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第一章『転生したらしい』生命の森編
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さて、閲覧している皆々様。ようやく、気弱藍色さんをどうするかが決まったらしいっすよ。
と言うか、最終的に地面にルーレットみたいな絵を描いて、棒を倒して決めてた。雑か?
見事棒は「飼ってみていいんじゃね?」とかかれたマスに倒れ、取り敢えず気弱藍色さんを飼ってみることになった。文章ももう投げやり感が…
「よし、じゃあカナメ。飼っていいぞ。いい感じの棒がそう判断した」
「そうだね。いい感じの棒の結果だから、ボクも文句はないよ」
いい感じの棒。いや、オレもこの世界来てから、いい感じの棒を武器にしてたけどね!?まさか、ジャンとルイスもいい感じの棒信者だったとは…いや、いい感じの棒信者ってなんだ。
そしていい感じの棒がゲシュタルト崩壊しそうになってきた。
まぁ、何だかんだで許しを貰えたのだ。二人の気が変わらないうちに仲間にしてしまおう!
気弱藍色さんに近づけば、もはや聞きなれたリピの声が聞こえた。
『ワイバーン(亜種)が仲間になりたそうにあなたをみています。仲間にしますか』
はいはーい!仲間にしまーす!!
『それでは、名前をつけてください』
はー…え?名前?え、まって、名前?オレがつけるの?
あー、そんな期待を込めた目でこっちを見るな。見るんじゃない。絆されそうになる…って、既に絆されてた…しまった…
リピさんや、相談する時間はありますか?
『はい。存分に考えてあげてください』
了解した。
「ジャーン!!ルイスー!!名前どうしたらいいと思うー!?」
遠目でオレの様子を伺っていた二人に叫ぶと、好きにしろー!!と叫び返された。はい、丸投げされました。
名前なー。どうしようかなー?気弱藍色さんは流石にかわいそうだし…藍色?色から名前とる?見た目って変わんない?いや、でも大体こういうのは進化して変わっちゃうからなぁ…そう言えば風使ってたよね。うーん……もう、風関連でいいかな。
十分ほど考え、もはや投げやりになりかけたオレは、ようやく名前を決めた。
「じゃあ、風を使うドラゴンってことで、合わせてウィドラで」
『はい。相変わらず単純で覚えやすい名前を考えますね。それでは、「ウィドラ」はマスターの使い魔となりました。レベルが上がれば種族進化もできますので、頑張って育てましょう』
あれ?今さらっと毒吐かれた?そんで、やっぱりペット認識なんだね?
などと思っていれば、リピの言葉が終わった辺りで気弱藍色さん改め、ウィドラが埋もれていた瓦礫が潰れるようにガラガラと崩れた。
うん、崩れた。下にウィドラが埋もれていたまま。え、潰れた?
「ええええ!?なんで!?なんで崩れたの!?ウィドラいたじゃん!ウィドラの上に瓦礫が乗っかってた感じなのに、崩れるなんてことある!?ウィドラどこ行ったの!?」
焦っているオレに気づいたのか、ジャンとルイスが駆け寄ってくる。しかし、二人に説明する前に、消えたと思ったウィドラの声が聞こえてきた。
『姐さん!姐さん!下です!し、ぎゃぁぁぁぁ人間大きい怖いぃぃぃぃぃ!!!』
あ、なんかよくわかんないけど安心したわ。よくわかんないけど無事みたいで安心した。で、下とは?
言われた通り下、つまり足元を見ればオレの頭に丁度乗っかれそうな大きさの藍色の何かが、地面に踞っていた。
よくよく見れば、ちっさいドラゴンみたいな形をしてる。というか、もしや今の声はこれから聞こえた?
「えー、ウィドラさん?」
『あねさん~!ふまっ踏まれるっ!』
キューキューと鳴くウィドラは、ジャンとルイスの足をよたよたと避けてオレの足にすがり付いてきた。正直に言って結構可愛い。小さいワイバーンって可愛いんだな。いや、うちの子が可愛いだけか??
