生まれ変わったらもふもふ猫に囲まれて暮らしたいと言ったよ。だけど猫だけの世界に俺一人だけ人間なんだ！

猫歌さんの秘密

「こんにちは。俺は猫助です。猫町一の食いしん坊です」

「こんにちは。わたしはにゃんぴです。人間の女の子を見たのは初めてなのでちょっとびっくりしました」

  猫助とにゃんぴも挨拶をした。

「わたしは猫歌です。歌を歌うことと文章を書くことが好きです」

  猫歌さんはそう言って妖精が歌を歌っているような綺麗な声で挨拶をした。

  猫歌さんの綺麗な声と可愛らしい笑顔を眺めているとこの部屋に閉じ込められている人の顔には見えなかった。

  俺がそんなことを考えながら猫歌さんをじっと見ていると目が合った。

「わたしの顔に何かついていますか？」

  猫歌さんはそう言って首を傾げた。

「あ、いえ……」

  猫歌さん、あなたは前世での俺のお母さんですかと聞きたいけれど聞けない。

「そうですか」

  猫歌さんはきょとんとした顔で俺を見た。

  そして、「わたしにわざわざ会いに来たのは同じ人間がいるかの確認だけだったのですか？」と聞いた。

「……それもありますけど」

「ありますけど？」

「それは……」

  俺がそこまで言ったところで、

「このお客様、いえ、猫太さんは猫歌さんが前世でのお母さんかもしれないと仰いました」

  アメヨさんが俺の代わりに言った。

「えっ！？  わたしが猫太さんの前世のお母さんなんですか？」

  猫歌さんは、それはもう目を大きく見開き大きな丸い目がより大きくなっている。

  この様子は猫歌さんには前世での記憶がないということだろうか？

  でも、猫歌さんは……というか俺の前世でのお母さんは、

『うん、猫がたくさんいる世界なんだけどね……って言うか猫しかいないのかも。不思議な世界でしょ？』と言った。

『ねえ、母さんそれってその猫がたくさんいる猫しかいない世界ってまさか』

  と俺が聞くと、

『猫が住んでいる緑町というところなんだけど』と答えた。


  そして、その緑町に閉じ込められていると言ったのだけど……。