俺「重課金疲れた……」ギルメン「俺さんすごい! 次のイベントもお願いします!」

道楽時計

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第二話 青い鳥

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女「はあっ!」バスッ 

俺(相変わらず脳筋だなぁ……) 
俺「ブレインっ!」 

ゴブリンゾンビ「フルワァァァッ!」 

女「ちぇいさっ!」バスッ 
女「援護ナイスっす。あいつ、ブレイン効くんですね」 

俺「情弱乙。それくらい調べてから動けよ。掲示板では効き難そうなのに効くのがネタになってるくらいだぞ」 

女「…………」 

俺「あ? どうした?」 

女「あ、いや……ちょっと喋り方、知り合いに似てたもんで」 

俺「……ネットスラングだっての」 

女「そりゃ知ってるっすけど……」 


◆◆


男「クソっ! 次のイベントでは、結果を出すはずだったのに!」 

俺「そんな焦らなくても……」 

男「アップデートで課金優遇が実装されて、主力も課金ギルドに取られちまったのが痛すぎる……」 

俺「俺は……今のここ、好きですよ」 

女「ウチも……」 

男「そういう話してるんじゃねぇよ! あぁ……クソ、重課金非優遇を売りにしてたくせに……」 

俺「た、多少は仕方ありませんって!」 

男「はぁ……ここでまともに課金してるの俺くらいだしなぁ……」ボソッ 

俺「男さん、まさか……抜けるなんて、言いませんよね」 

男「…………」スタスタ 

俺「……男さん」 


◆◆


男「……レベル20代? そんな奴ウチに入れられるわけないだろ!」イライラ 
男「クレクレだと言われても仕方ないぞ! ちょっとくらいにはここのマナーを調べてから動くんだな!」 

男剣士「す、すいませんでした」 

男「ったく」 

俺「俺が入ったのは、15のときでした」 

男「何が言いたい? ここの状況もレベルキャップも全体の情勢も違っただろうが!」 

俺「でも……」 

男「足手纏いを引っ張れるだけのメンバーがいないんだよ! それくらいわかるだろうが!」 

俺「メンバー数自体は減ってますし……今は選んでられる場合でも。ここで育てれば……」 

男「で、育った後他所のギルドにもってかれるんだろ?」 

俺「そんな……あれは、女魔術師さんは……あの職自体、ギルドが課金しないとインフレに置いていかれるから、仕方なく」 

男「くどくどと煩い! 主力が抜けたのが今の現状だろうが! 理由云々なんか関係あるか!」


◆◆


俺「だからさ、霊獣の森に行くなら、氷耐性重視にしておいた方がいいだろ。それなら、ここのギルメンだけでも十分狩りができる」 

女盗賊「なーる。男中心にパーティー組めば、チャンスはあるかもね」 

女「でもそれ、毒くらったらまずいんじゃないっすか?」 

女盗賊「は?」 

俺「馬鹿か。そりゃ剣盾オンラインでの仕様の話だろ」 

女盗賊「女はほんっと抜けてってからな、ばーっか」 

女「ふふっ……やっぱり」 

俺(あ? まずった?) 
俺「えっと、剣盾オンライン懐かしいな……。三年くらい前、ちょっとやってたんだよ」 

女「この前聞いたとき、やったことないって言ってたっすよね?」 

俺「え、う、嘘だろ? そんな、そんなことは……」 

女「嘘っすよ。でも、その反応見ればぜんぶわかるっすよ」 

女盗賊「え、なに? なんの話」ニヤニヤ 

女「オレさん、なんっすよね? 前のゲームでいっしょだった」 

女盗賊「お、おい、ちょっと待てよ……。剣盾オンラインのオレ!? それって、あの急に消えたっていう伝説の……超有名人じゃねぇーか!」 

女「急に消えたからずーっと探してたんっすよ。へへっ、でもまあ、多分俺さんじゃないかなーって思ってたっすけどね。毒舌なところとか、あと戦略とか似てるなーって」 



俺「俺は……俺は、違うんだ……」 

女「俺さん?」 

俺「俺は……」 女盗賊「男っ! 聞いたか、俺の奴が、あの剣盾オンラインのオレなんだってよ! あの、伝説の!」 

ギルメンA「え?」
ギルメンB「ま、マジかよ……なんでこんな弱小に?」
ギルメンC「じゃあ……そのうちまた、無双する気なのか?」 

俺「…………」 

男「オレ? 噂でしか知らないが……あのオレなのか? じゃあそろそろ……様子見も終わって、課金する気なのか?」 

男「な、なぁっ! お前はウチに残ってくれるんだよな? 俺は、ここの皆が大好きなんだ! お前もそうだって言ってくれたよな? なあ? 俺も……お前にゃそりゃ及ばないだろうが、課金するから! だから……残ってくれよ!」 

俺「…………」 

ギルメン「さすが我らがギルドマスター! かっけぇ!」 ギルメン「なあ、今の言葉、ギルド伝言板の名言リストに入れとこうぜ!」 
ギルメン「私も、ここ大好きだよ男さん!」 



男「なあ! やってくれるよな! なあ!」 

俺「俺、は……」 

盗賊女「よかったじゃん男。これでここも安泰かな」 

ギルメンA「……今まで指咥えて見てるしかなかったイベントに参加できる?」 
ギルメンB「ここのギルドに錬金釜と研究室ができたら、女魔術師ちゃん帰ってくるんじゃね?」 
ギルメンC「ドラゴンペット機能で、あーしこれやったらいいんじゃないって思うのがあったんだけど……」 

女「あ、あのー……ちょっち、みんな……えっと……」 

男「ここにいてくれるんだよな? な?」 

俺「あ、ああ……俺は、ここにいるよ」 

ギルメン「「「うおおおおおおおっ!」」」 

女「…………」 
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