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ねえ当近さんわたしと交換日記をしない?
カレーライス
しおりを挟むその日の夕飯は、わたしの大好きなカレーライスだった。
お母さんが作ってくれるカレーライスは隠し味があるのか心を込めて作ってくれているからなのか外で食べるカレーライスより素朴ではあるけれど一番美味しいなと思う。
わたしは、ぺろっと平らげおかわりをする。カレーライスはいつも三杯食べるのだ。
「お母さん、おかわり~」
わたしがカレー皿を差し出すと、お母さんは受け取りながら「今日の海代ちゃんはいつもより明るいわね。いいことでもあったのかしら?」
お母さんはうふふと微笑みを浮かべカレー皿にご飯とカレールーを盛りつける。
「えへへ、バレたか。友達と交換日記を始めたんだよ」
わたしは正直に答え満面の笑みを浮かべた。
「あら、良かったわね。学校ツマラナイって言ってたもんね。はい、カレーよ」
お母さんは言いながらわたしの目の前にカレーライスを置いた。そのカレーライスはふわふわと湯気が立ちいい香りが漂う。
スプーンですくい口に運ぶと口の中が幸せでいっぱいになった。もしかしたら美衣佐も今頃カレーライスを食べていたりしてね。
美味しそうにカレーライスを食べている美衣佐を思い浮かべるとなんだか嬉しくなった。
いつも美味しいカレーライスがより美味しく感じる。うふふ幸せだなと思いながらカレーライスを頬張った。
だがその幸せな瞬間が、お母さんの「それでそのお友達は勉強ができる子なのかしら?」と言ったこの一言でガラガラと崩れ落ちる。
「……知らないよ。勉強できるとかできないなんてことは関係ないでしょ! ごちそうさま」
わたしは、三杯目のカレーライスを半分ほど残した状態のまま椅子から立ち上がった。お母さんはまだ、勉強のことを言ってくるのか。そう思うと美味しかったはずのカレーライスがドロドロしているものに見えてきて吐き出したくなった。
「海代ちゃん、カレーライスまだ残っているわよ。食べないの?」
「お腹が一杯になったからいらないよ」
わたしは、カレー皿をテーブルに置いたまま二階の自室に戻った。
お母さんなんか大嫌いだ。
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