BAR・ターミナル~ケモノ達の交わる場所~

Ring_chatot

文字の大きさ
16 / 25

8話:心地よい面相

しおりを挟む

 ハシルとキミヒ、二人がどんな化学反応を起こすか、リコが興味津々で見守っていると、二人の話はどんどん盛り上がっていく。その存在を初めて認識したときは占い師だなんて胡散臭いと思っていたが、会って話してみれば思った以上に勉強家だし、子供好きだしでいろんな面が見えていた。そして、こうして社長という立場の人物と出会うと、途端にビジネスの顔になる。本当にいろんな面がある人だとしみじみ思うし、キミヒ社長の社長として以外の顔も、新たな一面として興味深かった。
キミヒ「それにしても、貴方はとても不思議な方ね」
ハシル「それはいい意味で?」
キミヒ「もちろん、いい意味でに決まってますよ。こんな酒場で営業活動するだなんて……このお店はいいお店だと思うけれど、貴方が占いで商売するならば、もっとふさわしいお店があるんじゃないかしら? どちらかというとこのお店、大衆的なお店じゃない? 面接代行だなんて、社長や役員でもなければ用がない業種ですし、もっと高級なラウンジの方が見つかるのでは?」
 キミヒが尋ねると、ハシルは困ったような苦笑を浮かべる。
ハシル「それですか。実は僕、もうそんなに営業活動をする必要もないのですよ。僕はもう口コミで客が客を呼びますので……そうなると、今度は趣味を充実させたくなるんです。趣味は、人間観察と、盆栽」
キミヒ「あら、人間観察なんて、占い師やっていればいくらでもできるんじゃなくって?」
ハシル「出来ますけれど、ゴキブリの観察と、アゲハチョウの観察の違いですよ。どうせなら、アゲハチョウやハナカマキリを観察したいでしょう?」
キミヒ「あら、私はどんな虫かしら?」
ハシル「ふふ、テントウムシやトンボみたいな、可愛いけれど獰猛な肉食の虫、ですかね……いい顔です」
キミヒ「あら、可愛いだなんて。嬉しい評価をしていただけて何よりです」
ハシル「誰かに慕われるような人は、いい顔をしている人が多い。そういう顔を見るのが好きなんです、僕は」
 ハシルの言葉を聞いて、リコはこの場所で出会った様々な人を思い出す。米良さんやマリサはもちろんいい人だし、キミヒ社長もそうだ。なぜか好きになる顔をしているが、ハシルはそれを『なぜか』ではなくきちんと理解できるのだろう。
キミヒ「いい趣味ですね。それで、盆栽の趣味っていうのは、どんな作品があるのかしら? 写真とかある?」
ハシル「写真はありますけれどね……でも、あんまり見せたくはないかなぁ。もうすぐ来ると思うんですけれど」
 ハシルが腕時計を確認する。時間は18時21分。
キミヒ「あら、貴方の育ててる盆栽って、ひとりでに歩いてお店に来るの?」
ハシル「育てるためにこのお店に来ていますから」
 この話の流れで言う盆栽というのは、マイちゃんの事であるのは間違いないだろう。しばらくして、マイちゃんが来店したときは……
マイ「こんばんは、皆さん。今日もよろしくお願いします」
ハシル「来たよ、あれがぼくの盆栽」
 こんな調子でハシルが微笑む様子を見て、相変わらずのイケメンだなぁとリコまでつられて微笑むのであった。どう見ても小学生なマイがこうして来店することには、さすがのキミヒも驚いた。
ハシル「それではすみません、僕はあの子と勉強いたしますので」
キミヒ「あ、はい。バーで勉強会とは、珍しいですね」
ハシル「よく言われます。それで、マイちゃん……何を飲む?」
キミヒ「オレンジジュースを飲みたいです」
 マイとハシルは一緒になって二階へと上っていく。この後、当然のごとくキミヒ社長からマイとは何者なのかという質問が来た。マイは近所に住む小学生で、親にネグレクトされているけれど、ここの常連客がみんな人がいいからと、ここにきているということを説明した。

