【完結】公国第二王子の一途な鐘愛 〜白い結婚ではなかったのですか!?〜

緑野 蜜柑

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〜10. 一途な鍾愛〜

ロザリアの告白

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「すっかり朝になってしまったな…」

窓から差す陽の光に目を細めながら、殿下がそう苦笑する。御母上の死をはじめ、思い出したくない過去もあったはずなのに、殿下がわたくしに全てを話してくれたことが嬉しかった。

「こんな時間まで、すまなかった」
「い、いえ…! 殿下のことを知ることができて、嬉しかったですわ」

わたくしの言葉に殿下が微笑む。その柔らかい表情にドキッとする。いつもと変わらない笑顔。でも、こんなに優しかったかしら…

「部屋まで送ろう」
「きゃ…っ!?」

身体をフワッと抱き上げられ、驚いて殿下にしがみつく。

「ひ、一人で、大丈夫ですわ…!」
「駄目だ。そんな赤い目の貴女を一人で帰したら、またレイラに叱られる」
「え…っ、あ…」

完徹した上に、泣き腫らした瞳。まだ熱を持っていて、瞼が重たい。殿下の言う通り、赤くなっているのだろう。

「す、すみません…」

きっとひどい顔をしている。恥ずかしくなって視線を伏せると、殿下がコツンとわたくしにおでこをぶつけた。

「謝る必要はない。僕のために泣いてくれた貴女の瞳が、僕は堪らなくいとしい」
「─…っ!」

その言葉に頬が熱くなる。あ、甘すぎないかしら…。さっきからわたくしばかりドキドキさせられている気がする。

「あ、あの…っ、殿下…!」
「ん…?」
「わ、わたくしも、その…、殿下のことを…お慕いしていますから…!」
「え…?」

殿下の瞳が、キョトンと丸くなる。

「も、もちろん…、殿下がわたくしを想ってくださっていた時間に比べれば、全然、短いのですけれど…」
「ロ、ロザリア…?」
「で、でも…っ、わたくし、男性にこんな感情を抱いたのは、殿下が初めてで…っ」
「ち、ちょっと待ってくれ…」

わたくしの言葉を制止した殿下は、驚いた顔でこちらを見ている。

「…?」
「あ、貴女が…、僕を…慕っている…?」
「え…? ええ。慕っていますわ」

そう答えると、殿下の顔がみるみる赤く染まり、そのままフイっと顔を逸らされた。耳の先まで真っ赤だ。

「で、殿下…?」
「─…っ!」

目の前の真っ赤な耳に指先で触れると、殿下の身体がビクッと跳ねる。

「さ…っ、触らないでくれ…、今は…!」
「は、はい…っ」

慌てて手を引っ込めると、赤い顔のまま、殿下がこちらを向いた。

「そ、その話の続きは…、今夜、もう一度ここで頼む…」
「え…?」
「じゃないと僕は、このまま今日の執務をほうって、貴女を抱いてしまう…」
「─…っ!?」

その言葉にコクコクと頷くと、殿下は足早に、わたくしを自室まで送り届けてくれた。
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