いかん。早速親バカになってきている。
ウィドラはオレの体を上り、頭の上に落ち着いた。たまにジャンたちに怯えて髪の中に潜るのがくすぐったくて仕方がない。
でも可愛い。ハムスターみたい。
ところで、何でこんなに小さくなってんの?
『はい。ウィドラはマスターの使い魔になりましたので、マスターの邪魔にならない大きさへと変わることが出来るようになりました。その大きさでも十分に力を発揮することもできますし、元の大きさに戻ることもできます』
なるほどー。可愛いから全然いいけど、瓦礫に潰されなくて良かった。
と、リピと脳内で会話していたせいで状況が読めていないジャンが、オレの頭の上のウィドラをつまみ上げた。
「カナメ、説明はあるんだよな?コイツ、さっきのワイバーンだよな?何で小さいんだ?そう言う魔法って訳じゃないだろ?」
『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!あねさーん!!助けて!!食べられる!!』
「いや、どっちかと言えば君の方が食べそうだよ!?人間主食にしてそうだよ!?」
確かにジャンの手は大きいから、今のウィドラは両手ですっぽりと包めるだろうけど。
反射的にウィドラに反応すれば、キョトンとしたジャンと目があった。
「カナメ?どうした?急に叫んだりして」
「え?」
「ん?」
…………???
「今、オレはウィドラにツッコミしちゃったんだけど、突然叫ぶとは…?」
「え?」
「へ??」
おやぁ?なんだか話が噛み合ってない気が…?リピさん、どういうことですか?
『はい。ウィドラの言葉はマスターしか理解しておりません。私でも、感情が断片的にわかるだけで会話は成立しないでしょう』
つまり、ウィドラと会話しているオレは、端から見れば一人で喋って、一人でツッコんで、ペットに話しかけてる痛い人に見えていると言うことで?
『はい。あってます』
…あー、そっか。うん、そう言うことね。はいはい…
「そう言うことは先に言ってよ!!説明する前に反応しちゃったじゃん!!!てっきりオレはウィドラが念話とかが使えて、それで会話出来てるんだなって思っちゃってたじゃん!!そして、今リピに反応しちゃったのも端から見たら突然叫んだ感じなんだろうね!!!もう!!!」
もう頭をかきむしってしまいたい衝動に駆られるが、完全不審者なのでそんなことはしない。頭を抱えるぐらいで留める。いや、十分不審だった。
とてもジャンが心配しているが、それどころではない。なんて説明すればいいんだろうね。ウィドラの言葉がわかりますって。もしや、使い魔になったから……いや、最初っから会話出来てたでしょうが。それは関係ないよね。
というか、オレの種族って確かキャットドラゴンだよね?ドラゴンって入ってるよね?まさかのまさかで、ドラゴンの言葉が分かるんです、なんてことがあったりするんですかね?
