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第8話
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「あんたその格好どうにかしなさい。」
「えー。家だからいいじゃん。」
「まったく。亮くんに見られたら恥ずかしいわよ。」
そう言いながら夕飯の準備を進める母に聞く。
「なんで、亮ちゃんがでてくるの?」
「あら、言ってがなかったかしら?今日夕ご飯食べにくるのよ。」
「聞いてない!!」
「朝。いったじゃない。なつみの前で話してたでしょ?聞いてないなつみが悪いのよ。」
「言ってないよ。」
「そうだったかしら、まあ、今言ったんだからいいじゃない。早くきがえてきなさい。亮くん来ちゃうじゃない。」
ヨレヨレの何かのキャラクターのシャツにスカートの中にはいていたスパッツ。
確かにダサい格好で人に見せる格好じゃない。
「着替えてくる。」
慌てて階段を登ると、服をえらぶ・・・。
何着たらいいの?
部屋着は、あるけど外で着れないから部屋着になった物が多く。
かと言ってばっちり着込むのはなんか恥ずかしい。
どうしよう。
とにかくあんまり気合いの入ってなくラフなのを取り出し鏡で当ててみておかしくないのを確認して、脱ごうと服を胸まで上げた時だった。
コンコン。ガチャ
「なつみ。おばさんが・・・」
その言葉の先はなつみの悲鳴でかき消された。
すぐにドアを閉めた亮になつみはドアに向けて枕を投げる。
ボスっと音が、するとドア越しから「ごめん。着替えてるとは知らなかったんだ」と言う言い訳をしているが、気が静まらないなつみは「変態」と次々と文句をいっていく。
「いや、悪かったって言ってんだろ。わざとじゃ無いし、おばちゃんが呼んでこいって言ったんだからな。」
「うるさい。亮ちゃんのバカ」
「あのなぁ、今更おまえの着替え見たってかわんねぇって。風呂で裸も見たことあるだろうが」
「はぁ。それ小さい頃でしょ。何年たったとおもってんの。」
「そんなにかわんねぇだろ?」
着替え終わりドアを怒りに任せながらひらくと亮を睨む。
「いろいろ大きく変わりました!!」
「はいはい。少しは大きくなってたな。」
「少しって何よ」
「少しってのは、ピンクのブラをつけるくらいってこと」
真っ赤になりながら亮を叩くと、痛い痛いと言いながらリビングに逃げる。
「亮ちゃんのせいでお嫁にいけなくなったらどうするのよ。」
そう叫ぶと、「あら。見ちゃったの?」っと笑いながら亮を見た母が、それならと。
「なら、亮くんに責任とって、お嫁に貰って貰えばいいじゃないの。おかあさん大賛成。」
「おかあさん何言ってるの!!」
「亮くん。うちのなつみでよかったら貰ってくれるかしら。」
「おかあさん。」
「えっと、なつみの相手が見つからなかったら、責任とって一応。善処します。」
「善処ってなによ。」
「約束ね。」
「はい」
念を押す母に苦笑気味に応える亮になつみは無視されたまま叫んだ。
「本人の意思を確認して!!」
その後。「何に文句があるんだか」っとおかあさんがブツブツ言ってくるのをプイッと顔を逸らすことで反抗する。
「なつみ。機嫌なおせって。」
「知らない。」
ごめん。ごめん。と何度も謝りながら頭を撫でてる亮ちゃんにちょっとヤサグレた気分が落ちつくも、まだまだそれくらいじゃ許さないぞっと睨む。
「そんな顔したら、可愛くないぞ」
ぶにっとほっぺを摘むと横にひっぱられる。
「ほにすひるの」
喋らずらくなった口で講義するが、うんうん。と頷きながら、「こっちの方が可愛いぞ」っと言われて散々ホッペを弄ばれることになった。
なんか理不尽だ。
余計に腹を立てた私に
「んー。しょうがないな。本当は誰かにやるつもりだったんだけど」
っと前置きしつつ。何やらチケットを出す。
「駅前に新しくできたケーキ屋の割引き券いるか?」
「券だけ?」
睨むように次の言葉を待つ。
「はぁ。奢ってやるから一緒に行くか?」
「言い方が違う。」
「・・・奢らせて貰いますから、一緒に行ってもらえますか?」
「んー。どうしよっかなぁ」
「なつみと行きたいなぁ。」
「しょうがないなぁ。亮ちゃんは!!そこまで言うなら行ってあげよう。」
「おう。ありがとう。じゃあ、これで機嫌なおしてくれるか?」
「んー。考えとく。」
「おい。」
「瑠美ちゃんも誘おうかなぁ」
「こらまて」
