何故か異世界で狙われながら大冒険!?~転生先が絶滅寸前の愛玩モンスターだった件~

蒼霧雪枷

文字の大きさ
14 / 17
第一章『転生したらしい』生命の森編

舎弟ができました

しおりを挟む
「カナメ!!無事か!?怪我はないか!?待ってろ!!今すぐそこのワイバーンを倒してやるからな!!」
「カナメちゃん!早くこっちに!!もう大丈夫だからね!!」
『姐さん!この人たちなんですか!?怖い顔してますけど!?敵ですか!?ひぃぃぃぃぃ姐さん助けてくださいぃぃぃぃぃ!!』

 戦闘体制でオレを呼ぶジャンとルイス。そして、オレの後ろで今にも瓦礫に埋まろうとする気弱藍色さん。両方から一斉に話しかけられ、オレの頭はキャパオーバーを起こしそうである。

「あー、もう!!いいから大人しくオレの話を聞けー!!!」

 そう叫んだところで、全員冷静ではない頭で聞いていないのは一目瞭然であった。
 両者の声を聞きながら、オレはこうなった数分間の出来事を遠い目で思い返していた。


『ワイバーン(亜種)が仲間になりたそうにあなたを見ています。仲間にしますか?』

 呆然としていれば、再度頭に響くリピの声。あぁ、うん、仲間ね。どうしようかな。

「仲間…仲間かぁ…ごめんね、オレだけじゃあ決められないや。ジャンたちにも聞かないと」
『姐さん!舎弟にしてください!ペットでも…奴隷でもいいですからぁぁぁぁ…』

 聞いちゃいねぇぜ。そしてどんどん自分の立場を下げてくなぁ。奴隷って…まだペットの方がいいよ。

『ワイバーン(亜種)が仲間になりたそうにあなたを見ています。仲間ペットにしますか?』

 こらこら。変な言い方しないの。しないからね?ペットにも仲間にも。するにしても、ジャンたちに報告して許可貰わないと。
 と言うか、姐さんって呼ばれるってことは、オレはやっぱり女子に見えるのか。目が覚めたときからオレって言ってるけど、オレっ子だったのかな?それとも、今のオレが見た目女子なだけ?
 等と考えていれば、後ろから知った声が聞こえたため振り返る。

「カナメ!!いた!!無事か!?」
「ちょっと待ってジャン!カナメちゃんの後ろ!!あれ、ワイバーンじゃないの!?」
「はぁ!?襲われたのか!?」

 わぁ、とても騒がしいよ、お二人さん。見てみろ、気弱藍色さんが頭を瓦礫に突っ込んじゃったじゃないか。痛くないのかな。
 そして、ジャンたちからすれば、オレとワイバーンが一緒に居ればオレが襲われたと考えるのは普通なのだろう。会話をしてしまったオレはまったくそんなことを考えていなかったのだが。
 だから、失念していたのだ。ジャンたちは現在進行形でワイバーンと戦っていたことを。オレの今の状態が、端から見たらどう見えるのかを。

 結果、冒頭のあれである。オレの話なんか聞かず、と言うか焦りすぎて声が聞こえてないようで、ジャンとルイスは暴走中。
 気弱藍色さんに至ってはもう瓦礫に頭どころか背中まで埋まっている。ジャンさん、よく見て。彼に戦う意志は微塵もないから。よく見て。そして落ち着いてくれ。
 とりあえず、二人を落ち着かせるために、オレは足早に二人の元へ駆け寄る。
 しかし、それが余計に誤解を促進させたらしい。パッと見、ワイバーンが怖くて二人に駆け寄ったようにしか見えなかったようだ。
 何かをいう前にジャンに抱きしめられてしまい、声を出そうにもモゴモゴと言葉にならない。
 そうこうしているうちに、ルイスの攻撃準備が整ったらしい。今にも魔法を発動するところだ。
 焦ったオレは、ついつい願ってしまった。そう、あの遠慮を知らない精霊たちに、だ。
 ルイスを止めてくれと。
 結果、突然ルイスの魔力が乱れ、魔力暴走と似たような症状になり気絶してしまった。ちなみに、気絶した理由はリピが教えてくれた。
 勿論、突然気絶したルイスを見れば、ジャンも固まるもので。そのうちにオレはジャンの腕から抜け出し、何があったのかの説明をした。

「な、なるほど?つまり、爆風で飛ばされたカナメを助けたのがそこのワイバーンで…」
「何でかわからないけど、カナメちゃんはあのワイバーンに気に入られている、と…」
「うん。仲間になりたいんだって。どうしたらいい?」

 状況の説明をし、気弱藍色さんの事を伝えれば、二人は少し悩んだ後、似たような回答をした。

「うーん…まぁ、お前が飼いたいなら許してやりたいが、ワイバーンは流石に、なぁ?」
「うん。元いた場所に返して来た方がいいよ。無責任に飼えないしね」

 と。どうやら、二人の中で気弱藍色さんはペットと認識されたらしい。いや、一応あれでもワイバーンだよ?瓦礫に頭どころかもうしっぽ以外突っ込んでるけど、ワイバーンだよ?ペットなの?ペットでいいの??

『ワイバーン(亜種)が仲間になりたそうにあなたを見ています。仲間にしますか?』

 あ、瓦礫の中からこっちみてんのね。そう思いそっちを見れば、バッチリ目が合いました。そんな捨てられた子犬見たいな目でこっちを見ないで!!

