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近所を散策(シーサーを探そう)
真理子のシーサー
しおりを挟む袋の中からシーサーが出てきたんだけれど。真中さんはそのシーサーを見て一瞬手を止めた。それから、真理子の方にシーサーを向けて、
「これは何?」と聞いた。
「何って? シーサーですよ」
真理子はきょとん顔で首を傾げている。
ちょっと、これはマズイかもしれない。だって、真理子のシーサーは、色は水色。笑顔を浮かべているシーサー、ここまではいいのだけど、そのシーサーが手に持っている物に、
『笑ってね! そしたらもっと幸せになれるから! 怒ってばかりいると幸せが逃げるよ』 と書いてあったのだ。
ああ、真理子……。
もうこれはダメだ。
真理子はニコニコ。真中さんはヒクヒク。
そして、真中さんは、鬼瓦寸前! 沸騰湯沸し器爆発までのカウントダウンが始まっているではないか。
それに全く気がつかない真理子。
五、四、三、二、一とわたしは心の中でカウントダウン。
は~い。どっか~ん。
真中さんは口を開いた。
「梅木さん……」
「は~い」
「あなたは、わたしに当て付けをしたいのですか?」
「はい?」
真理子は悪気なんてない筈なんだけれど……。
「梅木さん!」
真中さんは、真理子に詰め寄る。
「当て付けとはどういうことですか?」
真理子は、どうして真中さんは怒っているんだ? という不思議そうな声で聞き返した。
「だから、これですよ」真中さんは、シーサーを手に取り真理子に見せ、
「『この怒ってばかりいると幸せは逃げるよ』これはわたしの事を言っているのかしら」と顔を上記させて言った。
「あ、それですか、なんだ。それは言葉の通り、怒ってばかりいると幸せが逃げるな~と思ったから笑顔になるといいなぁ~と思ったんですよ~」
真理子、やっぱりこれは、マズイ発言のような気がするけど……。
「それはそれは優しい気遣いをありがとうございます。う、め、き、さん」
「へへっ。真中さんに感謝された~」
真理子、それは違うと思う。真中さんは爆発寸前なんだってば!
「梅木さん」
「は~い」
「梅木さんあなたにはお礼と致しましてトイレ掃除を一週間して頂きます」
「はっ?」
真理子は訳がわからないという声を出して、その場に固まり立ち竦んだ。
これって慰めるの笑うのどちらの場面なんだ……。
真理子には悪いけれどわたし笑ってしまいそうだ。
真中さんに、トイレ掃除一週間言い渡された真理子は、暫くの間その場に呆然と立ち尽くした。
そして、わたしに視線を向け、「みどりちゃん、これはどういうこと?」と聞いた。
「真理子、あんたは真中さんの怒りを買ってしまったみたいだね」
「どうしてよ~わたしは喜んでもらいたくて、シーサーをあげたのに!」
真理子の半泣き顔を見ると可哀想になった。でもどうしてあげることもできないのだ。
「あ、並木さん、梅木さんのトイレ掃除を手伝ってあげても構わないですよ」と真中さんがこちらに戻ってきて言ったのだ!
わたしはどうにかしてあげることができるみたいだ! って、違う~なんでわたしが真理子のとばっちりを受けないとならないのよ……。心の中で叫ぶわたしだった。
あんまりだ!!
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