『はい。そのとおりです、マスター』
えーーーまーじかー。もしかして、さっきまで聞こえてた悲鳴って、人のじゃなくてワイバーンたちのだったりする?いや、あんだけ優勢だったのに悲鳴めっちゃ聞こえるなって不思議だったんだよ。
まぁいいや。そう言うことなら話は早いよね。種族の特性でウィドラの言葉がわかります、で通じるもんね。
さ、早速説明を…
「あぁ、そう言えばキャットドラゴンは竜種の言葉が分かるんだったな。このワイバーンは知性が高いみたいだから、会話ができるのか」
ジャンさん知ってたんかい。なんだよ、悩んでたのが馬鹿みたいじゃん。
「そのとおりです。ついでに言えば、リピとは脳内で会話出来るから、たまについ口に出しちゃうかもしれないけど、突然喋りはじめても気にしないでね!」
これから先、一緒に行動するにあたってこれだけは言っておかなければいけない。じゃないと、たまにオレが不審者になるから。気を付けないと。
あのあと、ウィドラが小さくなった理由を話したあとに一度ジャンの家に戻った。しょうがないから今日の出発はやめて、明日の早朝にこっそり逃げるらしい。
ジャンとルイス、ここの人たちから頼りにされてるっぽいからね。こっそりじゃないと止められるんだろうな。
そして、夜。宴の時間です。
大量のワイバーンを倒したおかげで、素材が沢山手に入ったとかで皆で飲んで歌って騒いでます。
勿論、ジャンとルイスもノリ良く騒いで──る訳がなく、断ったのに無理やり知り合いさんに連れてこられた。と言うより、オレが「美味しいものいっぱいあるよ」という甘い言葉に誘われ、人質のような感じになってしまい、渋々参加するはめになった感じである。ごめんね。
しかし、知り合いさんの言葉には嘘はなかった。ご飯美味しいです。
そして、なんか町の人たちがやたらとものをくれる。お菓子だったり、自分が作った料理だったり、はたまたリボンやブレスレットや髪飾りといった小物までくれる人もいた。
ちなみに、言わずもがな小物をくれた人は皆女の人だった。たまに男の人も小物をくれようとしたけど、ジャンとルイスに追い払われてた。貰えるものは貰っても良かったのに。
そして、美味しいお肉を食べながら何人かの女の人にもみくちゃにされた。髪とかいっぱいいじられたけど。すっごい食べにくかったけど!!
ちなみに、ジャンに「この肉って何の肉なの?」って聞いたら、「ワイバーン」と返されたので、オレの頭の上で寝ていて聞いていなかったウィドラには後で謝ろうと思います。思いっきり食べられてたね。
「─よし。前方、人影なし」
「後方、あーあ。みぃんな広場で酔い潰れてるよ。これじゃあ、二日ぐらいまともに機能しないんじゃないの?」
「ほっとけ。いつものことだ」
「それもそうだね。後方に人影はないよ。全員広場で寝てるからね」
「そうか。カナメ、眠くないか?眠かったら背負うが…」
「大丈夫!オレよりウィドラが眠そう…っていうか、寝てるね、これ」
朝の大体7時ぐらい。本当は日が出てすぐに出発するつもりが、まさかの朝方まで宴が続くという事態になり、全員が酔いつぶれるまで出発ができなかったのだ。
ちなみに、オレたちはちゃんと寝ました。日付が変わった辺りで、オレが眠いって言ったら全員が帰っていいよって言ってくれた。皆優しいけど、ジャンとルイスだけは残るよう言ってた。一緒に帰ったけどね。
そして現在、オレより先に起きた二人が起きてる人が他にもいないことを確認し、念のためこそこそ隠れながら町からの脱出を試みているところです。
なんか、スパイみたいでちょっと楽しかったりする。
先頭がジャン、一番後ろがルイスで、真ん中がウィドラを頭に乗せたオレで電車ゴッコをしてる感じで進んでいる。
ただ、数分毎にジャンが「背負うか?」と聞いてくるのだけはちょっとうざいと思う。眠くないってば。
そのまま何事もなく、町から脱出。万が一のことも考えて、結構町から離れたところまで移動し、休憩を挟むことにした。
「ここまで来れば十分だろ。朝飯にしよう」
「準備できてるよー!宴の残り物、勝手に持ってきて良かったの?」
「いいんだよ。どうせ食べきれずに魔物の餌になるだけだから」
「そっかー…………これ、ウィドラも食べて大丈夫なの?」
そう、宴の残りということは、材料はワイバーンの肉なわけで…
『共食いはよくあることなので、大丈夫ですよ』
うお、起きてたの。というか、よくあることなの?それは平気なの?人にビビってるのに、共食いは平気なの?