「そ、そうだよね~…ダメだよね………あの、移動手段としては?」

 余りにも頼りなさげな気弱藍色さんに、なんだか母性というか、保護欲というか、謎の守ってやらねば感が沸いてくる。

「いや、俺がカナメを抱えて走った方が早い」

 あっ、さいですか。ジャンさんが自信満々にそう言うので、それ以外でいい感じの説得文句が出てこない。
 どうしたもんかなぁ、と考えていれば、またしてもリピの仲間にしますか?コールが聞こえる。
 そこで、オレはそう言えば先程から疑問に思っていることがあることを思い出した。ので、直球でジャンに聞いてみる。

「ねぇ、ジャン。亜種ってなに?」
「ん?あぁ、亜種ってのはな、たまに産まれる強い個体のことだな。魔法が使えない筈の種族から魔法が使える者が産まれたり、五大魔法の何れかに特化した能力になったり、身体的な違いとか、色々と。なんだ?あのワイバーン、やっぱり亜種か?」

 なるほど。つまり、気弱藍色さんは他のワイバーンより強いのか。なのに気弱なのか。メンタルに強化値は振られなかったらしい。

「って、やっぱり?ジャン、わかるの?」
「なんとなく、な。今来ているワイバーンとは明らかに見た目が違うし、普通ワイバーンは魔法が使えないのに、お前を魔法で助けたらしいしな」

 なるほど、なるほど。亜種はわかりやすいのかな。

「しかし、そうか、亜種族か…じゃあ、あいつは居場所がない可能性があるな…」
「うーん…そうかもしれない。なんかね、すっごい弱気なんだよ。自信が無さすぎるのにも程があるよ」
「そうか~…うーん、飼ってもいいんだけど、うーん……」

 とても悩んでいる…オレと会ったときもそうだったけど、ジャンって実は帰る場所や居場所がない奴に対して弱いのでは?途端に悩みだしたぞ?
 そう言う会話をしていれば、悩むジャンを横目で見ていたルイスがケロリといい放った。

「ジャンも亜種族だもんね~。同情しちゃうんだよ。彼、怖い顔して意外に優しいかrまってまってボク今体上手く動かないんだってその暗器しまってお願いしまってくださいすみませんでした」

 明らかに失言だったようで、ルイスが話してる途中に武器を構えるジャン。めっちゃ怒ってる。顔が怖いよ、ジャンさん。
 というか、人間にも亜種ってあるんだね。なんだろう。やっぱりジャンが規格外だったってことがわかった。

「人の亜種ってどんなの?」

 気軽にオレが聞けば、ジャンは苦虫を噛み潰したような顔で、ルイスはそっと目を瞑って(普段から瞑ってるようなものだけど)首を横に振った。
 どうやら、教えてはくれないらしい。

「カナメは…いずれ知るだろうから、うん。聞かないでくれ」
「そうだね…ジャンにだけは聞かないであげて?キミだからこの反応だけど、他の人ならころ痛い痛い痛い痛い耳引っ張んないで!?」

 ルイス、またしても失言。なんか、言葉の途中で遮られること多いね?いつものことなのかな?
 ふむ、しかし、聞くなと言われれば気になるもので。そして、お二人は忘れている。オレには、リピという心強い精霊辞書がいることを。
 と、いうわけで!リピさんや。人の亜種について教えておくれ。

『はい。人族の亜種は、生まれながらに魔力や身体能力等が常人の数倍で、軍事に利用されることが多い。現在確認されているものは、「竜人たつびと」「魔人まびと」「紅人くれびと」の三つに分類され、それぞれ魔力もしくは身体能力に優れ、竜人のみは全てにおいて常人を遥かに超越する存在です』

 なるほど、結構種類があるんだな。ちなみに、その3つの亜種についての説明はあるの?

『はい。「魔人」。よく魔人まじん族と間違われることがあるが、魔人族の特徴である角や翼はない。大量の魔力を持ち、自然魔力を取り込み命を繋ぐことができるため、空腹等で死ぬことがない。出現率が年間四、五人と比較的人数が多い。
 「紅人」。常人の数倍の身体能力を持ち、それは獣人族をも越える。しかし、その力の扱いを間違える人も多く、生まれた時から国の監視下に置かれることが多い。出現率は年間二人程。
 「竜人」。魔人、紅人を越える魔力と身体能力を持つ。最強種族に入る竜族の力を受け継いでいるとされている。これが生まれた家は過去に竜と繋がりがあったとされ、その代から繁栄すると言われている。その圧倒的な力を軍事に利用するため、竜人たちは生まれてすぐに国の奴隷と化す。また常人より成長が早く、全盛期で成長が止まる。エルフ並みに長寿とされている。出現率は最も低く、十年に一人程。』

 まって、竜人強いなって感想しか思い浮かばないんだけど。あと出現率ってゲームのガチャか、おい。
 うん、でもこの説明聞いてわかった。ジャンが居場所や帰る場所を気にしている理由。自分も無かったから、他にも似た人がいると放っておけないんだね。優しい人だなぁ。
 ところで、ジャンはどの亜種なんだろう?オレの予想は「紅人」なんだけど。まさか竜人なんてことは……
 …やっべ、あり得る。全然あり得るよ。むしろちょっとアリだなって思えるぐらいあり得るよ。アリよりのアリエールだよ。
 ……クソつまんないこと言った。一旦落ち着こう。

 いまだに気弱藍色さんをどうするか話し合っている二人を横目に、オレはひたすらぼーっとしつつ、リピとの会話に勤しむのであった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

処理中です...