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沖縄で働きます

朝食バイキングスタートです

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 そして七時になると泊まり客のお客様が、朝食会場に何人かやってきた。

 朝食の時間帯は七時から十時まで。バイキング形式なので好きなだけ食べる方式だ。

 ホテルの部屋代に込みの無料朝食。

 調理場では真中さんが真ん中に立ち、「さあ! 皆さん、今日も張り切って頑張りましょう~」と号令をかけた。

 すると、従業員は「エイエイオー!」と声を出した。

 なんなの? なんなの? このエイエイオーとは! わたし達も言わないと駄目なのかな?

 こんな気合いの入れ方は嫌だなと思った。

  朝食会場をちらりと覗くと、泊まり客のお客様がお皿にそれぞれ好きな食べ物を盛りつけている。

 そんなに食べるの? と思うぐらい山盛りに盛る人。

 少食なのかダイエット中なのか、ちんまりとしか盛らない人。

 いろいろ種類があるのに、同じ食べ物ばかり山盛りに盛る人。

 あるメニューを全てお皿に盛る人。

 人それぞれで、見ていて面白い。

 そんな様子を眺めていると、お腹が空いてきた。

 わたしも食べたいな。

 旅行で沖縄にきていたらもっと楽しかったかな? なんて思えてくる。

 だけど、旅行できていたら、旅が終わればあの会社が、わたしを待っていた。

 今は、この場所がわたしの職場なんだ。

 今の方がきっと良いはず。そう、きっと。

  物思いにふけっていると、

 「並木さーん! パンが少なくなっているわよ! 早く持って行って」と真中さんは大きな声で言ってわたしにパンの籠をぽーんと渡した。

 「はーい」

 真中さんから受け取ったパンの籠に、トングを使い、アンパン、クロワッサン、コーンパン、食パンなどをどんどん入れていく。

 パンを入れた籠を急いで、バイキングコーナーのテーブルに置く。

 わたしが調理場に戻ろうとすると、

 「お姉ちゃん、オレンジジュースがないけど」

 とお客様に言われて、「はーい、今お持ちします」とオレンジジュースの紙パックを急いで探す。

 慣れない仕事なのでてんてこ舞いだ。

  ああもう嫌だ! これはオレンジジュースの紙パックじゃない。アップルジュースの紙パックだとか、もう捜し物をするだけで大変である。

 朝食会場は時間が経つにつれてお客様がどんどん増えてくる。わたしの仕事も、より忙しくなる。

 サラダがなくなると補充して、大きな炊飯器に入ってるご飯も空っぽにならないように常に確認し、お味噌汁も、おかずも無くならないように、気を配らないとならない。

 お皿もコップもなくなると、食事ができなくなるからちゃんと見ておかないと。

 真理子は先程から、「みどりちゃん、もうわたしクタクタだよ~」と半泣きになっている。

 「わたしも同じく、クタクタだよ~」

  クタクタなわたしと真理子。このまま地べたにでもいいから座りたいと思っていたら、

 「並木さーん、梅木さーん、どちらでもいいからテーブルを拭いてきて」

 と真中さんは言って台ふきんをぽーんと投げた。その台ふきんをわたしは見事にキャッチしてしまった。

 仕方ないので、重い腰を上げてテーブルを拭く。

 美味しそうな料理が目に入る。。

 朝ごはんは食べたのにお腹が空いてお腹の音が聞こえそうだ。

 わたしもバイキングしたいなと横目で羨ましそうに食事風景を眺めていたとき、

 ガシャーン!! と大きな音がした。
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