 その後もリコとキミヒ社長と雑談しながら盛り上がるも、社長は20時半ごろには見たいドラマがあるからと帰ってしまった。そのころにはマイちゃんの勉強会も終わる時間帯で、一緒に帰ろうとするハシルさんと顔を合わせることに。
リコ「ハシルさん、今日社長とお話していた内容で気になったんですが……」
ハシル「うん、何だい?」
リコ「ハシルさんにとって、いい顔っていうのはどういう人なんですか?」
ハシル「えー、いっぱいいるよ? それぞれに個性もあるし、選べないけれど……そうだね、マリサちゃんとハルト君は、どちらもまっすぐに育ってていい顔をしてるね。マスターも」
 そう言ってハシルはマスターの方を見る。マスターは無言だったが微笑んで会釈をした。
ハシル「二人がまっすぐに育ったのは、マスターはもちろん、米良さんにあるんだろうね。米良さんがこの家族を助け、そんな米良さんとマスターに育てられた子供が良い子に育たないわけもなく……そう、米良さんはいい顔だね。好きだよ……僕はゲイじゃないけれどね」
リコ「あの人、人相は怖いけれど……いい顔なんですか?」
ハシル「確かに一見強面なんだけれど。顔のどこを見ても吉相って言って……良い面相の特徴がたくさんあるんだよ。たくさん人を見ていれば経験則とかで分かるようにはなるんだけれど、感覚的なものだから説明しづらいし、センスのない人には一生無理だからね。
 マイちゃんは、割と観相学や面相を読み取るセンスがあるみたいだけれどね」
リコ「え、そうなんですかぁ?」
ハシル「マイちゃんはね、小さいころから親が頼りにならなくて、頼れる大人を探し続けた嗅覚の持ち主だ。カモにしやすい大人を見つける腕はぴか一、要はこの道10年の大ベテランだよ。今から鍛えればきっといい占い師になる……でも、こういう子は往々にして悪い男に引っかかりやすい矛盾もあるから、気を付けないとね」
リコ「この道何年のベテラン……なんかそのフレーズ、よく聞きますね。この店に来るまでに一回も聞いたことがなかったのに、常連になってから何回も聞いたような……」
ハシル「米良さんが言い始めたことだけれど、面白いから僕まで使い始めたんだよね。このフレーズといえば、そうだなぁ……以前、このお店に詐欺師を来店させて、フルボッコにしたことがあったじゃないか。その時のあのコウイチ君……あの子も確か、風俗のボーイ歴が……そうだな15年くらいの大ベテランだったなぁ。あの子も、結構好きな顔をしているよ。
 小さいころはひどい環境だったけれど、いい大人に巡り合えたみたいでねえ……」
リコ「えぇ……彼、私と同じくらいだったような……なんで風俗歴15年なの……?」
 そんな、小さいころから働かされているような環境にいる人間が何人もいてたまるかと、困惑するリコであった。

 ◇

 そんな、キミヒ社長との出来事があってからしばらくたった金曜日。ところどころ怪我して、顔中にガーゼを張り付けている状態のコウイチが来店してきた。
マリサ「ちょっと貴方、その怪我どうしたの? 大丈夫?」
クニシゲ「痛み止め、いるか? あー……家まで取りに変える必要あるけれど」
マリサ「いや、痛み止めならあるから! 馴鹿人に……狼人用で大丈夫?」
 他の客が一斉に心配する中、コウイチは困ったように笑っていた。
コウイチ「いやいや、もう診断書をもらうために病院には行きましたし、それに痛み止めならもう処方されてますから……幸い、命に別状はありませんし、後遺症は残らないって医者に言われています」
 何だか得意げな様子でコウイチは言う。
マリサ「でも、家でじっとしてた方がいいんじゃない? 怪我、治しなよ」
コウイチ「店長にもそう言われて、自宅で休んでたんですけれど、暇で暇で仕方なくってね。だから今日、来たんです……まぁ、武勇伝だけでも聞いていってくださいよ」
 武勇伝というからには、何か暴力沙汰があったことはうかがい知れるが。マリサとクニシゲが群がっているためになんとなく近寄りがたかったリコだけれど、この前ハシルさんが言っていた『コウイチは好きな顔』というのが気になる。
 いったいどんな話が聞けるのだろうと、野次馬根性丸出しでリコも彼のもとに集う。

