高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ

文字の大きさ
184 / 198
ムササビカフェ食堂で今日も

頑張りました

しおりを挟む
「美味しそうだにゃん」

「ねっ、美味しそうでしょう。ってちょっとミケちゃんどうしてお皿に顔を近づけているのよ」

「うにゃん?」
「うにゃんじゃないよ。これはおばあちゃんのご飯なんだからね」

 気がつくとミケが厨房にいてしかもお皿に顔を近づけているのだった。

「そっか、美味しそうなのににゃん」

 ミケは残念そうに呟く。

「おっと、真歌さん。『豚肉としめじの炊き込みご飯とたけのこの炊き込みご飯のハーフアンドハーフ』完成したんですね」

 高尾さんがそう言ってお皿を覗き込む。

「はい、完成しましたよ」

 わたしはにっこりと笑い、心の中でガッツポーズする。

「素晴らしい出来栄えですね」
「えへへ、ありがとうございます」
「真歌さん顔がニヤけていますね」
「へ? そ、そっかな」
「めちゃくちゃニヤけていますよ。でも、本当に素晴らしい出来栄えですよ。真昼さんに引けを取らないほどに」

 高島さんは人差し指と親指で丸を作りニコッと笑った。

「わ~い! それはとても嬉しいです。実は、真昼ひいおばあちゃんに手伝ってもらったんですよ」

 わたしは真昼ひいおばあちゃんのあたたかい手の温もりを思い出しながら言った。


「え? 真昼さんに手伝ってもらったってどういうことですか!? まさか真昼さんが戻ってきたなんてことはないですよね?」

 高男さんは目を大きく見開いている。

「真昼ひいおばあちゃんの手の温もりを感じたんですよ」

 そう、あのあたたかい手の温もりは真昼ひいおばあちゃんに間違いない。

「そうでしたか。真昼さんは真歌さんを見守ってくれているんですね」

 高男さんの目は真昼ひいおばあちゃんを見ているようで穏やかだった。

「はい、きっと」
「真昼さんが手伝ってくれたから素晴らしい出来栄えなんですね~」

 高男さんは悪戯っぽく笑う。

「あ、そうだけど、わたしも頑張ったんですからね」
「はいはい、わかっていますよ。真歌さんはいつでも一生懸命ですもんね」

 高男さんはクスクスと笑い「さあ、真朝さんに食べてもらいましょうね」と言った。

「はい、おばあちゃん喜んでくれるかな?」

 わたしは、お盆に『豚肉としめじの炊き込みご飯とたけのこの炊き込みご飯のハーフアンドハーフ』と高男さんが淹れてくれた紅茶を載せおばあちゃんの元へ運んだ。


「あら、美味しそう。綺麗に盛り付けられているわね」

 おばあちゃんは目の前に置かれた『豚肉としめじの炊き込みご飯とたけのこの炊き込みご飯のハーフアンドハーフ』に視線を落としうふふと笑った。

「わたし頑張って盛り付けたんだよ。それとね、真昼ひいおばあちゃんに助けてもらったんだ」

「え? お母さんに?」

 おばあちゃんは不思議そうにわたしを見る。

「うん、真昼ひいおばあちゃんのね優しい手の温もりを感じたんだよ。真歌ちゃんなら大丈夫だよって言われた気がしたんだ」

 わたしは左手で自身の右手にそっと触れた。あの時じわりと伝わってきた温もりにありがとうと感謝をする。

「お母さんが応援してくれたのよね。きっと、そうだわ」

「うん、だからね。今は真昼ひいおばあちゃんに会えなくても寂しくないかな」

「そうね。では、お母さんが真歌ちゃんを応援してくれた料理を食べるわね」

「はい、どうぞ」

 おばあちゃんはお箸を手に取り炊き込みご飯を口に運ぶ。

 しばらく味わっている様子を見せそれから、

「うん、とても美味しいわ」と微笑みを浮かべた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』

チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。 家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!? 主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。

月華後宮伝

織部ソマリ
キャラ文芸
★10/30よりコミカライズが始まりました!どうぞよろしくお願いします! ◆神託により後宮に入ることになった『跳ねっ返りの薬草姫』と呼ばれている凛花。冷徹で女嫌いとの噂がある皇帝・紫曄の妃となるのは気が進まないが、ある目的のために月華宮へ行くと心に決めていた。凛花の秘めた目的とは、皇帝の寵を得ることではなく『虎に変化してしまう』という特殊すぎる体質の秘密を解き明かすこと! だが後宮入り早々、凛花は紫曄に秘密を知られてしまう。しかし同じく秘密を抱えている紫曄は、凛花に「抱き枕になれ」と予想外なことを言い出して――? ◆第14回恋愛小説大賞【中華後宮ラブ賞】受賞。ありがとうございます! ◆旧題:月華宮の虎猫の妃は眠れぬ皇帝の膝の上 ~不本意ながらモフモフ抱き枕を拝命いたします~

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

処理中です...