「明美ちゃんも琴音ちゃんも美和ちゃんも予定あいてるかな?」
「おい。増えていってるぞ。せめて、1人にしてくれ」
「ふふふ。冗談だよ。瑠美ちゃんは、誘うかもしれないけどね~。」
「はぁ、お前なぁ」
「なつみいい加減にそこらへんにしときなさい。そして、2人ともじゃれあってないでご飯の準備手伝って」
「「はーい」」
お母さん怒られながら、急いで2人で準備し始めた。
ちなみに今日の夕食は、キャベツたっぷりのロールキャベツでなつみが大好きなご飯の一つだった。
まるでさっきまでの事が嘘のようにご機嫌になったなつみを見て、亮ちゃんが「はやまったなぁ」っと言っているのを「取り消せないからね」っと念を押しし、「はいはい。わかってる。」っとちょっと投げやりに返されたりしながら食事は終わった。
「亮ちゃんもう帰るの?」
「そうだな。そろそろ帰ろうかなぁ」
「ふふふ。久しぶりにその会話聞いたわ。なつみは、亮くん帰ろうとすると、ソワソワしてどうにか亮くんを引きとめようとするのよね。」
「べつに引き留めてないし。」
「たまに食べ物も、貰いましたね。」
「ふふふ。そうそう大事に取っておいたデザートとかね。食べる時間だけは引き留められると思ってあげるんだけど、自分も食べたいから亮くんの食べるのじっと見てるのよね。」
「そうですね。かなり見られて食べずらかったですよ」
「えー。そんなことしてない。」
「あったわよ。だから、いつも亮くんが半分こにしてなつみにあげてたじゃない。」
「そうだっけ?」
「そう、今にもよだれ垂らしそうな感じで見られてたからな。」
「垂らしてない。」
「垂らしてはないな。垂らしそうだったけど」
「亮ちゃん!!」
「はははっ冗談だろ。」
「今日は、ご馳走様でした。美味しかったです。」
「いいのよ。いつでも食べに来て」
「ありがとうございます。」
「亮ちゃん。ケーキ約束だからね。」
「わかったっていってるだろ。食い意地張りすぎ」
「張ってない!!」
「はいはい。じゃあな。」
いつものように頭をポンポンと撫でて出て行く亮ちゃんの背中を見つめながら頭に残った感覚がいつまでも嬉しくてつい頬が緩んでしまう。
「ふふふ。あんたは本当に亮ちゃんが好きね~。」
そんなことを言う。お母さんを無視して、私は二階に駆け上がった。
「あんたその格好どうにかしなさい。」
「えー。家だからいいじゃん。」
「まったく。亮くんに見られたら恥ずかしいわよ。」
そう言いながら夕飯の準備を進める母に聞く。
「なんで、亮ちゃんがでてくるの?」
「あら、言ってがなかったかしら?今日夕ご飯食べにくるのよ。」
「聞いてない!!」
「朝。いったじゃない。なつみの前で話してたでしょ?聞いてないなつみが悪いのよ。」
「言ってないよ。」
「そうだったかしら、まあ、今言ったんだからいいじゃない。早くきがえてきなさい。亮くん来ちゃうじゃない。」
ヨレヨレの何かのキャラクターのシャツにスカートの中にはいていたスパッツ。
確かにダサい格好で人に見せる格好じゃない。
「着替えてくる。」
慌てて階段を登ると、服をえらぶ・・・。
何着たらいいの?
部屋着は、あるけど外で着れないから部屋着になった物が多く。
かと言ってばっちり着込むのはなんか恥ずかしい。
どうしよう。
とにかくあんまり気合いの入ってなくラフなのを取り出し鏡で当ててみておかしくないのを確認して、脱ごうと服を胸まで上げた時だった。
コンコン。ガチャ
「なつみ。おばさんが・・・」
その言葉の先はなつみの悲鳴でかき消された。
すぐにドアを閉めた亮になつみはドアに向けて枕を投げる。
ボスっと音が、するとドア越しから「ごめん。着替えてるとは知らなかったんだ」と言う言い訳をしているが、気が静まらないなつみは「変態」と次々と文句をいっていく。
「いや、悪かったって言ってんだろ。わざとじゃ無いし、おばちゃんが呼んでこいって言ったんだからな。」
「うるさい。亮ちゃんのバカ」
「あのなぁ、今更おまえの着替え見たってかわんねぇって。風呂で裸も見たことあるだろうが」
「はぁ。それ小さい頃でしょ。何年たったとおもってんの。」
「そんなにかわんねぇだろ?」
着替え終わりドアを怒りに任せながらひらくと亮を睨む。
「いろいろ大きく変わりました!!」
「はいはい。少しは大きくなってたな。」
「少しって何よ」
「少しってのは、ピンクのブラをつけるくらいってこと」
真っ赤になりながら亮を叩くと、痛い痛いと言いながらリビングに逃げる。