 ◇

 時系列は、詐欺師をターミナルにおびき寄せて、皆で風俗嬢のアカリをマルチ商法から解放させた日までさかのぼる。
アカリ「ねぇ、コウイチさん……あの、今から……ちょっと、ホテルで遊びませんか?」
コウイチ「悪いな、店のルールで嬢との交際は禁止されてるし、そもそも……俺は女に興味がないんだ」
 その愛情表現は、コウイチには通じないのだ。
コウイチ「俺……アセクシャルなんだ」
アカリ「……アセクシャルって、何?」
 知らないよな、当然だよな、とコウイチは苦笑する。接客中はお客様の話題にもまともに答えられず、ただ相槌を打つのが精いっぱいだと聞いている。
コウイチ「男も、女も、好きじゃない人間のことをそういうんだ……誰かとセックスしたいっていう、そういう欲求がないんだ」
アカリ「ふーん、そんな人いるんだ……でも、それだと、どうすれば喜んでくれるの? 私は好きな人に喜んでほしいし、好きな人とセックスしたいし……」
コウイチ「俺はね、身近な人が笑ってくれているのが一番嬉しいよ。だから、そんなことしなくても大丈夫。君が笑顔でいてくれれば大丈夫」
アカリ「そっか……」
コウイチ「そんなことよりも、アカリ。お前、詐欺師以外にはなんか変なことにお金使っていないよな?」
アカリ「ううん、変なことにはお金なんて使ってないよ。それどころか、詐欺師? にお金を使ってたから……彼氏にお金あげられなくて、最近いっつも怒られてたの」
コウイチ「えぇ……?」
 アカリの発言にコウイチは困惑する。お店の嬢には頭が弱く、学歴が低かったり勉強についていけずにドロップアウトした女性も多いが、アカリはその中でもおそらく一番頭の悪い女性。頭の悪い女性は悪い人間を引き寄せやすいとは思っていたが、どうやらそれは想像以上だったようで。
 お金をもらえないと怒る、だなんてそんな男はまともじゃないに決まっている。
コウイチ「ちなみに、その彼氏……怒ると、どうなるの?」
アカリ「えっとね、お風呂に顔を沈めてきたり、お腹を殴られたりして……でも、私が悪いから仕方ないんだよね」
コウイチ「絵にかいたようなDV野郎じゃねえか……えっと、痣とか、痛いところとか、ないの?」
アカリ「あるよ。アカリの毛がもこもこだから目立たないけれど……でも、触られると痛いの」
コウイチ「あとで見せて」
アカリ「うん」
 詐欺師にDV男。こんな奴らに騙されているようじゃ、このアカリという女、この先まともに生きていくことはできないだろう。今は若くて金も稼げるから何とかなっているが、そのうち年を取って使い物にならなくなったら、この子はいずれ路頭に迷う。
 どうせ他人だし、彼女の人生がどうなろうと知らぬ存ぜぬで構わない。と割り切れれば楽なのだけれど、あいにくコウイチはそういう風には出来ていない、コウイチは、悪い奴が我が物顔でこの世の春を謳歌しているのが嫌いという、厄介な性分があった。
 車から降り、コウイチはアカリの怪我を確認する。羊駄人の個性である真っ白いモフモフな体毛に隠れていてわかりづらいが、確かに血が滲んで青くなった後がある。
コウイチ「ねえ、アカリちゃん。俺さ、その彼氏って人に、アカリちゃんとの関係にエールを送りたいんだ。あー、君とその彼氏の関係を応援したいんだ。だからさ、その彼氏に会わせてくれないかな? もちろん、彼氏には内緒で」
アカリ「彼氏には内緒で? なんで?」
コウイチ「サプライズプレゼントっていうの、知らないかな? なにも心の準備をしていなかったところに、突然嬉しいプレゼントをすることで、驚かせようって感じの事なの。きっと、アカリちゃんの恋人も、サプライズプレゼントをしたら機嫌が治ってさ、もうアカリちゃんを殴らないと思うよ」
アカリ「へー……」
 適当な理由ではぐらかす。『風俗店のボーイが、風俗嬢の恋人に会いたいと言ってます』で、会ってくれる恋人などいるわけもない。まして、それがDV野郎ならなおさらだ。
コウイチ「まぁ、こちらの方でも準備があるからさ。しばらく後でいいから!」
 と、コウイチはアカリに笑顔を投げかける。