ウィドラの基準がよくわからなくなりつつも、美味しいワイバーンの肉としゃきしゃきなレタス(のような葉っぱ)を挟んだサンドイッチを食べる。美味しいです。
「もぐもぐ…ほほろで…もぐ…ろほいふの?」
「飲み込んでから喋りなさい」
「…んく…ごめん、ルイスお母さん」
「…没収」
「ごめんルイス!!返して!オレのご飯返して!!もう言わないから!!」
「はい、どーぞ。で?何て言ったの?」
「よかった、ご飯…!え、えーと、ところで、どこ行くの?って言ったよ!」
脱出が成功したのはいいが、オレは今から何処に向かうのかを聞いていなかった。
何処でも好きなところに行っていいよー、なんて顔も知らないアホ神は言っていたらしいけど、正直そんなこと言われても困る。何処に何があるのかなんて知らないのだから。
なので、二人が何処に向かうのかがとても気になるのである。
「ん、言ってなかったか。本当は王都にでも行こうかと思ったんだがな、まだ早いだろうということで、挨拶でもしに恩師のところにでも行こうかと思っているんだ」
「恩師?」
「あぁ。俺が昔お世話になった人だ。確かルイスもあの人に会ったことあったよな?」
「うん。キミに会いに来た時に、ボクも挨拶されたよ」
「あの人だったら、カナメに何があったのか、いくらかは分かると思ってな。長生きしてるから」
「へぇー。長生きってことは、お爺さんとかお婆さん?確かに賢そう…」
「いや、若い男だ」
「うん??」
「若い、男…多分、男、だと思う…」
え?え?どういうこと?長生きしてるのに、若いの??そして、なんで性別があやふやなの?断言できないの?オレのことは女子って言ってたくせに?
「どういうことなの…」
「いや、長生きはしてるんだ。ただ、見た目が変わらずに若いままで…男、なんだよな?あの人」
「いやぁ…確かに、ぱっと目じゃあ性別わからない人だよね。でも、一応男性だよ。一回しか会ったことないけど、母親のような男性だったよ」
「と、いうことだ」
いや、どういうことなの。
そんな会話をしつつ、朝食を食べ終わったオレたちは、最初の目的地へと向かうのであった。
と言うか、最終的に地面にルーレットみたいな絵を描いて、棒を倒して決めてた。雑か?
見事棒は「飼ってみていいんじゃね?」とかかれたマスに倒れ、取り敢えず気弱藍色さんを飼ってみることになった。文章ももう投げやり感が…
「よし、じゃあカナメ。飼っていいぞ。いい感じの棒がそう判断した」
「そうだね。いい感じの棒の結果だから、ボクも文句はないよ」
いい感じの棒。いや、オレもこの世界来てから、いい感じの棒を武器にしてたけどね!?まさか、ジャンとルイスもいい感じの棒信者だったとは…いや、いい感じの棒信者ってなんだ。
そしていい感じの棒がゲシュタルト崩壊しそうになってきた。
まぁ、何だかんだで許しを貰えたのだ。二人の気が変わらないうちに仲間にしてしまおう!
気弱藍色さんに近づけば、もはや聞きなれたリピの声が聞こえた。
『ワイバーン(亜種)が仲間になりたそうにあなたをみています。仲間にしますか』
はいはーい!仲間にしまーす!!
『それでは、名前をつけてください』
はー…え?名前?え、まって、名前?オレがつけるの?
あー、そんな期待を込めた目でこっちを見るな。見るんじゃない。絆されそうになる…って、既に絆されてた…しまった…
リピさんや、相談する時間はありますか?
