巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。

蒼霧雪枷

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本編

20、釣られるもんか(フラグ)

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 さてさて皆様。どうやら俺の本名を名乗る時が来たようだが、もう少しまともな訪れでいてほしかったと思っている。

「ねぇ、しおちゃん。ちゃんと僕が納得のいく説明をしてね?」
「そうだな。俺にも納得のいくよう頼む」
「勿論、私にもお願いしますね、リンドウ様?」

 何故こんなにも三人に責められねばならない。いや、責めてるつもりは無いのかもしれ…怒ってるね!!怒ってますね!?いいじゃん名前一つでそんなに怒んなくたって!!

「先に言っとくけどなぁ!リンドウだって立派な俺の名前なんだからな!?そんなに皆して俺を責めなくたっていいと思うんだ!!」
「む…それは、確かに…?」
「流されないでよ騎士さん。別に責めてる訳じゃないよ?ただ、別の名前使ってるならちゃんとしてほしかった。しおちゃんに反応しちゃダメでしょ」
「ちくしょう、その通りだよ」
「リンドウ様。あの時は来たばかりで信用がなかったのかもしれませんが、今は皆貴女の味方です。警戒せずとも…」
「違うラナさん、そうじゃない。そうじゃないんだ…俺の良心にグサグサくるから止めてください……」

 調子乗ってアバターの名前使ったのは謝るから、そんなに悲観的に考えないで。信用がないとか警戒してるから、とかじゃないんだよ本当。違うんだ…

「しおちゃんの気持ちも分かるよ?兄貴のこともあったし、気持ちを入れ換えたかったんだよね?それなのに僕の呼び方に反応しちゃうから、こんなにややこしいことになるんだよ」
「ごもっともです…やっぱり知らない人の振りして自己紹介から始めとけばよかった…」
「確かに、そっちの方が混乱しなくてすんだよね」

 本当にな。みゃーのは俺のゲームで使ってる名前知ってるんだから、先に名乗れば全部察してくれただろう。
 これは完璧に俺の落ち度だ。名前に関してはすっかり油断してた。だってもう全部本名みたいな感じなんだもん。

「で?結局お前の本名は?」
「えー、リンドウです」
「おい」
「しおちゃん?」
「リンドウ様…」

 …冗談じゃん。そんなに冷めた目で見ないでよ…ごめんって…分かったよ…分かったから。

「リンドウ改め、神崎紫音かんざきしおん…えーと、シオン・カンザキのがいいか?です。これからもリンドウとお呼びください」

 これで満足かお前ら!!言っとくが、もうリンドウの方がしっくり来てるからな!!例えシオンって呼ばれても反応してやんねぇからな!!

「リンドウでいいのか?」
「シオン様とお呼びした方がいいのでは?」
「じゃありんちゃんで」

 バラバラに喋るのやめろ。そしてみゃーの、りんちゃんはアウトだ。

「いいの!俺はここでは「召喚人のリンドウ」なんだから。今さらそっちで呼ばれても反応出来ない。そしてりんちゃんは止めろ」
「えー?いいじゃんりんちゃん。なうれるよ?」
「なうれるってなんだよ」
「りんちゃんをギューギューしたいな!」
「アウトだ馬鹿!!やめろ、歌い出すな!!」
「腕噛んでもいいよ寧ろ噛んでりんちゃん!!!」
「赤目さん助けて!!!!」
「よし、任せろ!!」

 ギリギリどころかバッチリアウトなところからドMスイッチを入れやがったみゃーのから逃げ、赤目さんの後ろに隠れる。ちくしょう、結局グダグダじゃねぇか。
 またしても始まった攻防戦は、ラナさんが起こした爆発によりすぐ収まった。

「こんな王宮の庭の真ん中で騒いではいい迷惑です。場所を変えましょう」
「「「……はい」」」

 流石ラナさん。爆炎使いなのに、俺たちは今とっても寒気を感じているよ。
 三人してラナさんの恐怖を味わい、大人しく人が少ない書庫へと向かうことにした。ルーファスさんも仲間に入れなきゃいけないしね。

 そうしてやって来た書庫では、着いた途端ラナさんがルーファスさんに俺の本名をチクリ、俺が全力でシオン呼びを拒否ることとなった。早速疲れたんだが?
 全員集まったところで、場所を移したはいいが特にやることがあるわけでも、したいことがあったわけでもない。
 何をしようか、の前に副団長サマは仕事大丈夫なのか?と会話をしていれば、みゃーのがそっと手をあげた。
 ……いや、挙手制じゃねぇぞ?ここ。

「えっと…はい、みゃーのさん」
「はーい!えっとね、一応りんちゃんを探してたのには、会いたかったのと他に理由があったんだけど…」
「へぇ…お前をペットにはしねぇぞ?」
「えー、ケチー…じゃないよ。そっちじゃない。真面目な方!」

 珍しく真面目なことだと言うので、一応こちらも姿勢を正す。トラブルメーカーからの真面目話なんか嫌な予感しかないけど、聞かななかった方が面倒な場合も多いので聞いておこう。

「でね、りんちゃん。キミさぁ…」
「…おう」
「………力、欲しくない?」
「魔王かよ」

 なんだ、急に。真面目な話じゃなかったのかよ。お前勇者だろ?なんで魔王みたいなこと言ってんだよ。俺の配下に下るなら世界の半分を分けてやろうってか?要らんわ。

「ごめん、違う。間違えた」
「何をどうしてどう間違えたらああなる」
「ごめんって。えっと…強い武器、欲しくない?」
「次は闇商人かなんかか。欲しいけど」
「どんな言い方しても文句言うじゃん~」
「文句じゃなくてツッコミと言ってほしいがな。で、結局何なんだよ。要点を言え、要点を」
「魔王討伐行きませんか」
「行くかん………ん"んっ」
「…今、行くと行かんが混じったね?」
「気のせいだ」

 そう、気のせいだ。決して、ちょっと面白そう気になる、とか思ってない。魔王のところとか色々素材とか武器とかあって楽しいんじゃないか、とか思ってない。
 第一、こんなトラブルメーカーのドMと一緒になんか行ったら、絶対にいらんことに巻き込まれる。それこそ、罠に掛かって俺一人だけ魔王の目の前に落とされるとかな。
 そう言うことが過去に何度かあった。俺は学ぶ人間だぞ。

「…魔王の城とかさぁ、レアアイテムいっぱいだろうねぇ…」
「うっ…」
「魔剣とか、ドラゴンの鱗とか…」
「うぅ…っ!」
「もっふもふな魔物とかもいるんだろうなぁ…」
「くっ…!卑怯だぞみゃーの!!」
「何とでも言えばいい!僕はキミを巻き込むことを厭わない!!」
「ちょっとは遠慮しろ!?絶対に釣られんからな!!」
「もっふもふの魔物がいても?」
「うるせー!!というか、俺はこの前捕まえた黒猫がどっか行って傷心中なんだ!!もふもふとか言うな!!泣きそうになる!!!」
「え、それはごめん」

 嫌なこと思い出した。一週間前、帰って来たときには既にあの黒猫がどっかに行ってしまっていたのだ。庭師のおじいちゃんは知らないって言うし、畑も荒らされてないし。
 どこ行ったんだよ、俺の黒猫…名前だって考えてたのに……俺の癒しが…

 その後、書庫で沈んだ俺は他の四人に慰められるのだった。



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