猫屋敷先輩の怪奇奇譚

MOKO

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吉田の事か気になったので
次の日連絡取ってみた。

体調は良くなってる様だ。

何となく、あの出来事を
全部忘れてるんじゃないか?
電話の対応の感じがそんな雰囲気だった。


昼過ぎ先輩からこの前の事で
話があるからと、連絡がなかったら
あの出来事は全部夢だった。
そう思ってしまうくらい平和だった。

僕たちがしなきゃ行けない事とやらの
詳細を聞くために会わなきゃ。

猫屋敷先輩と駅で待ち合わせた。
待ち合わせの駅でも
猫屋敷先輩は相変わらず影か薄かった。

 とにかく気配とやらを感じさせない。

声がかかるまで目の前に立っていても
全く気が付かなかった。

「周りに存在を認識させない
なんか呪いでもあるんっすか?」

思いきって聞いてみた。


「さぁ、影薄いねってよく言われるよ。僕は自覚ないんだけどね。」

長い前髪と眼鏡のせいで
表情が見えないのもあるかもしれない

先輩は、はははと薄く笑うと
ため息を着いて肩をあげて落とした。

罪悪感しか残らない質問で
何となく気まずくなった。


それでもなんとか吉田の家に着いた。
やれやれだ。

吉田ん家も、昨日のことが嘘みたいに
それはまぁ普通で
吉田のばあちゃんも、
昨日僕たちが来た事すら、覚えてなかった。

昨日の出来事なのに
まるで本当に無かった事のようだった。

部屋に上がると
吉田はいたって普通で、
顔色は悪いが後は元気そうだった。
電話で話して確認しといたんだけど
やっぱり顔見たからか
拍子抜けしたのと同時にほっとした。

吉田のばあちゃんが
冷たいお茶持って来てくれた。

部屋から出ていくのを見届けると
猫屋敷先輩は吉田の顔を見た。

「吉田くん、ごめんね?
ちょっと顔を確認させてくれないかな?」
猫屋敷先輩は吉田の返事聞く前に
吉田の頬に触れ小さく真言を唱えた。

すると、キラリと鱗が蠢いて見え、そしてすぐ消えた。

「うん。まぁそうだよね。」

黙り込む先輩

ああ、なんかやっぱり夢じゃなかったんだわ。



「吉田くんさぁ
あの古い神社でなにしたの?」




うん...単刀直入。




「べっ別にこれといって...何かしたって
事ない…です...よ?」


先輩がまた真言を唱えると
さっきは額に一瞬だけだった鱗が、今度は蠢きながら全身を包んだ。

「そう?おかしいね?
何もしてなかったらこんな
風にならないよね?」

「うわぁぁあ?」

「ね?」

さわやかな声とは裏腹に
先輩の目は笑ってない。

「吉田くん近所の神社で何かしたよね
ちゃんと思い出しみて。」

「あ、あれは僕じゃ無いんです!
厳密に言うとクロ、僕の猫がした事なのに
なんで僕なんだ?」

「まぁ関係ないよね依代壊したのは猫だったとしても、近くにいた最も入りやすい器ならそこに入るから。やっぱり神社で何かあったのは覚えているんだね?」

しばらくブツブツと吉田は

嘘だろ、やっぱり祟りってあるんだ。

とボヤいていたけど

「落ち着いた? 落ち着いたんなら
次は僕に何があったのか 
最初から最後までの経緯
詳しく聞きかせてね。」

猫屋敷先輩の威圧感たっぷりの言葉に


吉田は事の顛末をポツポツ話し始めた。
















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