18 / 19
第十八話 ログアウト
しおりを挟む
俺「で、でも……お前の言っていることは、俺が犯人だと決めて掛かっての肉付けだ!」
女モンク「まだ言い訳をするつもりか!」
俺「違う! 俺が言いたいのは、俺を疑う原因となった、もっと決定的な要因があるんじゃないのかと言っているんだ!」
女モンク「…………」
俺(当たり、みたいだな)
俺(女モンクは……こんな思い込みの激しい奴じゃない。強力で具体的な、俺に悪印象を抱く何かがあるはずだ)
女モンク「白々しい」ボソッ
俺「何度も言うが、俺は犯人じゃない」
女モンク「……いいだろう。最初に言った、他の話からにしようか」
俺「…………」
女「おーれさんっ! 戻ってきてくれたんっすね! ホントに、ホントに寂しかったんっすよ!」ギュッ
女「またウチの前から俺さんがいなくなるんじゃないかって、すごく怖かったんっすよ!」
俺「あ……あはははは……、いや悪いな」
女「俺さんがウチを裏切るんじゃないかって……そんなこと思っちゃって……そんなわけ、ないっすよね? ね?」
女「落ち込むことないっすよ俺さん! 相方さんの動きがおかしかったから共同スキル上手く使えなくて、それで結果として単騎で相手のボスに挑むことになっちゃっただけっすもんね!」
女「特訓に付き合ってたウチにはわかるっすよ! 俺さんの判断は、間違ってなかったす!」
女「だから俺さんが気に病む理由は、なぁーんにもないんっす!」
女「あのヤリマン卑怯ヤローが、弁解もせずに退会して逃げのが本当に許せないっすね!」
俺「…………」
女モンク「……今は私が俺と話しているんだ。会話が聞こえないところまで行ってくれないか」
女「そんなの嫌っす! 俺さんは、ウチのものなんっすーだ!」
女「ね? ね? 俺さん、辛気臭い話は置いといて、結婚しましょうよ結婚! ウチと結婚してくれるんっすよね! 前からそういう約束だったっすもんね?」
俺(やめろよ……今それ言うと、俺が女騎士がやめるのがわかってたみたじゃねーか!)
女モンク「…………」
女「ね、ほら俺さん! ウチ、ウエディングドレス、作ったんっすよ!」
女「俺さんの言った通り、課金アイテムに純白の布が追加されたんっす! さすが俺さんっす!」
女「ほら、ほら、似合いと思いますか? ね? ね? 可愛くないっすか?」
俺「…………」
女「俺さん? どうしたんっすか、俺さん?」
女モンク「クレイロピィ!」バッ
女「へ? こ、これ……地属性の足止め呪文……? ちょ、ちょっと何するんっすか! どうして、邪魔するんっすか!」
女モンク「……場所を移そう」
◆◆
女モンク「…………」
俺「な、なあ……俺より先に、疑わなきゃいけない奴がいるんじゃないのか?」
女モンク「女は……私の、高校時代の同級生だ……」
女モンク「疑いたくなかったが……私の、浅慮だったかもしれんな」
俺「……女モンク」
女モンク「しかし同級生だからこそ、あの子を誑かそうとしているものが許せん」ギロッ
俺「は、はぁ? どういうことだよ!」
俺「なんだ? 俺がアイツにこうするように指図したって言いたいのかよ!」
女モンク「違うと言いたいのか? 私が何も知らないと、鷹を括っているのだな」
俺「な、なんだよ……何の話だよ……」
女モンク「さて、逸れた話を戻そうか」
女モンク「女が、大学をやめたことを知っているか?」
俺「は、はあ? 知るかよ! それに俺が関係あるのかよ!」
女モンク「実はこの間、昔の同級生で集まったのだ。女友達五人の、小さな集まりだったが」
女モンク「あいつは、奨学金を『何か』につぎ込んで、学費が払えなくなって大学をやめたらしい」
俺「え?」
女『任せてください! 明日には振り込んどくっす! 一緒に、ウチのギルドを最強にしましょう!』
俺(どこからあんな大金一日で工面したのか不思議だったが……まさか)
女モンク「本当に、何も心当たりがないのか?」
俺「…………」
女モンク「答えろっ!」
俺「……う」
女モンク「う?」
俺「うわあああぁぁぁぁぁああああ!」ダッ
女モンク「……クレイロピィ」
俺「うわっ!」バタッ
俺「知らないっ! 俺は何も知らないぞぉっ!」
俺「知るわけがないだろうがッ! 何があったとしても、アイツが勝手にやったことだ! 俺は何も知らないッ!」
俺「誰かァッ、助けろ! 俺を助けろっ! PK、PKだぁ! ここにPKがいるぞ!」
女モンク「質問に答えてもらうぞ!」
俺「…………」
女モンク「俺?」
俺「 」スッ
女モンク「ログアウトしやがったか……」
◆◆
『退会しますか? 退会をされた場合は……』
俺「知るかっ! やめる! 俺はもう、こんなクソゲーやめてやるっ!」
『では、これで退会手続きが終了しました。お疲れ様でした』
俺「ふふ、ふふふ退会してやった! もう二度とネトゲなんかするかつ!」
俺「俺は悪くない……俺は何も悪くないぞぉっ! これで、あのメンヘラ女ともお別れだァッ!」ガタガタ
俺「ふひ、ふひひひひひひひひ……」
