巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。

蒼霧雪枷

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本編

完。その後の話

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 冒険者ギルドは、今日も人で賑わっていた。
 受付の前には沢山の人がおり、建物内は活気に溢れていた。ある者は依頼書を持って、ある者は戦利品を売りに受付へと向かう。

 そして、またある者は冒険者の登録をしに向かうのだ。


「─なるほど、やっぱり人が多いな」
「わぁー!りんちゃん、見てみて!!あの人凄い戦士って感じだよ!!ファンタジーだよ!!凄いねぇ!!」
「はしゃぎ過ぎだ!もう少し静かにしないか!」
「リンドウ様、受付はあちらのようです。あの二人は放って行きましょう」
「こら、ラナ。もう様付けしちゃダメなんだよ。敬語も控えよっか?」
「あっ、そうでした。わかりまs…わかった、わ」
「良くできました」
「ちょっと、急にいちゃつかないで下さいよ!ほら、二人とも喧嘩始めんな!!さっさと済ませるぞ!!」

 ぞろぞろと五人で空いている受付へと向かう。受付嬢は笑顔で迎えてくれた。

「いらっしゃいませ!ご依頼ですか?登録ですか?」
「「「「冒険者登録です」」」」
「僕はもう登録してるので、ランクの確認だけお願いします」
「かしこまりました。それでは用紙を記入後、こちらの水晶に手を当てて登録をお願いします」

 渡された紙に名前や所持属性、スキル等を書いていく。

「あれ、りんちゃん個人スキル何て書くの?」
「無記入で良いかなって」
「え、いいの?」
「さぁな。お前がそれでいいならいいんじゃないか?」
「書きたくなければ書かなくてもいいんだよ。例えば、物凄くショボくて書きたくない!って人もいるし」
「手の内をあまり明かしたくない人もいそうね」
「確かに、たまにいるかな」
「ねぇ、りんちゃん名前どうする?どっち書くの?僕もそれっぽい名前にした方がいいかな?」
「別に、普通に今使ってる方だけど…」
「あ!りんちゃんどっちも書いてる!!なるほど、片方ファミリーネームにするんだね?じゃあ僕しおちゃんって呼ぼー!!」
「何勝手に見てやがる!!」
「ほう。ならば、俺もこっちで呼んでもいいか?」
「赤目さんはダメ!!」
「何故だ!!」

 ワイワイと騒ぎながらも、用紙を書き終わり受付へ出す。
 薄い水色の大きな水晶に手を当てると、ほのかに光った。これで、色んなギルドに登録が完了するらしい。
 登録してすぐは一番下のDランクから始まるようだ。依頼はどうやら、一つ上のCランクまでならできるようだ。どんどんランクを上げれば、面白そうな討伐依頼もできる、と。
 手を当てた順番に冒険者カードを渡される。銀でできたそれは魔法を埋め込んであるらしく、内容の更新が自動でされるらしい。

「それでは、シオン・リンドウ様。Dランクからです」
「ども」
「続いて、ジーク・ヴェルロード様。Dランクです」
「あぁ」
「キノ・ミヤサコ様。Dランクです」
「はーい!」
「ラナ・フロム様。Dランクです」
「はい」
「そして…あら?もうやんちゃは止めたんじゃなかったんですか、殿下?」
「僕的には、全く見た目が変わってない貴女が怖いんですが…この子達の同伴ですよ。それに、まだまだ若い者にだって負けてられませんしね」
「なるほど。それはそうと、式にはキチンと私と言う先輩を呼んでくださいね?ルーファス・フロム様。Bランクです」
「待ってBランク!?なんでルファさんそんなに高いの!?」
「待てみゃーの!!それより、ラナさんとルーファスさんのファミリーネームが同じ事に気づけ!!いつの間に!!」
「あれ?言ってなかったの?」
「えぇ。驚かせようと思って」
「お前たち、気づいて無かったのか?」
「「裏切ったな、赤目さん!!!」」

 予想外の驚きとともに、ギルドを後にする。赤目さんには後で文句を言っておこう。

「ところで、赤目さんとルーファスさんは偽名って知ってる?なにあの隠す気のない偽名。ルーファスさんに至っては、知り合いだったのか普通にバレてるし」
「大丈夫。あの受付嬢は何でも知ってる人だから。他の人なら誤魔化せるよ」
「あぁ、そう…赤目さんは、ヴェルってどっからきたのさ」
「貰った爵位から取った。あまり使うことがなかったからな。こう言うところで使っていこうかと…」
「王族的にあれはいいの?」
「いいんじゃない?」
「ねぇ、それよりさぁ!まず何処にいく?依頼を受けながら行くのもいいよねぇ!兄貴なら何処にいるかなぁ?」
「彼奴ならじっとせずに旅でもしてんじゃね?」
「それもそっか。この大陸にいなかったらどうしよう?結構見つけるの時間かかっちゃうね」
「他の大陸なんてあるの?」
「あぁ。文化も技術も全く違ったり、ここより大分進んでいたりするが…一番大きな大陸は言語は確か同じだったな?」
「うん。でも、あっちはここと全く違うからなぁ…一番権力を持っているのが、魔法の王様で魔王って呼ばれてるのは知ってるよ」
「勇者、出番だぞ」
「え、悪い人たちなの?多分、僕が倒したのと違うよね?」
「うん。倒したら僕たちが捕まっちゃうね」
「じゃあ、俺が覚えた常識とかも全く違ったりするのか」
「確かに!しおちゃん、海を渡って行ける異世界だよ!?絶対に行こう!!」
「え、他の三人は?大丈夫なの?」
「「「無期限休暇をもぎ取ってきたから問題ない」」」
「「それは逆に問題では」」
『おい、主よ。我を置いていくでない』
「あ、シコク。置いてってないよ。待って貰ってただけじゃん」
「いいなぁ。僕も獣使いビーストテイマースキルほしい。動物と喋ってみたい!」
「通訳ぐらいならしてやるって」

 普通の黒猫サイズとなったシコクを肩に乗せ、五人で笑い合い適当に方向を決めて進む。予想より多い人数となった旅立ちだが、楽しいので全く問題なし。

「ところで、しおちゃんはいつまで男の子でいるの?赤目さん的にはいいの?」
「何故赤目さんに聞く」
「俺的には、リンドウがそれでいいなら別に構わない」
「えー?しおちゃんいいの?」
「そうよ、りんちゃん。折角なんだし、女の子でもいいと私は思うの」
「そうだよね。やっぱり僕らの娘として暮らしてもいいと思うんだ」
「やっぱりそれ本気だったんだ!?というかラナさん、りんちゃんは止めて!」
『主よ、我もそう思う。あの時のような可愛らしい格好はもうしないのか?』
「シコクまで!?」

 赤目さん以外の三人と一匹に詰め寄られ、少したじろいでしまう。後退する俺の背後には、いつの間にか赤目さんがいた。あれ、なんか逃げられない…?

「リンドウ。前言撤回しよう。俺もあの時のような格好がもう一度見たい」
「なんで赤目さん、シコクの言葉わかってんだよ!!!」

 まさかの発言に思わずツッコんでから、どうにか四人から逃げる。シコクは肩にいるので逃げられない。

「あぁ、もう!俺は、このまま暮らすって決めたんだ!!」

 そう叫び、このまま街の外まで走る。
 こんな始まりでこの先大丈夫かとは思うが、むしろこれでいいのかもしれない。


 巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま暮らすことにしたが、引きこもりを卒業して旅に出ることにしました。
 当分の目標は、気ままに旅をして幼馴染みの兄を探すことです。





~おしまい~
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