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現実
この世界は……果たして
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パンケーキをたくさん食べたわたしは、幸せな気持ちになった。
お兄ちゃんは、食堂の手伝いに行った。昔からお兄ちゃんは食堂を継ぐんだと話していた。
だから、俺はこの町から離れないのだと。
わたしは、そんなお兄ちゃんが羨ましいけれどそんなに早く自分の将来を決めていいのかなと、幼心に感じていた。
『美味しい料理を作ってみんなを幸せにするんだ』それはお兄ちゃんの口癖だった。
お父さんもお母さんもそんなお兄ちゃんに期待していた。
わたしは、畳の上でゴロゴロする。
だけど不思議だ、あの展望台であったことを全てくっきりと覚えているのに……。
そう、わたしは、わたしは、あの時のことを考えると頭が重たくなってくる。
あれは、夢だったの? 幻だったの?
そう、あれは夢だった。だって、お兄ちゃんは、わたしの目の前に居たんだもん。だからこれが現実なんだ。
それしかない、そうなんだ。そうなのよ。
わたしは、玄関を出て、隣にある食堂を覗く。お父さんとお母さん、そして、お兄ちゃんの三人はキビキビと働いていた。
展望台で起きたと思っていることは夢だった、それしかない。わたしは、夢か幻をみていたんだ。うん、そうなんだと自分に言い聞かせて無理やり納得した。
わたしは食堂の引き戸をガラガラと開けた。
「いらっしゃいませ、あ、なんだ史砂か」とお父さんが言った。
食堂は昔ながらの雰囲気が漂い庶民的なのだ。
お父さんとお母さんと週三日パートで働いてる持永さん、それからお兄ちゃんが時々お手伝いをしていた。
壁には手書きのメニューが貼ってあり、お値段も安めで五百円から千円前後だ。
日替わり定食、キムチ炒め定食、エビフライ定食、ハンバーグ定食等々メニューも豊富にある。とても美味しいと好評だ。
「お、史砂、食いしん坊だから何か食べようかなって来たんだな」
お兄ちゃんは、わたしに気がつき、テーブルを拭く手を止めてにっと笑った。
「ち、違うもん。違うも~ん」
わたしが手をバタバタ振りながら言うと、お兄ちゃんは、
「またまた~だけど史砂は可愛いからなお兄ちゃんが何か作ってあげたくなるな」
お兄ちゃんの優しい笑顔が胸に突き刺さる。 わたしのお兄ちゃんは、生きているんだよね。
「お兄ちゃん、ご飯ちゃんと作れるのかな?」
わたしが、そう言って笑うと、お兄ちゃんは「作れるぞ、俺の腕を疑っているんだな」と言って笑った。
その笑顔に涙が出そうになった。
わたしは、幸せだった。本当に本当に幸せだった。お兄ちゃんが厨房で料理をしている。お父さんとお母さんもそんなお兄ちゃんの姿をじっと見つめ見守っている。
ありふれた日常。
ありふれている。だけど、わたしは幸せだ。だって死んだと思っていたお兄ちゃんが生きて動いているのだから。
これ以上の幸せなんてないと思う。
「さあ、史砂、お兄ちゃんの特製ランチを召し上がれ」
お兄ちゃんは、湯気が立っている熱々の料理を運んで来た。
お兄ちゃんは、食堂の手伝いに行った。昔からお兄ちゃんは食堂を継ぐんだと話していた。
だから、俺はこの町から離れないのだと。
わたしは、そんなお兄ちゃんが羨ましいけれどそんなに早く自分の将来を決めていいのかなと、幼心に感じていた。
『美味しい料理を作ってみんなを幸せにするんだ』それはお兄ちゃんの口癖だった。
お父さんもお母さんもそんなお兄ちゃんに期待していた。
わたしは、畳の上でゴロゴロする。
だけど不思議だ、あの展望台であったことを全てくっきりと覚えているのに……。
そう、わたしは、わたしは、あの時のことを考えると頭が重たくなってくる。
あれは、夢だったの? 幻だったの?
そう、あれは夢だった。だって、お兄ちゃんは、わたしの目の前に居たんだもん。だからこれが現実なんだ。
それしかない、そうなんだ。そうなのよ。
わたしは、玄関を出て、隣にある食堂を覗く。お父さんとお母さん、そして、お兄ちゃんの三人はキビキビと働いていた。
展望台で起きたと思っていることは夢だった、それしかない。わたしは、夢か幻をみていたんだ。うん、そうなんだと自分に言い聞かせて無理やり納得した。
わたしは食堂の引き戸をガラガラと開けた。
「いらっしゃいませ、あ、なんだ史砂か」とお父さんが言った。
食堂は昔ながらの雰囲気が漂い庶民的なのだ。
お父さんとお母さんと週三日パートで働いてる持永さん、それからお兄ちゃんが時々お手伝いをしていた。
壁には手書きのメニューが貼ってあり、お値段も安めで五百円から千円前後だ。
日替わり定食、キムチ炒め定食、エビフライ定食、ハンバーグ定食等々メニューも豊富にある。とても美味しいと好評だ。
「お、史砂、食いしん坊だから何か食べようかなって来たんだな」
お兄ちゃんは、わたしに気がつき、テーブルを拭く手を止めてにっと笑った。
「ち、違うもん。違うも~ん」
わたしが手をバタバタ振りながら言うと、お兄ちゃんは、
「またまた~だけど史砂は可愛いからなお兄ちゃんが何か作ってあげたくなるな」
お兄ちゃんの優しい笑顔が胸に突き刺さる。 わたしのお兄ちゃんは、生きているんだよね。
「お兄ちゃん、ご飯ちゃんと作れるのかな?」
わたしが、そう言って笑うと、お兄ちゃんは「作れるぞ、俺の腕を疑っているんだな」と言って笑った。
その笑顔に涙が出そうになった。
わたしは、幸せだった。本当に本当に幸せだった。お兄ちゃんが厨房で料理をしている。お父さんとお母さんもそんなお兄ちゃんの姿をじっと見つめ見守っている。
ありふれた日常。
ありふれている。だけど、わたしは幸せだ。だって死んだと思っていたお兄ちゃんが生きて動いているのだから。
これ以上の幸せなんてないと思う。
「さあ、史砂、お兄ちゃんの特製ランチを召し上がれ」
お兄ちゃんは、湯気が立っている熱々の料理を運んで来た。
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