BAR・ターミナル~ケモノ達の交わる場所~
本宮 リコ(もとみや りこ)は漠然と寂しいという感情を抱いていた。
季節は冬になり、街角にはイルミネーションが飾られて、まだ11月だというのに聖なる日を感じさせる音楽がそこかしこから聞こえる。冬毛でもっさりとしたカップルが肩を寄せ合い幸せそうに微笑んでいると、言いようのない焦燥感が沸き上がってくる。
リコは鹿人の女性で、社会人だ。今の職場に大きな不満があるわけではない。ふだんの暮しでは喜怒哀楽で言うところの、『楽しい』がそこそこあって、『怒り』と『悲しみ』は取り立ててない。しかしながら、『喜ばしい』も同様に取り立てて存在しないのが、最近の寂しさの原因だろうか。
なんせ、リコの職場にはまともな異性との出会いはほとんどなく、基本的には一人仕事だから、仲良くなれる職場の同僚というものはほとんどいない。研修の時、一緒に仕事に行ってくれた先輩とは連絡先を交換したことはあるが、今となっては月に数往復のやり取りがあればいい方だ。
誰か、SNSじゃなく、生身で話せるような友達を作って、たくさん話したい。そんな寂しさの中にあってリコは今、自宅近くにあるBAR・『ターミナル』の前へと訪れていた。
※小説の作法として無作法ではありますが、登場人物が複数集まる際に誰のセリフかわからなくなることを避けるため、セリフの前に名前を入れておりますが、ご了承ください。
季節は冬になり、街角にはイルミネーションが飾られて、まだ11月だというのに聖なる日を感じさせる音楽がそこかしこから聞こえる。冬毛でもっさりとしたカップルが肩を寄せ合い幸せそうに微笑んでいると、言いようのない焦燥感が沸き上がってくる。
リコは鹿人の女性で、社会人だ。今の職場に大きな不満があるわけではない。ふだんの暮しでは喜怒哀楽で言うところの、『楽しい』がそこそこあって、『怒り』と『悲しみ』は取り立ててない。しかしながら、『喜ばしい』も同様に取り立てて存在しないのが、最近の寂しさの原因だろうか。
なんせ、リコの職場にはまともな異性との出会いはほとんどなく、基本的には一人仕事だから、仲良くなれる職場の同僚というものはほとんどいない。研修の時、一緒に仕事に行ってくれた先輩とは連絡先を交換したことはあるが、今となっては月に数往復のやり取りがあればいい方だ。
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2025.4.11 完結 25649字