『はい。存分に考えてあげてください』
了解した。
「ジャーン!!ルイスー!!名前どうしたらいいと思うー!?」
遠目でオレの様子を伺っていた二人に叫ぶと、好きにしろー!!と叫び返された。はい、丸投げされました。
名前なー。どうしようかなー?気弱藍色さんは流石にかわいそうだし…藍色?色から名前とる?見た目って変わんない?いや、でも大体こういうのは進化して変わっちゃうからなぁ…そう言えば風使ってたよね。うーん……もう、風関連でいいかな。
十分ほど考え、もはや投げやりになりかけたオレは、ようやく名前を決めた。
「じゃあ、風を使うドラゴンってことで、合わせてウィドラで」
『はい。相変わらず単純で覚えやすい名前を考えますね。それでは、「ウィドラ」はマスターの使い魔となりました。レベルが上がれば種族進化もできますので、頑張って育てましょう』
あれ?今さらっと毒吐かれた?そんで、やっぱりペット認識なんだね?
などと思っていれば、リピの言葉が終わった辺りで気弱藍色さん改め、ウィドラが埋もれていた瓦礫が潰れるようにガラガラと崩れた。
うん、崩れた。下にウィドラが埋もれていたまま。え、潰れた?
「ええええ!?なんで!?なんで崩れたの!?ウィドラいたじゃん!ウィドラの上に瓦礫が乗っかってた感じなのに、崩れるなんてことある!?ウィドラどこ行ったの!?」
焦っているオレに気づいたのか、ジャンとルイスが駆け寄ってくる。しかし、二人に説明する前に、消えたと思ったウィドラの声が聞こえてきた。
『姐さん!姐さん!下です!し、ぎゃぁぁぁぁ人間大きい怖いぃぃぃぃぃ!!!』
あ、なんかよくわかんないけど安心したわ。よくわかんないけど無事みたいで安心した。で、下とは?
言われた通り下、つまり足元を見ればオレの頭に丁度乗っかれそうな大きさの藍色の何かが、地面に踞っていた。
よくよく見れば、ちっさいドラゴンみたいな形をしてる。というか、もしや今の声はこれから聞こえた?
「えー、ウィドラさん?」
『あねさん~!ふまっ踏まれるっ!』
キューキューと鳴くウィドラは、ジャンとルイスの足をよたよたと避けてオレの足にすがり付いてきた。正直に言って結構可愛い。小さいワイバーンって可愛いんだな。いや、うちの子が可愛いだけか??
いかん。早速親バカになってきている。
ウィドラはオレの体を上り、頭の上に落ち着いた。たまにジャンたちに怯えて髪の中に潜るのがくすぐったくて仕方がない。
でも可愛い。ハムスターみたい。
ところで、何でこんなに小さくなってんの?
『はい。ウィドラはマスターの使い魔になりましたので、マスターの邪魔にならない大きさへと変わることが出来るようになりました。その大きさでも十分に力を発揮することもできますし、元の大きさに戻ることもできます』
なるほどー。可愛いから全然いいけど、瓦礫に潰されなくて良かった。
と、リピと脳内で会話していたせいで状況が読めていないジャンが、オレの頭の上のウィドラをつまみ上げた。
「カナメ、説明はあるんだよな?コイツ、さっきのワイバーンだよな?何で小さいんだ?そう言う魔法って訳じゃないだろ?」
『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!あねさーん!!助けて!!食べられる!!』
「いや、どっちかと言えば君の方が食べそうだよ!?人間主食にしてそうだよ!?」
確かにジャンの手は大きいから、今のウィドラは両手ですっぽりと包めるだろうけど。
反射的にウィドラに反応すれば、キョトンとしたジャンと目があった。
「カナメ?どうした?急に叫んだりして」
「え?」
「ん?」
…………???
「今、オレはウィドラにツッコミしちゃったんだけど、突然叫ぶとは…?」
「え?」
「へ??」
おやぁ?なんだか話が噛み合ってない気が…?リピさん、どういうことですか?
『はい。ウィドラの言葉はマスターしか理解しておりません。私でも、感情が断片的にわかるだけで会話は成立しないでしょう』
つまり、ウィドラと会話しているオレは、端から見れば一人で喋って、一人でツッコんで、ペットに話しかけてる痛い人に見えていると言うことで?
