神の手違いで女子に転生してしまった俺の話聞きます??

蒼霧雪枷

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一章 転生しました

14。とうとう強制送還だってよ

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 蹴り飛ばされたオスカーさんを追いかけ、カインも飛び出る。そのままの勢いでもう一度蹴りを入れようとするが、それよりも先にバネのように跳ね起きたオスカーさんが鱗で覆われた尻尾で払う。
 間一髪避けたが、足にぶつかったのかバランスを崩したカイン。そこを見逃さず、飛びかかるオスカーさん。いつの間にかその手には一振りの剣が握られており─

「双方、止め!!!」

 割って入った大声に、ピタリと動きを止めた。
 声の聞こえた方を見れば、海のように真っ青な毛色の小さな獣人が。耳の形や尻尾で、恐らく猫人族と呼ばれる獣人だろう。モフりたい。
 その後ろには、耳当てのついた帽子を被った色黒で背の高い男性がいた。オニキスよりは色が薄い男は、大きな欠伸をしてこちらに興味は無さそうであった。

「リンじゃないか。戻ったのか?」
「黒狼さん、お久しぶりです。一時的にですが、取り敢えずこの森の管理権を元に戻そう、という話になりまして」
「なるほど。それは大事だ。いつまでもイーラ領に預けておく訳にもいくまい」

 どうやらオニキスの知り合いらしい青い少年は、名前をリンと言うらしい。ところで、本当にオニキスって名前なかったんだな。黒狼って、そのまんまじゃん。
 剣をしまい、カインから離れたオスカーさんが二人の横に並ぶ。

「これより、【ルヴィンドの森】はイーラ領の管轄から離れ、スピルベア領に移行する。まぁ、一時的な処置だったから書類だけで済ませても良かったのだが…」
「一応、ここに住んでいる黒狼さんにお知らせしようと思って。そしたら、もう一人住んでいると聞いて、一言挨拶に」
「真面目なんだな…」
「責任者になったからな。しっかりしなきゃいけない」
「お子様にゃんこはいつまでもお子様だけどな」
「るっせぇバーカ!!!」

 後ろの背の高い男の軽口に、噛みつくように反論をするリンくん。オニキスやカインは、口振り的に見た目通りの年齢ではないため、彼らもそうだと思っていたが…もしかしたら見た目通りかもしれない。
 そう思っていれば、こそこそとオニキスから耳打ちされた。

「…レイ。リンはああ見えて二十歳でお前より歳上だ。ついでに小さいが禁句で、言ったら斬られるから気を付けろ」
「…………おん」

 常識人かと思ったら、そうでもなかったかもしれん。いや、身長に関することを言わなければいいだけなのだろう。うん。気を付けよう。斬られたくないしね。

「それより、もしかして召喚はそのためか?どう考えても、他に用件があるように思えるが…」
「そぉだよぉ。リンくんたちはともかく、さっさと用済ませてとっとと帰れ蜥蜴野郎」
「ここに居座ってやってもいいんだぞ、サボり魔羊」

 いつものカインとオニキスのようなやり取りを始めるものだから、思わず両手をあげてしまった。察したカインは即座に黙り、次に俺が何をしようとしたのかわかったオスカーさんも黙る。
 それを見たリンくんはポカンとし、背の高い男は爆笑する。オニキスは何だか苦い顔をしている。

「あーっはっはっはっはっはっ!!なんだお前、おもしれぇ奴じゃん!!この二人を止められんの、センセーぐらいしかいねぇと思ってた!」
「ま、また森が一つ消える喧嘩が始まるかと思った…助かったぁ…」
「え、そんな?ちょっ、痛い!背中叩くな!」

 笑いながらバシバシと俺の背中を叩く男。つか、コイツの名前聞いてないな。
 先程までこちらに興味が無さげだった男は、どうやら俺を面白い奴だと判断したらしい。無表情だったのが打って変わって、ニヤニヤと笑っている。

「俺はレオ。レオルド・グリーク。おら、お子様にゃんこ。お前もまともに名乗ってないだろ」
「え、あぁ……って、誰がお子様だ!!ったく…リン・ストームだ。名乗り遅れてすまない」
「いや、俺も名乗ってないし、お互い様だろ。俺はレイメイ。よろしくな!」

