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最悪な結末とは

真相……は恐ろしくて哀しい

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○月○日

  悪魔のカラスは、俺が史砂の身代わりになると言ったのにも拘わらず、友を犠牲にしない限り史砂を殺すと言った。

  俺は、親友の友を犠牲にすることなんて出来なくて何度も何度もカラスに、俺を殺してくれと頼んだ。

  だけど、カラスはそれは出来ない、一番憎いのは、史砂だと言った。

   史砂が俺達の卵を無邪気な顔で投げた。

  そして、三個の卵だった俺達は、史砂のせいでカラスになることができずに死んだと言った。


  
  俺は、どうすることも出来なくて毎日悩んだ。苦しい毎日が続いた。

  そんなある日、カラスはついに実行した。

  俺の大切な史砂を事故に遭わせて殺した。俺は、史砂を庇い助けようとしたが間に合わなかった。

  大事な妹の史砂は死んだ。助けてあげることが出来なくて苦しかった。

  俺は史砂を生き返らせたかった。


  
  ーーーーーー

  お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃんは、わたしのことを、そんなにも大切に思ってくれていたんだ。

  お兄ちゃんの優しい気持ちが嬉しくて涙が出た。わたしは、こんな子だったのに、自分が死んでもいいと思っていたなんて。

  お兄ちゃんの日記には続きがあり、次のページを開いた。

  
  俺は、史砂が死んで途方に暮れていた。

  カラスの卵を確かに史砂は投げた。だけど悪意があったわけじゃない。史砂は小さな子供だったんだから。

  俺は、カラスを憎んで憎んでそして悔しかった。俺は男だけど涙が溢れて止まらなかった。

   そんなある日、あのカラスが俺の前に現れた。

  お前が変わりに死んで史砂を生き返らせてやりたいのなら条件があると言ってきた。

  それは、『史敏、お前が死んで史砂が、ずっと哀しんでいるのなら史砂が生き返ったことは無効になり、お前が生き返るのだ』と言った。



  だから、俺は史砂にずっと笑顔で生きてほしいなと思った。

  俺が変わりに死んでくるから、史砂がずっと笑顔で幸せでいてくれますように。

  史砂、お前が笑って生きてくれていれば、お兄ちゃんは幸せだからな。なんの悔いもないから。

  いつまでも大切な妹、史砂へ。
   
   兄、史敏より。


  ーーーーー
 
 お兄ちゃん、ごめんなさい。史砂は笑っていられなかった。だってそうでしょ?

  大切なお兄ちゃんが死んで笑顔でいられるわけはないよね。

  お兄ちゃんは、こんなにもわたしのことを思っていてくれていたなんて嬉しいよ。

  わたしは、それだけで充分だからね。

  今度は、お兄ちゃんが本当の幸せを掴んでね。
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