 結論を言えば、アカリはコウイチの言葉を簡単に信じてくれた。今回ばかりはその素直さに感謝するばかりだ。コウイチを家に招き、留守番させた状態で彼氏を家に連れてくるという段取りも、すんなり許可してくれた。ここまで素直だと本当に心配である。
 アカリは彼氏の写真を見せてくれたが、その見た目は全身を金髪に染めた(どういうセンスだ)羊駄(アルパカ)人の男性。正直私服はかなりダサい。黒のシャツに無難な青いジーパン。無駄に金ぴかな時計と十字架にドクロのネックレス。ピアスをバチバチにつけて、靴も無駄に蛇皮を使った悪趣味な白い靴。なんというか、すべてがちぐはぐでファッションセンスのかけらもないが、お金だけはあるようなのは伝わってくる。
 コウイチはアカリの家に何度か招かれながら、一ヶ月かけて準備を行い……そして決行日。この日、アカリはコウイチに連れられてありったけの税金やら年金やらのお金を払ってしまい、残金は5000円ほどである。今まで相当滞納していたためか、手持ちの金では足りず、結局次にまとまった金が入るまで支払いは難しそうだ。
 お店の給料は日払いも出来るため、明日にはお金を入れることも出来、普通に生活する分には困ることもない、が。
アカリ「テル君、ごめん……その、今日ね、アカリ、お金ないんだ」
 彼氏の名前はテル。源氏名で本名は知らないのだという。
テル「あん……? なんで?」
アカリ「えっとね、お店の人にね、税金だとか、年金だとか? 色々払わないといけないからって。それで、市役所とか銀行に行って、一緒に払ってきてお金がないの……」
 アカリがそう言い終えるや否や、テルはアカリの腹に拳を叩き込んでいた。
アカリ「うぅっ」
 うめき声をあげながらうずくまるアカリを、テルはさらに足蹴にする。
テル「はー……使えねえわ。税金を払う? お前がそんなことをする意味ってなんだよ? ふざけんじゃねえよ!
アカリ「うん……ごめんなさい……
 アカリは頭が悪い。小学校のころからまともに勉強について行くことが出来なかった。そのせいか、怒られる経験は人の何倍も多かったし、褒められた経験は誰よりも少なかった。それで、会うたびにお金をせびり、金がなかったり、出し渋ると暴力的になる。そんな男にあっさりと引っかかってしまう。
 そのうえ、尻軽でどんな男とでも簡単に寝てしまう。どこまでも利用しやすい女性というわけだ。それでも、利用したのだから感謝ぐらいはしてくれるならいいのだが、彼氏はとんでもない奴で、機嫌が悪いときはアカリの躾もかねて暴力をふるっていた。
 準備期間の一ヶ月で、アカリと3回ほど会ったのだが、そのうち2回はアカリに暴力をふるっていた。出迎え方が気に食わないとか、お金が足りないだとか、そんな理由で平気で殴る。コウイチが隠しカメラを仕掛けているとも知らずに。4回目の今日は、コウイチもアカリに思いつつ、わざとテルの機嫌を損ねるように公的なお金の支払日を合わせていた。
 そうすれば、本来はアカリが国民の義務を果たしているだけなのに、短絡的なテルは機嫌を損ねてアカリに暴力をふるうだろう。そんな暴力的で最低で、うかつな彼氏を追い詰める証拠はもう十分にそろっている。サプライズプレゼントの準備は万端だ。
コウイチ「やあやあやあ! 君がアカリさんの恋人のテル君か!」
 テルが自分勝手な怒りをアカリにぶつけている最中、いきなりキッチンから躍り出て来たコウイチを見て、テルは目を丸くして困惑する。
テル「え、な、え……なん、お前?」
コウイチ「俺はね、アカリさんが勤めている風俗店のボーイをしているコウイチっていうんだ。単刀直入に言うけれどさぁ、あんただよな、前からアカリさんを殴っているの? 困るんだよねー、うちは風俗店だからさ、女の子に傷がついたら商品価値が下がるんだよ。
 今日は店員として、あんたに警告をしに来た……」
テル「はぁ? そんなことお前には関係ないだろうがよ。こいつのしつけができてないから殴るんだ、文句あるのか?」
コウイチ「関係あるに決まってるだろ。アカリの商品価値が下がったら、店の売り上げに影響が出るんだ。そしたらお前、俺の給料を店が払えなくなるだろうが? それともお前が払ってくれるのかよ?」
 コウイチはいきなり喧嘩腰でテルに突っかかる。
アカリ「あの、コウイチ君……サプライズプレゼントするんじゃないの? なんでそんなに怖い顔してるの? それと、テル君を悪く言わないでよ……私がお金を用意できなかったのが悪いんだから……」