『はい。あってます』
…あー、そっか。うん、そう言うことね。はいはい…
「そう言うことは先に言ってよ!!説明する前に反応しちゃったじゃん!!!てっきりオレはウィドラが念話とかが使えて、それで会話出来てるんだなって思っちゃってたじゃん!!そして、今リピに反応しちゃったのも端から見たら突然叫んだ感じなんだろうね!!!もう!!!」
もう頭をかきむしってしまいたい衝動に駆られるが、完全不審者なのでそんなことはしない。頭を抱えるぐらいで留める。いや、十分不審だった。
とてもジャンが心配しているが、それどころではない。なんて説明すればいいんだろうね。ウィドラの言葉がわかりますって。もしや、使い魔になったから……いや、最初っから会話出来てたでしょうが。それは関係ないよね。
というか、オレの種族って確かキャットドラゴンだよね?ドラゴンって入ってるよね?まさかのまさかで、ドラゴンの言葉が分かるんです、なんてことがあったりするんですかね?
『はい。そのとおりです、マスター』
えーーーまーじかー。もしかして、さっきまで聞こえてた悲鳴って、人のじゃなくてワイバーンたちのだったりする?いや、あんだけ優勢だったのに悲鳴めっちゃ聞こえるなって不思議だったんだよ。
まぁいいや。そう言うことなら話は早いよね。種族の特性でウィドラの言葉がわかります、で通じるもんね。
さ、早速説明を…
「あぁ、そう言えばキャットドラゴンは竜種の言葉が分かるんだったな。このワイバーンは知性が高いみたいだから、会話ができるのか」
ジャンさん知ってたんかい。なんだよ、悩んでたのが馬鹿みたいじゃん。
「そのとおりです。ついでに言えば、リピとは脳内で会話出来るから、たまについ口に出しちゃうかもしれないけど、突然喋りはじめても気にしないでね!」
これから先、一緒に行動するにあたってこれだけは言っておかなければいけない。じゃないと、たまにオレが不審者になるから。気を付けないと。
あのあと、ウィドラが小さくなった理由を話したあとに一度ジャンの家に戻った。しょうがないから今日の出発はやめて、明日の早朝にこっそり逃げるらしい。
ジャンとルイス、ここの人たちから頼りにされてるっぽいからね。こっそりじゃないと止められるんだろうな。
そして、夜。宴の時間です。
大量のワイバーンを倒したおかげで、素材が沢山手に入ったとかで皆で飲んで歌って騒いでます。
勿論、ジャンとルイスもノリ良く騒いで──る訳がなく、断ったのに無理やり知り合いさんに連れてこられた。と言うより、オレが「美味しいものいっぱいあるよ」という甘い言葉に誘われ、人質のような感じになってしまい、渋々参加するはめになった感じである。ごめんね。
しかし、知り合いさんの言葉には嘘はなかった。ご飯美味しいです。
そして、なんか町の人たちがやたらとものをくれる。お菓子だったり、自分が作った料理だったり、はたまたリボンやブレスレットや髪飾りといった小物までくれる人もいた。
ちなみに、言わずもがな小物をくれた人は皆女の人だった。たまに男の人も小物をくれようとしたけど、ジャンとルイスに追い払われてた。貰えるものは貰っても良かったのに。
そして、美味しいお肉を食べながら何人かの女の人にもみくちゃにされた。髪とかいっぱいいじられたけど。すっごい食べにくかったけど!!