「亮ちゃんのせいでお嫁にいけなくなったらどうするのよ。」
そう叫ぶと、「あら。見ちゃったの?」っと笑いながら亮を見た母が、それならと。
「なら、亮くんに責任とって、お嫁に貰って貰えばいいじゃないの。おかあさん大賛成。」
「おかあさん何言ってるの!!」
「亮くん。うちのなつみでよかったら貰ってくれるかしら。」
「おかあさん。」
「えっと、なつみの相手が見つからなかったら、責任とって一応。善処します。」
「善処ってなによ。」
「約束ね。」
「はい」
念を押す母に苦笑気味に応える亮になつみは無視されたまま叫んだ。
「本人の意思を確認して!!」
その後。「何に文句があるんだか」っとおかあさんがブツブツ言ってくるのをプイッと顔を逸らすことで反抗する。
「なつみ。機嫌なおせって。」
「知らない。」
ごめん。ごめん。と何度も謝りながら頭を撫でてる亮ちゃんにちょっとヤサグレた気分が落ちつくも、まだまだそれくらいじゃ許さないぞっと睨む。
「そんな顔したら、可愛くないぞ」
ぶにっとほっぺを摘むと横にひっぱられる。
「ほにすひるの」
喋らずらくなった口で講義するが、うんうん。と頷きながら、「こっちの方が可愛いぞ」っと言われて散々ホッペを弄ばれることになった。
なんか理不尽だ。
余計に腹を立てた私に
「んー。しょうがないな。本当は誰かにやるつもりだったんだけど」
っと前置きしつつ。何やらチケットを出す。
「駅前に新しくできたケーキ屋の割引き券いるか?」
「券だけ?」
睨むように次の言葉を待つ。
「はぁ。奢ってやるから一緒に行くか?」
「言い方が違う。」
「・・・奢らせて貰いますから、一緒に行ってもらえますか?」
「んー。どうしよっかなぁ」
「なつみと行きたいなぁ。」
「しょうがないなぁ。亮ちゃんは!!そこまで言うなら行ってあげよう。」
「おう。ありがとう。じゃあ、これで機嫌なおしてくれるか?」
「んー。考えとく。」
「おい。」
「瑠美ちゃんも誘おうかなぁ」
「こらまて」
「明美ちゃんも琴音ちゃんも美和ちゃんも予定あいてるかな?」
「おい。増えていってるぞ。せめて、1人にしてくれ」
「ふふふ。冗談だよ。瑠美ちゃんは、誘うかもしれないけどね~。」
「はぁ、お前なぁ」
「なつみいい加減にそこらへんにしときなさい。そして、2人ともじゃれあってないでご飯の準備手伝って」
「「はーい」」
お母さん怒られながら、急いで2人で準備し始めた。
ちなみに今日の夕食は、キャベツたっぷりのロールキャベツでなつみが大好きなご飯の一つだった。
まるでさっきまでの事が嘘のようにご機嫌になったなつみを見て、亮ちゃんが「はやまったなぁ」っと言っているのを「取り消せないからね」っと念を押しし、「はいはい。わかってる。」っとちょっと投げやりに返されたりしながら食事は終わった。
「亮ちゃんもう帰るの?」
「そうだな。そろそろ帰ろうかなぁ」
「ふふふ。久しぶりにその会話聞いたわ。なつみは、亮くん帰ろうとすると、ソワソワしてどうにか亮くんを引きとめようとするのよね。」
「べつに引き留めてないし。」
「たまに食べ物も、貰いましたね。」
「ふふふ。そうそう大事に取っておいたデザートとかね。食べる時間だけは引き留められると思ってあげるんだけど、自分も食べたいから亮くんの食べるのじっと見てるのよね。」
「そうですね。かなり見られて食べずらかったですよ」
「えー。そんなことしてない。」
「あったわよ。だから、いつも亮くんが半分こにしてなつみにあげてたじゃない。」
「そうだっけ?」
「そう、今にもよだれ垂らしそうな感じで見られてたからな。」
「垂らしてない。」
「垂らしてはないな。垂らしそうだったけど」
「亮ちゃん!!」
「はははっ冗談だろ。」
「今日は、ご馳走様でした。美味しかったです。」
「いいのよ。いつでも食べに来て」
「ありがとうございます。」
「亮ちゃん。ケーキ約束だからね。」
「わかったっていってるだろ。食い意地張りすぎ」
「張ってない!!」
「はいはい。じゃあな。」
いつものように頭をポンポンと撫でて出て行く亮ちゃんの背中を見つめながら頭に残った感覚がいつまでも嬉しくてつい頬が緩んでしまう。
「ふふふ。あんたは本当に亮ちゃんが好きね~。」
そんなことを言う。お母さんを無視して、私は二階に駆け上がった。
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