 渦中にいるアカリだが、彼女自身は今のこの状況を全く理解していない様子。おそらく、彼女の中ではコウイチは悪者になっている可能性があるが、今はそれでよかった。
テル「なるほど、てめぇアカリを騙して税金を払わせたっていう奴だな?」
コウイチ「騙したつもりはないが、後半はそうだよ」
テル「おい、アカリ! こいつ、お前を騙して金を盗もうとしてるんだ! 俺が退治してやる」
アカリ「え、コウイチ君はそんなことする人じゃ……」
 テルの中で勝手に話が進んでいく。テルは自分がアカリの金と、体が目当てで付き合っているだけだ。だから、コウイチも同様にアカリの金と体が目当てで付き合おうとしているだけだろうと、物語を完成させた。
 ならば、テルにとってやることは一つ。このコウイチとか言う男をぶん殴って撃退するだけだ。テルは拳を突き出した。その拳は、当たり前のようにコウイチの頬にぶち当たった。
コウイチ「ぐおっ」
テル「弱いなぁ、ぼくちゃん! お前が俺に意見しようなんて百年早いんだよ、ゴミが!」
 コウイチが面白いように倒れたので、テルは調子に乗ってさらに殴る。コウイチがうずくまれば、蹴り飛ばして暴行を継続した。
コウイチ「ごめんなさい……もう許してください……」
 最後は、コウイチが土下座する形で騒ぎは収まった。
テル「は、雑魚が。おい見ろよアカリ! お前が連れてきた男! みじめな姿だよなぁ!」
 などと、テルに言われてもアカリはわけもわからずにおろおろするばかり。何も言葉を紡ぐことも出来ないが、どっちが悪者なのかわからないでいた。
テル「ほら、謝れよ! 『俺がクズでした』って。『もう二度とアカリの前には現れません』ってさぁ」
コウイチ「申し訳ありません……俺がクズでした。もう二度とアカリの前には現れませんから、許してください! もう勘弁してください!」
 コウイチはみじめに土下座し、泣きながらその場を後にし、そしてアカリと二人きりになったテルは……
テル「てめぇ、なんであんな男を家に入れているんだよ! 俺を怒らせるなっていっただろうが、この馬鹿女が!」
 相も変わらず暴力をふるい、出血こそしないものの、アカリはもふもふの毛の下に多くの青あざを作っていた。『やめて』、『許して』とアカリが泣きわめくも、テルの暴力はいつまでもやまず、そして……10分ほど罵倒と、たまにの暴力が続いた後に、テルはしゃがんでアカリの顔を覗き込み、微笑みかける。
テル「ごめんな、アカリ……俺もさ、お前には優しくしたいと思っているんだよ。でもな、時には叩いてでも言い聞かせないと覚えないだろ?」
アカリ「ごめん……ありがとう……こんな私のことも愛してくれて」
テル「……わかればいいんだ。よし、じゃあ気を取り直してさ……今からやろうぜ?」
 と、暴力が終わった後に優しくすることで、アカリの情緒を無茶苦茶にさせる。この人は私のことを怒ってくるけれど、それは本当に愛しているからなんだ。本当は優しい人なんだ……と。そう言い聞かせないと精神が保たないためにそうしているのだが、その言い聞かせがさらに彼女を泥沼に引き込んでいく。
 自由にセックス出来る風俗嬢から、金まで奪えて、暴力でストレス解消も可能。まさにテルにとってはこの世の春のような状態だが……。呼び鈴がなる。
テル「……あん? 誰だよ。こんな時に」
アカリ「誰か呼んでる……出なきゃ」
テル「いいよ。どうせ訪問販売とかセールスマンだろ? 通販だって再配達してもらえばいいしさ」
 テルはこれからお楽しみだというのを邪魔されたくなくて、まだ服も脱いでいないのに面倒くさがって呼び鈴に居留守を決め込もうとする。だが、外から聞こえる声ではらわたが煮えくり返る。
コウイチ「おーい、出ないとまずいぞー」
 その声で、水を差した相手が何者なのか理解して、テルは怒りを沸騰させる。『こいつには暴力をふるっても大丈夫』、一度そう思い込んだら、彼はどこまでも暴力的になれる。
テル「てめぇ、まだ居やがったのか? 何のつもりだ!?」
 ドアを開けるとコウイチがいた。アパートの二階、各部屋への通路でテルとコウイチが対峙する。アカリはドアを小さく開けて、その隙間からやり取りを覗いている。
コウイチ「いやなに、今までさ家中に防犯カメラ仕掛けておくからってさ……聞いてない? セックス始めそうだったからさぁ、その前にさすがに注意しておこうかなって」
 実はアカリにはそんなことを言っていない。コウイチは勝手にカメラを仕掛けていたのだが、それはさておき。
