上 下
295 / 407

ミケにゃんとお母さん

しおりを挟む
「うん、あれはミケにゃんのお母さんだったと思うにゃん。トマトのぬいぐるみをじっと見ていたにゃん」

「そっか、それでミケにゃんちゃんはお母さんに声をかけたの?」

  わたしが尋ねるとミケにゃんは、「そ、それが声をかけようとしたんだけどにゃん……どうしようにゃんと考えてるうちにお母さんはお店の外に出て行ってしまったにゃん」と言ってしょんぼりした。

「そっか……」
「ミケにゃん……」

  わたしとシロッコは顔を見合せた。そのお互いの表情は泣きそうになっていた。

「ミケにゃんちゃんはその後お母さんを追いかけたの?」

「うん、追いかけたにゃん。だけどお母さんの足は速くて見失ってしまったにゃん……」

  そう言って俯くミケにゃんにシロッコが「じゃあ、もう一度探そうにゃん」と言った。

「う、うん。探すにゃん」
「ミケにゃん、行こうにゃん」

  シロッコはミケにゃんの腕を引っ張った。やっぱりシロッコはミケにゃんお姉さんみたいだ。とってもしっかしてるし頼りになる。

  シロッコに引きずられるような形で走るミケにゃんの後をわたしも追いかけた。ミケにゃんはお母さんに会いたいよね。ちゃんと話をしたいよね。だって、ミケにゃんはまだ幼いんだから。学校であったことや楽しかったことそれから悲しかったことや悔しかったことなど色々話をしたいよね。

  そんなことを考えながら走っていると涙が出そうになった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界モフモフ食堂!美味しいご飯で幸せいっぱい!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:134pt お気に入り:1,552

婚約者の義妹に結婚を大反対されています

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:53,031pt お気に入り:5,008

不本意な転生 ~自由で快適な生活を目指します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,534pt お気に入り:3,676

処理中です...