生まれ変わったらもふもふ猫に囲まれて暮らしたいと言ったよ。だけど猫だけの世界に俺一人だけ人間なんだ!

なかじまあゆこ

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ただいま

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  俺は猫助とにゃんぴの背中を見送ると、元気よく「ただいま~」と木製の玄関の扉を開けた。

「おかえりなさい」

  いつものようにお母さんの明るい声が部屋の奥から聞こえてきた。俺はその声を聞いてホッとした。

  この家に帰ってこられて良かった。俺は頬を緩め玄関でスニーカーを脱ぎ部屋に上がる。

 「お母さん、今日の夕飯は何かな?」

  俺は台所でトントントンと包丁で野菜を切っているお母さんの背中に聞いた。

  お母さんは、俺の声に振り返り、「今日はラーメンとチャーハンよ」と言った。

「おっ、それは嬉しいよ。俺の大好物だよ」

「手を洗ってうがいをしなさいね」

「は~い、分かったよ」

  俺は素直に返事をして洗面所へ向かった。

  水道の蛇口をひねり手を洗いゴロゴロとうがいをして洗面所の鏡を見た。その鏡に映るまだ幼さの残る俺の顔は猫じゃなくて人間なのだ。

  そして、自分の顔をぼーっと見ていると緑町のカフェ『不思議な家へようこそ!』のあの三毛猫の店員さんの顔を思い出しぶるっと震えた。

さあ、余計なことは考えないで「ご飯の時間だ、ラーメンにチャーハンだよ」と俺は声に出した。

  猫助ではないけれどラーメンを食べる前からヨダレが垂れた。俺としたことが……慌てて 水道の水を止めた。

  俺は美味しいラーメンを思い浮かべ台所に向かった。ちょうどその時、「ただいま~」とお父さんの元気な声が聞こえてきた。

  俺は「おかえりなさい~」と明るい声で出迎えた。

  ただいまやおかえりなさいと言える場所があることは幸せなことだよなと思った。

  この家は俺の大切な居場所です。
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