奥手の恋ほど、めんどくさいモノはない。

MOKO

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結局、その後グランドにはサッカー同好会の女子の姿は見えなかった。

遠巻きにこちらを見て黄色い声をあげる女の子達の中に

もしかしたら来ていて俺たちを見て居たかもしれない。

南ヶ丘のサッカー同好会には喉から手が出る程の

星稜から持って来たサッカーゴールがここにある。

まぁ円満に合同練習できる日が来る事を祈るしかない。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



基礎練の後二手に分かれて試合

サッカーは楽しい。

練習でも試合は白熱している。

最初こそ女子事は気になっていたものの

練習に熱が入るとすっかりその事を忘れていた。

まぁ、将来有望な選手になるかも知れない星稜高等学校と交流が

それだけ深いのだと世間にアピールしたら

南ヶ丘の受験率も大幅に上がる

部活として成り立ってない同好会のご機嫌など気にしたところで

大した事は無いだろう。

厄介ごとが少なくて良いなら、練習に専念できるってなもんで

顧問とコーチには部長が早々やらかしたと言っておくだけで

責任は回避できるだろう…。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




頭が本気の通常モードに切り替わっていた。

こうなると外野の声が聞こえなくなる。

「おらっ!荒木よく見ろ切り替えオセェ!」

「ヒロ!ボール見てタイミング合わせろ!」


練習試合では淳也とは絶対といっていいほど敵になる。

負けられないねぇ。

ただでさえ243勝240敗 負け越しているんだ。

俺がハーフタイムに入って喝を飛ばすと

すかさず淳也が上野に声をかける。

たかが練習試合でも見えるチームメートの粗。

そこを淳也が上野に指示し上野にメモを取らせている。

弱い部分を特別メニューで充填的に練習しレベル上げるのが目的だ。




俺は試合中は人が変わるとか顔が黒くなって怖いとよく言われる。

俺より淳也の方がきついはずなのだが

あいつは女以外の事はすこぶる冷静に考え判断する事が出来る。

的確に弱い部分を見つけ分析しそこを強化する

俺の放った一言で荒木とヒロの練習メニューを作っているんだろう。

くそっ!腹立つくらい冷静だ。

かっこよすぎて吐き気すら覚えるわ…。



たかだか練習試合、されど落とした方がペナルティーとして

スクワット200回の追加メニューがかかってるんだ

本気で取りに行くに決まってんだろ?

冷静になれるか?



集中しようと目を瞑り呼吸を整える。

この空気が好きだ。


息を殺して目を瞑る時は誰も俺に声をかけて来ない。

チームメート内での暗黙の了解だ。




 


「あの…すいません…。」

背後から話しかけられた。

「こんにちは、今ちょっといいですかぁ?」




「…。」

「ねぇ?聞こえてる?」

「…。」

「今聞こえてるよね?」

「…。」


イラっとした。

声のする方をゆっくり振り返る。

そこに、すらっとした女が1人立っていた。

不遜な態度で俺に話しかけてきた。

「あなた星稜サッカーの副部長の相沢さんですよね?」



チームメートはぎょっとした顔で遠巻きに様子を見ている。






「…はぁ…そうですが…何?」


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