カタリーナのお店の人々

マッシ

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37. 勉の部屋とサリー

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(勉の部屋とサリー)

 次の日、日曜日……
 今日も晴れていて、残暑厳しく、暑かった……
 私は、朝早くから、フルーツロールケーキを作った。
 それに、勉が良く注文していた、ミックスサンドイッチとホットコーヒーをポットに入れて、籐で作られたバスケットに、店で出している食器を含めて、一緒に入れた。
 何を着て行こうかと迷ったが、勉の喜びそうな学校の制服を着ていくことにした。
 午前8時半ごろ、私は店を出た……

「こんな中学校の近くにあったのね。長谷川さんか……」
 彼の家は、庭付きの二階建ての大きな家だった。
「……、こんにちは……」
「いらっしゃい……、朝早くから、暑かったでしょう……」
「いえ、まだ午後からと違って、ましな方でした……」
「勉に逢ってください……」
 お母さんは、八畳の広い和室に案内してくれた……
 そこには、祭壇と白い箱と遺影があった。
 祭壇の脇には大きな花束が飾られていた。
 でも、そこには線香もロウソクもなかった。
 私は、祭壇の前に座って、静かに手を合わせた。
「まだ、お墓がなくって、そのままなんですけど……、このままでもいいかなって、思ったりもして、なかなか踏ん切りがつかないんです……、でも、いつかは、お墓を立てて収めようと思っていますが……、まだ、誕生日を祝いたいなんて思っているようでは、駄目ですよね……」
 お母さんも、私の横に来て座って、遺影に話しかけていた……
 私は、持ってきたバスケットの中から、お皿とフォークとスプーンを出して、フルーツロールケーキを一つ盛って祭壇に置いた。
 それを見ていたお母さんは、また涙していた……
「お母さん、勉君の部屋、見せてもらっていいですか……? 私、あれから、ずーっと逢っていなくって、今日、一緒にコーヒーとサンドイッチ食べようと思って持ってきたんです……」
「もちろん、いいですよ……、勉も喜ぶと思います……、さっちゃんにも逢ってあげてください……」
「……、あの、私に似たお人形ですか……? ちょっと恥ずかしいですけど……」

 二階の南向きの八畳くらいの広い部屋にベッドと机と本棚とロボットのプラモデル、その中に、女の子の幼児くらいの大きな縫いぐるみのお人形がちょこんと座っていた。
 髪型は、前髪を切りそろえたロングヘヤーのフルバンクス、私の髪型と同じだ。
 壁には、真新しい見知らぬ学校の制服が掛かってあった。
「本当ですね……、これ、抱いて寝られますね……」
「……、そう、そう、ね……、……」
「……、でも、可愛いです、……」
 私は、勉が座っていた机の椅子に座って、バスケットの中からミックスサンドイッチが盛り付けてあるお皿を出した……、それと持ってきたコーヒーカップとソーサーを二つ出して、ポットからコーヒーを注いだ……
「……、お母さん、すみません、勉君と二人でお話してもいいですか……?」
「……、そうね、ゆっくりしていってください……、お話が終わったら下に来てください……、一緒にフルーツロールケーキ、食べて行ってください……」
「ありがとうございます……、お話が終わったら下に行きます……」
 お母さんは、一階に下りていった。
 私は、部屋のカーテンを確り閉めた。
「……、お誕生日、おめでとう……」
 私は、靴下を脱いでから、スカートも脱いだ。
 そして夏の白い制服のボタンを外してそれも脱いだ
 彼はまだ出てこなかった……
 私は、背中に手を回してブラも取った。
 彼は、まだ出てこなかった……
 仕方なくパンツも脱いだ……
「……、もー、いるんでしょう……、分かっているのよ……、私にこんな格好までさせて……、出ていらっしゃいよ……」
「……、どうして、分かったのかな……」
 勉は、私の座っていた机の椅子に座っていた……
「だって、貴方、奈緒さんが裸にされそうになったときに出てきたじゃない」
「……、彼女、本当に脅えていて、可愛そうだったから……」
「……、でも貴方も見ていたんでしょう……?」
「ちょっとだけ……」
「うそ、……、期待していたんでしょう……?」
「……、ちょっとだけ……」
「まだ、この世に未練があるのね……」
「……、ないと言ったら嘘になるけどね……」
 勉は、卵焼きサンドを一つ取って食べた……
 私は、ベッドの上に座った……
「……、貴方、生まれ変わるんじゃなかったの……?」
「だって、君のお腹の中から生まれ変わりたいと思っても、まだ、高校生だし、結婚して子供ができるなんて、まだまだ先の話だから……」
「……、当たり前でしょう……」
「……、だから、そんなに焦らなくてもいいかなって思ったりして……」
「でも、貴方、見ているだけならつまらないって言ってたじゃない……」
「……、そうなんだ……、生まれ変わった新しい人生と、幽霊のままの人生、どちらが本当の人生かな、どちらが幸せなのかなって思ったりして、僕もまだ銀河鉄道に揺られて、悩んでいる人と同じ口かな……」
「バカね……、私のお腹じゃなくてもいいんじゃないの……、おっぱいなんてみんな一緒よ……、触りたいんでしょう……?」
「……、そうだけど……」
「……、私のを触らせてあげるわよ……」
「……、でも、触ったら、もう、君から離れられなくなりそうだから……」
「でも、それでいいじゃない……、今も同じようなものでしょう……」
「……、そうだけど……」
「……、私、貴方のこと好きよ……、いつも一緒にいたい……」
「……、でも、幽霊なんかと一緒にいてもつまらないだけだよ……、きっと君のためにならないよ……」
「それは、私が決めることよ……、ためにならなくても、私は貴方といて幸せよ……、貴方はどうなのよ……、私といて幸せなの……?」
「……、もちろん幸せだよ……」
「それならいいじゃない……、一緒にいましょうよ……、私の胸、触りたいんでしょう……、小さくて悪いけど……」
 私は、ベッドから立ち上がって、勉の前に立った……
「ほら、早く……」
「……、奇麗だね……」
 勉は、乳首あたりを遠慮がちに触った……
「……、貴方も服、脱ぎなさいよ……、部屋ではね……、誰でも裸でいるものなのよ……」
 勉は、その場に立って、服を脱いだ……
「……、さー、私の体、抱いてよ……、……」
 勉は、私を腕の中に包むように優しく抱いてくれた。
「……、どうなの……? ……」
「……、柔らかくて、温かいよ……」
「……、貴方は、少し冷たいわ……、可哀そうなくらい……」
 私も、彼の腕の中から、彼の背中を両手で抱いた……、その冷たい体を温めるように……
「貴方ねー、あのさっちゃん、抱いて寝ていたんでしょう……」
「……、そう、頬擦りして、可愛いでしょう……」
 勉は、私の耳元を頬擦りした……
「今度は、もっと大きな、さっちゃんを作ろうと思っていたんだけど、死んじゃった……」
「貴方、それじゃ―ダッチワイフじゃない……」
「……、僕の欲しかったものだから……、お店に売ってないしね……」
「もー、しょうがないわねー、ベッドに行きましょう……、おっぱい吸わせてあげるから……」
「……、ほんと……、……」
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