天才結婚詐欺師のレベルですよ。
でも、室長の顔は真剣で、本当に私のことを労ってくれているのが伝わってきたの。
だから、私も真剣に答えたわ。
「室長。本当の願いを隠す必要はないですよ。もちろん叶うとは限りませんけれど、叶うことだって、十回に一回くらい、いや、百回に一回くらいはあるはずですからね」
「花乃ちゃん……」
その時の室長の顔、なぜか一生忘れられない気がしたの。
その透き通った切ない笑顔が―――痛々しかった。
思ったような混乱もなく、週刊誌の噂はあっという間に通り過ぎていった。
私の記憶も、目の前の仕事に塗り替えられていく。
高梨室長はあの夜以降は忙しくて、結局家で食事をすることは無かった。
毎晩、『先に休んでいて』というメッセージが届く。
だから、せめて朝くらいはちゃんと食べて欲しいと思ったんだけれど……結局、室長の方がホテル暮らしをしていた。
それは、私が家にいるから?
マスコミ対策?
それとも、本当は私と一緒に居たくなかったの?
やっぱり迷惑だったんじゃないかしら?
不安が頭をもたげてしまって、居ても立っていられない。
すがるように『ひなたぼっこ』さんのSNSを開く。
―――今日の花は『ミヤコグサ』。鮮やかな黄色で蝶のような形をしている。
花言葉は『また会う日まで』『気まぐれな心』『復讐』『恨みをはらす』。
なんでこんなに怖い花言葉までついているのかわからない。
以前の俺だったら『復讐』を選んだだろう。でも今は『また会う日まで』がいい。
人の心も変わるんだな。それともただの『気まぐれな心』なのかな―――
ちょっと衝撃。『ひなたぼっこ』さんの口から『復讐』なんて言葉がでるなんて。
でも……一方で納得する自分がいる。
踏まれて、捨てられて、迷惑がられて……それでもがんばって生きている雑草。
そんな雑草に目を向けて、愛情を注いでいる『雑草男子』が、今までになんの苦労もしていないなんて、あり得ないよね。
きっと同じように、踏まれて、捨てられて、迷惑がられて―――
それでも必死で生きてきたから。
だからわかるんだと思う。
だから見守ってくれているんだと思う。
良かった。こんな風に穏やかな顔をずっと見れたらいいな。
「「いただきます!」」
二人で向かい合って、手を合わせてからいただく。それだけのことが、こんなに温かくて、幸せな気持ちになれるんだ。
「美味しい。味付けも濃くなくて、ちょうどいい。なんだかほっとする味だな」
「そうおっしゃっていただけて嬉しいです」
「これなら、毎日食べたいな」
「え、そ、そうですか。嬉しいです」
その言葉に、ドギマギしてしまう。もう、無自覚イケメンはこれだから……
「本当に。毎日食べられたらいいな」
しみじみとした声に、思わず私も真顔になる。
「あの……ここにいる間は作りますよ」
「いや、ごめん。忘れてくれ。花乃ちゃんも仕事で疲れているだろう。無理しなくていい」
そんな風に言われたら、余計に作ってあげたくなってしまうじゃないですか。もう、計算していたら天才結婚詐欺師のレベルですよ。
でも、室長の顔は真剣で、本当に私のことを労ってくれているのが伝わってきたの。
だから、私も真剣に答えたわ。
「室長。本当の願いを隠す必要はないですよ。もちろん叶うとは限りませんけれど、叶うことだって、十回に一回くらい、いや、百回に一回くらいはあるはずですからね」
「花乃ちゃん……」
その時の室長の顔、なぜか一生忘れられない気がしたの。
その透き通った切ない笑顔が―――痛々しかった。
思ったような混乱もなく、週刊誌の噂はあっという間に通り過ぎていった。
私の記憶も、目の前の仕事に塗り替えられていく。
高梨室長はあの夜以降は忙しくて、結局家で食事をすることは無かった。
毎晩、『先に休んでいて』というメッセージが届く。
だから、せめて朝くらいはちゃんと食べて欲しいと思ったんだけれど……結局、室長の方がホテル暮らしをしていた。
それは、私が家にいるから?
マスコミ対策?
それとも、本当は私と一緒に居たくなかったの?
やっぱり迷惑だったんじゃないかしら?
不安が頭をもたげてしまって、居ても立っていられない。
すがるように『ひなたぼっこ』さんのSNSを開く。
―――今日の花は『ミヤコグサ』。鮮やかな黄色で蝶のような形をしている。
花言葉は『また会う日まで』『気まぐれな心』『復讐』『恨みをはらす』。
なんでこんなに怖い花言葉までついているのかわからない。
以前の俺だったら『復讐』を選んだだろう。でも今は『また会う日まで』がいい。
人の心も変わるんだな。それともただの『気まぐれな心』なのかな―――
ちょっと衝撃。『ひなたぼっこ』さんの口から『復讐』なんて言葉がでるなんて。
でも……一方で納得する自分がいる。
踏まれて、捨てられて、迷惑がられて……それでもがんばって生きている雑草。
そんな雑草に目を向けて、愛情を注いでいる『雑草男子』が、今までになんの苦労もしていないなんて、あり得ないよね。
きっと同じように、踏まれて、捨てられて、迷惑がられて―――
それでも必死で生きてきたから。
だからわかるんだと思う。
だから見守ってくれているんだと思う。
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