 この体は16だが、精神的にはもういい年した大人なため、どうにも彼らを年上として見れない。なんか、元気にじゃれてる男子高校生だな、としか…
 オニキス、カイン、オスカーさんは何やら国絡みの会話をしているため、俺は呑気に二人と会話をする。

「二人は仲がいいのか?」
「ん、まぁまぁ…」
「大変、仲がよろしいです。なぁー?お子様にゃんこー?」
「うるせぇ巨人!!身長マウント取る為にいっつもいっつもくっつきやがって!!!」
「小さくて可愛いのが悪いよなぁ、レイメイ」
「そうだな、ちい……もふもふで可愛い」
「俺は小さくない!!お前はお前でなんだ、もふもふ…?」
「もふもふは正義」
「え?」
「復唱!!もふもふは正義!!はいっ!!」
「もふもふは正義ー!」
「え、も、もふもふは正義…?」
「新宗教の開拓は止めろと言っただろう!」
「あいてっ!」

 案外ノリの良いレオルドがノリノリで復唱し、困惑気味のリンが首を傾げている。俺は俺でもふもふの良さを布教しようとすれば、話が終わったらしいオニキスに頭を叩かれた。
 新宗教とは、失礼な。あながち間違ってはいないが、そんな怪しいものじゃないぞ。な、もふもふ神!

「その呼び方止めろ」
「やっぱエスパーやんけ…」
「……何故か突っ込まなければいけない気が…」

 ツッコミは大変だな、うん。わかるよ。俺も昔はそっち側だった。

「話は終わったのか?」
「あぁ、いや…平行線で一生終わりそうもないため、もう本題に入って貰おうと思ってな」
「本題?」
「あっ!そうだった!えーと、レイメイ。あんたに一つ、伝言を預かって来てるんだ」

 そう言ってリンが取り出したのは、くるくると丸められた大きめの紙。見てすぐに分かるほど、上質な紙だというのが分かる。
 なんか、よく漫画で見る王族からの文書的な…とかなんとか思っていれば、広げた紙に書かれた内容をリンが読み上げた。その内容に、思わず固まる。

「えー、『魔王ルシファーより命ずる。これより、貴殿に与える任務を速やかに遂行すべし。一、世界の異変の調査。二、戦場の調査。それに伴い、調査の前に魔国中央都市アヴェールにある魔王の城へと登城すること。スピルベア領領主代理リン・ストーム、イーラ領領主オスカー・ドレッドを立会人とし、この任務を与える。十魔王筆頭ルーク・ディエスタ』」
「え」
「つまり、一番偉い魔王からの伝令だな。要約すると、世界中を回ってこい。拒否権はない。ってところか」
「えーと、オニキスさん、つまり?」
「お前がさっさと出ないから、面倒事に巻き込まれたということだ」

 oh……いや、うん。それに関しては俺が悪い。俺が悪いけどさぁ…?つまり、そう言うことでしょ?一番偉い魔王からってことは、この世界で一番偉い人からってことでしょ?
 
 いや、いやいやいや!!さらっと!!さらっと俺の今後を左右することを言わないで!!!!!!お願いだからさぁ!!!!!!!
 強制送還ってことだな!?これ、強制送還ってことなんだよなぁ!!!魔王の城へ登城するように、って、やだよ!!!俺、そんな偉い人と話したくない!!
 あと、何気にリンくんも偉いんだな!?薄々気づいてたけど、ここの領主代理なんだね!!若いのにすごいね!!!

 脳内で散々騒いだあと、流石の内容に苦笑いをしてるリンくんと、呆れた表情のオニキスを見る。
 つまり、さっさと旅に出なかった俺への罰というか、尻叩きなんだろう。ちくしょう、不憫な~とかいう称号を取ってしまったせいで…!

 同情してるような表情のレオルドに肩を叩かれ、ヒートアップしたのか激しい言い合いをしているカインとオスカーさんも無視し、俺はしばらく現実逃避をするのであった。

 あー、空が青いなぁー!








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