テル「防犯カメラって……じゃあ、お前。さっきのを見てたのか……?」
コウイチ「あんたが暴力振るうような奴だってさ、事前に聞いていたもんでね。暴力をふるうところはばっちりと撮れてるねぇ。
 ……これ以降、アカリちゃんに一切顔を合わせないっていうんなら、その動画はどこにも提出されることはないけれど、もし断るなら。警察と、君のお店にこの動画を流す。風呂とトイレとベッドルームには仕掛けてないけれど……でも、まぁ、ちょっと、そういうところは撮れてしまったもんで。情けはかけてあげようと思うんだけれど……もちろん、俺が殴られてるところもな? たとえアカリがどれだけ被害届を取り下げようとしたところで、俺は絶対に取り下げないから、お前は絶対に裁判にかけられる」
テル「くっ……」
 弱みを握られテルは苦い顔をするが、後先考えずに暴力をふるえる彼もまた、アカリほどではないが頭は悪い方だ。
テル「あー、もう……さっきから、ごちゃごちゃとうるせぇ! だったらてめぇえを殺すまでだ!」
 考えることが面倒になったテルは、激昂して狭い通路でコウイチへと突っ込む。だが、コウイチは馴鹿(トナカイ)人。角は現在抜け落ちているが、それでも頭突きの強力さにかけては偶蹄ということもあり、どんなに激しく衝突しても頭蓋骨や首はびくともしない。
 ボクシングを思わせるコウイチのファイティングポーズ、パンチが飛んでくると油断したテルはそれに備えて構えを取るが、コウイチはテルの目の前で沈み込んでそのまま頭突きを行う。
 結局のところ、テルは自分より弱い相手としか戦えない臆病者だ。コウイチの渾身の頭突きで怯んだら、痛みに耐えかねて動きが止まっているうちに、蹴りを見舞われそのまましりもちをついてしまう。たった二回の攻防の間に勝負は決していた。
テル「うぐぅ……てめぇ……殺してやるからな……」
コウイチ「はぁ……」
 まったく、手の早い男だとコウイチは呆れていた。本来ならこんな男、一戦目から簡単に下せたのだが。コウイチ自身がテルを警察に突き出すため、先ほどわざと殴られたおかげで、今はあちこちが痛い。もうちょっとぶん殴っておきたいところだけれど、これ以上は過剰防衛になってしまう。ここは怒りをこらえ、サクッと警察行って、懲役を喰らうところを見て気を紛らわせることにした。
コウイチ「そんじゃ、警察行ってくるわ」
テル「てめぇ、待ちやがれ……その動画、警察に持って行くならウチの店のケツ持ちのヤクザ呼んでやるからな……」
コウイチ「あー……だめだよ、それ言っちゃう? あのね、暴力団の名前をちらつかせて脅すのはね、暴対法への違反になるの。風俗とかホストなら、ヤクザのケツ持ちがいることも珍しくないけれど、そういうのは最後の切り札なわけ。お前、頭悪いだろ? そんな切り札、こんな案件にわざわざ出てきてくれないぞ? お前がアカリちゃんと別れれば済むことなんだからな」
テル「うるせぇ、脅しじゃないからな!」
コウイチ「はいはい、このやり取りも録画してるからさ、お疲れ。罪を重ねたね」
 コウイチはテルの戯言に付き合うことなく、交渉は決裂したからと交番に向かう。まったく、こんなクズに騙されるだなんて、アカリは本当に仕方のない奴だとため息が出た。
 そうして、アパートの階段を下りて交番へ行こうとすると、ドアの隙間から覗いていたアカリが駆け寄ってくる。
アカリ「ねぇ、コウイチ君……いったい何やってるの?」
コウイチ「んー……このテルって男もねぇ。優しい振りしてるけれど、実は極悪人なの。あの、シオンとか言う詐欺師と同じで……君を地獄に落とそうとしてるクズなんだよ。だから、お巡りさんを呼ぶの」
アカリ「え? だめだよ、テル君は怒ると怖いけれど、本当は優しいし……だから、警察なんてアカリは嫌だよ……」
 アカリはそう言ってテルを擁護するが、コウイチはそれに対して首を横に振る。
コウイチ「優しいなら、君のことを殴らないし、警察に捕まることもないよ……だから、とりあえず見守っておこう。大丈夫、本当にやさしい人だったら、警察に捕まっても懲役はないから」
アカリ「懲役……って何?」
コウイチ「そこからかぁ……懲役っていうのはね、警察に捕まって、刑務所で……毎日働かなきゃいけなくなるってこと」
 苦笑しながら、コウイチは伝える。うろ覚えなので正確に説明できるほど詳しくはないし、どうせ完璧に覚えて正確に伝えたところで理解はできないだろう。

