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彩実は

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「もうミケッコ勝手にお散歩しちゃダメでしょ。迷子になったら大変よ」

  彩実はミケッコのことをとても心配していたようだ。

  ミケッコは『ごめんなさいにゃん』と返事をしているのだけど彩実にはにゃーんとしか聞こえないようだ。

「こんにちはにゃ~ん」

  シロッコはにゃぱにゃぱ笑い挨拶をした。

「えっ!?  猫ちゃんが喋ったよ~まさかの化け猫ちゃんかな~」

  彩実は目をこれ以上開けないくらい大きく見開きシロッコの顔を見た。

「化け猫と違うわよにゃん。わたしはもふもふパラダイスのって、あ、言って良かったかにゃん」

「もふもふパラダイスってまさかシロッコちゃんかな?」

  彩実はなぜだかシロッコのことを知っているらしい。

「えっ!?  わたしの名前を知っているの?」

   今度はシロッコの目を見開く番だ。

「わたし、シロッコちゃん宛に手紙を書いた彩実よ」

  彩実はシロッコの顔を真っ直ぐ見て言った。

「彩実ちゃんはお手紙をくれた人なのにゃん?」

  シロッコは驚きのあまりトマトをカゴからぽとりと落っことした。

「そうよ。シロッコ様へと書いたよ」

「おっ!  そうなのねにゃん。地球からわたしのことを呼んでくれて嬉しいにゃん。改めましてわたしは、もふもふパラダイスの猫シロッコですにゃん!」

  シロッコはぺこりと頭を下げた。


「こちらこそよろしくね。森内彩実です」

  彩実は満面の笑みを浮かべた。
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