梅子ばあちゃんのゆったりカフェヘようこそ!(東京都下の高尾の片隅で)

なかじまあゆこ

文字の大きさ
85 / 124
第六章 やっぱり梅子ばあちゃんのカフェが大好きだ

20

しおりを挟む

 まったくもう、この二郎さんという人は、おばあちゃんと出逢わなかったら、どんな人生を送っていたのだろうか?

 人は、出逢いや小さな選択の一つ一つで人生がころりと、変わるのかもしれない。

 わたしも、おばあちゃんのカフェで働いていなければ、また全然違う生活をしていたんだろうなと、二郎さんのこの絵本を見て感じた。

 就職をしていたら?

 都心でアルバイトをしていたら?

 今のこの生活がいいのか、他の道がいいのかは、まだまだ答えは出ないけど、とりあえずは、今出来ることを精一杯頑張ろうと思った。



 ーーー

 そんなこんなで、昨日は、楽しい楽しいお食事会だった。

 はじめて食べる伊勢エビラーメンに、可愛らしいサンタクロースのケーキ。里奈のハーフアンドハーフのケーキに笑ったりいろいろ盛りだくさんの一日だった。

 そして、極めつけは、二郎さんのあの絵本。どれだけ絵が上手なのとびっくりして、何よりもおばあちゃんのことをよく観察しているなと感心した。

 あの天井まで届くような本棚にもびっくりした。

 二郎さんは、帰り際にまたいつでも来てくださいねと笑って手を振った。

 今度は、お客様として行ってみようかな。

 伊勢エビラーメンを頼むことはもちろんできないけれどね。



 そして、おばあちゃんのカフェの本棚には、二郎さんお手製の絵本が並べられている。

 二郎さんが、是非、梅子さんに持っていてほしいとのことで、おばあちゃんが持って帰ってきたのだ。

 このカフェは、わたしにとっても大切な場所。

 きっと二郎さんのように『梅子ばあちゃんのゆったりカフェへようこそ』に訪れて心地よい空間だなと、思ってくれている人がいるはずだ。

 わたしも、その心地よい空間をつくっていくことに少しでも役に立てているのならば、とても幸せなことだなと思う。

 さあ、仕事だよ。

 今日も一日頑張るぞ!



 テーブルも綺麗に拭き、お掃除もすべて完了した。

 カランコローン!

 あれ?

 まだ、お客様が来るには少し早いよね。壁掛け時計を確認すると、開店までやはり十分程あった。

 視線を扉に向けると、店内に入ってきたのは、佐美さんだった。

「ヤッホー、るり子ちゃん~」

 元気に挨拶をしてくる。こんな時の佐美さんはなんだか怪しい。何か企んでいるのかもしれないので、思わず構えてしまう。

「なあに?   佐美さん」

 佐美さんは、ニタニタ笑っている。なんだか恐ろしい。


 佐美さんは、わたしの問いに答えず、ニタニタ笑い続けている。

「だから、なんなの佐美さん?」
「じゃ~ん、商店街の福引きを引いたら当たりました~」と、佐美さんは得意げに胸を張り答えた。

 福引きが当たったのならば、早く当たったといえばいいのに、変な佐美さんだ……。

「ちょっと~佐美さん何が当たったの?」

 佐美さんは、小首をかしげたあと、

「これで~す」と言ってわたしに見せた。そう、佐美さんが見せたものは。


 それは、『ご旅行券』だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...