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泊まりがけの同窓会とオレンジ色
消えたオレンジ色の提灯キーホルダー
しおりを挟む眠たい目を擦りドアを開けるとツインテール姿の美奈が立っていた。戸惑った顔つきをしているけれどどうしたのだろうか。
「亜沙美ちゃん、大変だよ。あの提灯キーホルダーのことなんだけど……」
「大変? 提灯キーホルダーがどうしたの?」
わたしは、聞きながら嫌な予感がした。心臓がドキドキしてきた。その続きの言葉を聞きたくない。
「うん、それがね……わたしオーナーさんに電話で問い合わせよ。そしたら机の引き出しに保管していたってことなんだけどあの提灯キーホルダーがなくなっているんだって!」
「そ、そんな……!!」
わたしの心臓はドキッと飛び跳ねた。
「わたしもびっくりしてしまったよ。他の場所も探してくれたんだけどやっぱり無いって!」
「まさか、それってオレンジ色のキーホルダーがひとりでに動いたってことなの!!」
わたしは、あのオレンジ色の提灯キーホルダーが動いている場面を想像してしまった。全身から血の気が引くのを感じた。
「でも、そんなことってあるのかな?」
「ないと信じたいけど……」
今までに起こったことから考えるとオレンジ色の提灯キーホルダーに足が生えひとりでに動いたのではと思ってしまった。
「不思議だよね」と 美奈はぽつりと呟いた。
そして、ポケットからオレンジ色の提灯キーホルダーを取り出しわたしに見せた。
「み、美奈!! それ持っていたの」
わたしは、あまりの恐怖に目を閉じることさえできなくて口をぱくぱくさせてしまった。
「この提灯キーホルダーは亜沙美ちゃんが持っていたものなのかな?」
美奈は持っているオレンジ色の提灯キーホルダーをじっと眺めながら言った。
「み、美奈、そのオレンジ色の提灯キーホルダーを見せないでよ」
「あ、ごめんね」と言いながら美奈はポケットにオレンジ色の提灯キーホルダーを仕舞う。
わたしは、ほっとして息を吐く。だけど、美奈のポケットの中にあのオレンジ色の提灯キーホルダーがあるかと思うとゾクッとした。
美奈のポケットをじっと見ているとオレンジ色の提灯キーホルダーが透けて見えるそんな気がした。
「ねえ、亜沙美ちゃん、提灯キーホルダーも気になるけど外の雨も気になるんだよ」
「え? 外の雨」
「うん、大雨が降っているよ。土砂崩れとか起きて電車が運転見合わせになると困るね」
美奈はそう言って眉間に皺を寄せた。
「運転が見合わせになりそうなほど激しい雨が降っているの?」
寝ていて気がつかなかった。電車が運転見合わせになると困る。
だって、このコテージから帰れなくなるのだから。
帰ることができなくなるとオレンジ色の提灯と一緒にこのコテージに閉じ込められてしまう。
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