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俺達がこの世界にやって来たのは意味があるのかもしれない
緑色の美しい世界とチャーミにゃんのしょぼい棒切れみたいな杖
しおりを挟む俺達は新緑のトンネルを歩いた。鮮やかな緑色の新緑に俺の体が染まってしまいそうだ。風も空気も心地よい。
「もふもふ楽園は自然が豊かなんですにゃん」
チャーミにゃんがこちらを振り向き言った。
「だよな。空気が爽やかでスッと落ち着くよ」
俺は言いながら緑色の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。緑色に癒された俺の体から余計な力が抜けていく。
「きっと、成行と貧神は癒しが必要だったんですにゃん。わたしは地球に舞い降り二人に会った時にそう感じたにゃん」
「そうかだから俺達はこの世界に引き込まれたってことかな?」
貧神はふぁふぁとあくびをしながら言ったその時、青い空を見上げるとメジロをカラスくらいのサイズにした全身緑色の鳥が空を飛んでいる姿が目に入った。
「わっ、全身緑色の鳥だな」
「はいにゃん。あの鳥はミドリン鳥と言いますにゃん。癒しの鳥ですにゃん」
チャーミにゃんは空を見上げながら答えた。
「へぇ~珍しい鳥だな。鳥は空を飛べていいな」
俺は空を気持ちよさそうに飛ぶミドリン鳥を眺めた。俺達人間も空を自由に飛び回ることができたら気持ちいいだろうなと思った。
「わたしも鳥みたいに空を飛びたいなと思ってこの魔法の杖をブンブン振り回してるのに飛べないにゃん」
チャーミにゃんはそう言いながらしょぼい棒切れみたいな杖をじっと見つめている。
「あはは、そんな枝みたいな杖じゃ飛べないだろうな」
貧神はあははと笑いながら余計なことを言う。
「おいおい、貧神余計なことを言うなよ」
俺が貧神の肩をぽんっと叩いたその時、
「酷いにゃん、わたしの杖を枝だにゃんて酷いにゃん!!」
チャーミにゃんはにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんーーーーーーー!! と鳴いた。
その丸っこい大きな目から大粒の涙がぽろぽろこぼれた。
「わたし空を飛ぶにゃん!! 飛ぶんだからね」
チャーミにゃんは涙をぽろぽろこぼしながら棒切れみたいな杖を振り回した。
すると。
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