ちなみに、ジャンに「この肉って何の肉なの?」って聞いたら、「ワイバーン」と返されたので、オレの頭の上で寝ていて聞いていなかったウィドラには後で謝ろうと思います。思いっきり食べられてたね。
「─よし。前方、人影なし」
「後方、あーあ。みぃんな広場で酔い潰れてるよ。これじゃあ、二日ぐらいまともに機能しないんじゃないの?」
「ほっとけ。いつものことだ」
「それもそうだね。後方に人影はないよ。全員広場で寝てるからね」
「そうか。カナメ、眠くないか?眠かったら背負うが…」
「大丈夫!オレよりウィドラが眠そう…っていうか、寝てるね、これ」
朝の大体7時ぐらい。本当は日が出てすぐに出発するつもりが、まさかの朝方まで宴が続くという事態になり、全員が酔いつぶれるまで出発ができなかったのだ。
ちなみに、オレたちはちゃんと寝ました。日付が変わった辺りで、オレが眠いって言ったら全員が帰っていいよって言ってくれた。皆優しいけど、ジャンとルイスだけは残るよう言ってた。一緒に帰ったけどね。
そして現在、オレより先に起きた二人が起きてる人が他にもいないことを確認し、念のためこそこそ隠れながら町からの脱出を試みているところです。
なんか、スパイみたいでちょっと楽しかったりする。
先頭がジャン、一番後ろがルイスで、真ん中がウィドラを頭に乗せたオレで電車ゴッコをしてる感じで進んでいる。
ただ、数分毎にジャンが「背負うか?」と聞いてくるのだけはちょっとうざいと思う。眠くないってば。
そのまま何事もなく、町から脱出。万が一のことも考えて、結構町から離れたところまで移動し、休憩を挟むことにした。
「ここまで来れば十分だろ。朝飯にしよう」
「準備できてるよー!宴の残り物、勝手に持ってきて良かったの?」
「いいんだよ。どうせ食べきれずに魔物の餌になるだけだから」
「そっかー…………これ、ウィドラも食べて大丈夫なの?」
そう、宴の残りということは、材料はワイバーンの肉なわけで…
『共食いはよくあることなので、大丈夫ですよ』
うお、起きてたの。というか、よくあることなの?それは平気なの?人にビビってるのに、共食いは平気なの?
ウィドラの基準がよくわからなくなりつつも、美味しいワイバーンの肉としゃきしゃきなレタス(のような葉っぱ)を挟んだサンドイッチを食べる。美味しいです。
「もぐもぐ…ほほろで…もぐ…ろほいふの?」
「飲み込んでから喋りなさい」
「…んく…ごめん、ルイスお母さん」
「…没収」
「ごめんルイス!!返して!オレのご飯返して!!もう言わないから!!」
「はい、どーぞ。で?何て言ったの?」
「よかった、ご飯…!え、えーと、ところで、どこ行くの?って言ったよ!」
脱出が成功したのはいいが、オレは今から何処に向かうのかを聞いていなかった。
何処でも好きなところに行っていいよー、なんて顔も知らないアホ神は言っていたらしいけど、正直そんなこと言われても困る。何処に何があるのかなんて知らないのだから。
なので、二人が何処に向かうのかがとても気になるのである。
「ん、言ってなかったか。本当は王都にでも行こうかと思ったんだがな、まだ早いだろうということで、挨拶でもしに恩師のところにでも行こうかと思っているんだ」
「恩師?」
「あぁ。俺が昔お世話になった人だ。確かルイスもあの人に会ったことあったよな?」
「うん。キミに会いに来た時に、ボクも挨拶されたよ」
「あの人だったら、カナメに何があったのか、いくらかは分かると思ってな。長生きしてるから」
「へぇー。長生きってことは、お爺さんとかお婆さん?確かに賢そう…」
「いや、若い男だ」
「うん??」
「若い、男…多分、男、だと思う…」
え?え?どういうこと?長生きしてるのに、若いの??そして、なんで性別があやふやなの?断言できないの?オレのことは女子って言ってたくせに?
「どういうことなの…」
「いや、長生きはしてるんだ。ただ、見た目が変わらずに若いままで…男、なんだよな?あの人」
「いやぁ…確かに、ぱっと目じゃあ性別わからない人だよね。でも、一応男性だよ。一回しか会ったことないけど、母親のような男性だったよ」
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