 ◇

コウイチ「ってわけ。裁判もまだですけれど、まぁ問題はないでしょう。今回は俺が殴られたところの動画だけ提出しました」
 大体の一部始終を語り終えたコウイチは、したり顔で皆のことを見回した。
マリサ「すごい、し……行動力もあるけれど、その、勝手にカメラを仕掛けたりとか、なんかこう、わざと殴られたりとか、なんでそこまでやるの? 法律にも微妙に詳しいし」
 コウイチの武勇伝を聞いて、マリサは尊敬と同時にドン引きしている。
コウイチ「俺はですね、悪い事をしているやつが笑っているのが大っ嫌いなんですよ。昔そういうのに散々な目にあわされたから、出来ることならぶち殺してやりたいんですが……まぁ、それやっちゃうと、必殺仕事人と違って現実じゃあ逮捕されちゃいますから、自分が殴られるしかないんですよ」
クニシゲ「おいおい、なんか闇深いもんでも抱えてるのか? 随分苦労してきたんだな」
コウイチ「そりゃまぁ、母親の彼氏に虐待されてましたので。そいつも、警察に突き出しましたけれど……その時助けてくれたのが、隣の部屋に住んでた人なんです。昔使ってたスマホ、貸してくれて。俺を殴る様子を撮影したんです……スマホって結構大きいけれど、置きっぱなしでも案外撮影されてるってばれないものですね。警察が来た時に見たあの男の悔しそうな顔ったら、これ以上なかったものでね……悪人を撃退するのは、そういう顔を見たいからって言うのもあるかもしれません」
 つらい過去だろうに、吹っ切れているのだろうか事もなげにコウイチは語る。
クニシゲ「おーう……そりゃ、よくまぁ健全に育ったもんだ」
コウイチ「それ、褒めてるんですよね? ふふ、だからなのかな……このお店、好きなんですよ。子供のころのマリサさんやハルトさん、苦労したときに……クニシゲさん、助けてあげたんでしょ? クニシゲさんみたいな人、好きですよ」
クニシゲ「お、俺はそういう趣味はねえからな?」
 コウイチに好きと言われて、クニシゲは思わず照れ隠しに変なことを言う。
コウイチ「もちろん、性的な意味じゃないから安心してくださいよ……でも、貴方ともっと早くに会いたかったって気持ちは本当です。そうすりゃ、小さいころの俺も救われてたんでしょうし?」
リコ「それにしても……誰かを助けるために、わざわざ体張れるなんて、すごいね」
 リコに褒められると、コウイチは力なく笑う。
コウイチ「出来れば俺だってやりたくないけれど……誰かがやらなくちゃいけないから、さ。だから、今度は俺があの時の隣の人になるんだ……って。でも、なんというかこう……一人で誰にも知らずに戦い続けるとか、俺にはできない質なのか……たまにはなんか褒めてほしくて。やっぱ、応援がナイトヒーローって活動続けられないんですね」
 コウイチが正直な気持ちを皆に吐露すると、身も蓋もない欲求にみんな小さく笑っていた。ただ、褒められるに足るだけのことはやっているのだから、みな彼の欲求を馬鹿にすることはしなかった。
クニシゲ「おう、一人の女を救うだなんて早々できることじゃねえよ、やるじゃねえか」
マリサ「体張って人を助けるってすごいよね……同族だったら惚れてたかも」
リコ「わかる、近縁種だし、惚れていいかな?」
 どこまで彼の話が本当かはわからないが、リコは本心から少しときめいていた。何より、ハシルが心地よい面相だと推薦するような男性だ、男としてハズレはないだろう。トナカイの男と結婚したら生まれてきた女の子にも角が生えてくる可能性があるが、まぁそういうのもおしゃれでいいんじゃないだろうか?
コウイチ「悪ぃ、俺はアセクシャルでな……昔からAV見てもダメでさ。恋愛には興味ないんだわ」
リコ「えー、もったいない。その遺伝子は残した方がいいよ」
クニシゲ「そうだぜ? あんまり危ないことするなよ……いつか逆恨みで殺されるぞ? そうなったら社会の損失だ、お前は幸せになるべきだぜ」
コウイチ「いえ、いつ死んでもいいんです、俺……どうせ、子供は残さないつもりだし。だから危ない目にあってもいいの。死んだらそれまでです」
リコ「えぇ、もったいない。私はこう、いつかは子供欲しいと思ってるけれどな……まだ、発情期は薬が手放せない生活してますが……」
 リコがそういうと、一番反応して笑みを見せたのはマリサだった。何も言わないが、なぜかすごく嬉しそうだ。
クニシゲ「死んだらそれまでとか、若い癖にそんなことを言うもんじゃあないぜ? お前の遺伝子なら残すべきだと思うぜ?」
 医療にかかわる人間だからか、クニシゲはコウイチの言葉に全く納得がいかない様子。
コウイチ「俺、昔っから勉強だめで……母親の遺伝子、継いじゃったんですかね? だから、頭の悪い遺伝子はここで終わり。クニシゲさんみたく、頭のいい人が沢山子供作ってくれないと、世の中おかしくなっちまう」
 コウイチの言葉に、クニシゲは更に眉を顰める。
クニシゲ「まぁ、言いたいことはわからんでもないがよ……拗らせてやがるなぁ。子供を育てるって、いいもんだぜ? 俺なんて三人育てたけれど、まだ育てたいくらいだぞ?」
コウイチ「それが、分数の割り算でつまずく子供でも? 俺がそうだったけれど、子供のころは全然授業についていけなくて大変だったし……アカリちゃんに至っては、ひどいもんさ。税金払わなきゃいけないってことすらよく理解してない。
 クニシゲさんはそんな子を育てても、同じセリフ言えるのかい? クニシゲさんの子供は、親に似て賢そうだ」
クニシゲ「う、そう言われるとちょっとなぁ……考えちゃうなぁ……そっかぁ俺確かに子供で苦労してないから言えるセリフなのかも……」
 クニシゲが自分の経験をもとにコウイチを説得しようとするも、コウイチは毅然として反論する。米良夫妻は夫婦そろって頭がいい。そして子供も全員頭が良かった。子育ては楽だった。大変な子育てというものを体験したことのない自分には、コウイチの言い分を否定することは難しかった。
 予想外のところから論破され、クニシゲもこれ以上強くは言えなくなった。
コウイチ「俺、小さいころには、俺なんて生まれないほうがよかった……って思ってたくらいで。ほっとくとアカリちゃんとか、誰の男かもわからない子供を産みそうだし……それでさ、放っておけないんだよね。俺以上の苦しみがありそうで……だからこそ、あんなやばい男に引っかかっていた状況は見逃せねぇ」
 コウイチが自分の思いを吐き出すと、これまで幸せに生きてきたマリサは、『そういう考えもあるんだなぁ』と、彼の話に強く興味を示す。
マリサ「なんかこう、複雑というか、不思議な感情だね。コウイチ君自身は、幸せになりたくないの? 他人の事なんて放っておけばいいって、そういう感情は?」
コウイチ「それ、マリサさんが言います? マイちゃんの面倒を見てるあなたが……他人をどうでもいいとか思える人は、他人の子供の面倒なんて見ないんです」
マリサ「そうね、私もそうだったわ。他人をどうでもいいとか無理だわ」
 マリサはよく考えれば当たり前のことだったと自嘲する。
コウイチ「そのマイちゃんだって、今は幸せそうだけれど、もしもこのお店に出会えなかったら、今頃どうなっていたか。そしてこれからどうなるか……高確率で不幸になっていたと思いません? だから、生まれてこないほうがいい子供っているんですよ、そんなのやってみなっけりゃわからないっていうかもしれませんが、分の悪い賭けになるでしょう?」
マリサ「うーん……それがあなたなりの善意なのね……まぁ、あんまり過激に、あらゆる子供は生まれないべきとか言うわけじゃあないなら、そういう考えもありかもね……」
 コウイチの言い分を聞いてマリサは納得する。世の中には、人類はすべて子供を産むべきではないという考えをする者もいる。だが、彼なりに不幸な人間を増やさないために行動しているのであれば、それを止めるのはよくないだろう。
コウイチ「……ところで」
 マリサに自分のやっていることを肯定してもらったところで、コウイチはリコの方を見る。
コウイチ「リコさん、一つお願いしたいことがあるんですが……確か、貴方の会社って名刺があると一回だけ指名料ゼロ円ですよね?」
リコ「え? うん……何、依頼? ならマジで助かるります。指名が多いと評価されて基本時給も上がるんです」
コウイチ「そうです、依頼です。いやそれが、アカリさんの家、めっちゃ汚いんですよ……俺も一緒に掃除手伝うってことになったから、掃除のプロにもお願いしようかなって。あ、靴にビニール袋巻けるようにしてくださいね」
リコ「あー……そういう家……まぁ、慣れてますが」
 コウイチの口ぶりから、彼女の部屋とやらは、靴にビニール袋を巻きたくなるくらいに足の踏み場もないということがわかり、リコは苦笑する。そんな家ももう慣れ切ったものだが、それを笑顔で警告するコウイチの顔は何だかさわやかで。ハシルが好きな顔と評価するのもわかる気がしたリコであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

一億円の花嫁

藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。 父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。 もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。 「きっと、素晴らしい旅になる」 ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが…… 幸か不幸か!? 思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。 ※エブリスタさまにも掲載

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...