ピンポーン
俺「え?」
ピンポーン
俺「う、嘘だよな……?」
ピンポーン ピンポーン
俺「あ……あ、ああ……」ガタガタガタガタ
女モンク「まだ言い訳をするつもりか!」
俺「違う! 俺が言いたいのは、俺を疑う原因となった、もっと決定的な要因があるんじゃないのかと言っているんだ!」
女モンク「…………」
俺(当たり、みたいだな)
俺(女モンクは……こんな思い込みの激しい奴じゃない。強力で具体的な、俺に悪印象を抱く何かがあるはずだ)
女モンク「白々しい」ボソッ
俺「何度も言うが、俺は犯人じゃない」
女モンク「……いいだろう。最初に言った、他の話からにしようか」
俺「…………」
女「おーれさんっ! 戻ってきてくれたんっすね! ホントに、ホントに寂しかったんっすよ!」ギュッ
女「またウチの前から俺さんがいなくなるんじゃないかって、すごく怖かったんっすよ!」
俺「あ……あはははは……、いや悪いな」
女「俺さんがウチを裏切るんじゃないかって……そんなこと思っちゃって……そんなわけ、ないっすよね? ね?」
女「落ち込むことないっすよ俺さん! 相方さんの動きがおかしかったから共同スキル上手く使えなくて、それで結果として単騎で相手のボスに挑むことになっちゃっただけっすもんね!」
女「特訓に付き合ってたウチにはわかるっすよ! 俺さんの判断は、間違ってなかったす!」
女「だから俺さんが気に病む理由は、なぁーんにもないんっす!」
女「あのヤリマン卑怯ヤローが、弁解もせずに退会して逃げのが本当に許せないっすね!」
俺「…………」
女モンク「……今は私が俺と話しているんだ。会話が聞こえないところまで行ってくれないか」
女「そんなの嫌っす! 俺さんは、ウチのものなんっすーだ!」
女「ね? ね? 俺さん、辛気臭い話は置いといて、結婚しましょうよ結婚! ウチと結婚してくれるんっすよね! 前からそういう約束だったっすもんね?」
俺(やめろよ……今それ言うと、俺が女騎士がやめるのがわかってたみたじゃねーか!)
女モンク「…………」
女「ね、ほら俺さん! ウチ、ウエディングドレス、作ったんっすよ!」
女「俺さんの言った通り、課金アイテムに純白の布が追加されたんっす! さすが俺さんっす!」
女「ほら、ほら、似合いと思いますか? ね? ね? 可愛くないっすか?」
俺「…………」
女「俺さん? どうしたんっすか、俺さん?」
女モンク「クレイロピィ!」バッ
女「へ? こ、これ……地属性の足止め呪文……? ちょ、ちょっと何するんっすか! どうして、邪魔するんっすか!」
女モンク「……場所を移そう」
◆◆
女モンク「…………」
俺「な、なあ……俺より先に、疑わなきゃいけない奴がいるんじゃないのか?」
女モンク「女は……私の、高校時代の同級生だ……」
女モンク「疑いたくなかったが……私の、浅慮だったかもしれんな」
俺「……女モンク」
女モンク「しかし同級生だからこそ、あの子を誑かそうとしているものが許せん」ギロッ
俺「は、はぁ? どういうことだよ!」
俺「なんだ? 俺がアイツにこうするように指図したって言いたいのかよ!」
女モンク「違うと言いたいのか? 私が何も知らないと、鷹を括っているのだな」
俺「な、なんだよ……何の話だよ……」
女モンク「さて、逸れた話を戻そうか」
女モンク「女が、大学をやめたことを知っているか?」
俺「は、はあ? 知るかよ! それに俺が関係あるのかよ!」
女モンク「実はこの間、昔の同級生で集まったのだ。女友達五人の、小さな集まりだったが」
女モンク「あいつは、奨学金を『何か』につぎ込んで、学費が払えなくなって大学をやめたらしい」
俺「え?」
女『任せてください! 明日には振り込んどくっす! 一緒に、ウチのギルドを最強にしましょう!』
俺(どこからあんな大金一日で工面したのか不思議だったが……まさか)
女モンク「本当に、何も心当たりがないのか?」
俺「…………」
女モンク「答えろっ!」
俺「……う」
女モンク「う?」
俺「うわあああぁぁぁぁぁああああ!」ダッ
女モンク「……クレイロピィ」
俺「うわっ!」バタッ
俺「知らないっ! 俺は何も知らないぞぉっ!」
俺「知るわけがないだろうがッ! 何があったとしても、アイツが勝手にやったことだ! 俺は何も知らないッ!」
俺「誰かァッ、助けろ! 俺を助けろっ! PK、PKだぁ! ここにPKがいるぞ!」
女モンク「質問に答えてもらうぞ!」
俺「…………」
女モンク「俺?」
俺「 」スッ
女モンク「ログアウトしやがったか……」
◆◆
『退会しますか? 退会をされた場合は……』
俺「知るかっ! やめる! 俺はもう、こんなクソゲーやめてやるっ!」
『では、これで退会手続きが終了しました。お疲れ様でした』
俺「ふふ、ふふふ退会してやった! もう二度とネトゲなんかするかつ!」
俺「俺は悪くない……俺は何も悪くないぞぉっ! これで、あのメンヘラ女ともお別れだァッ!」ガタガタ
俺「ふひ、ふひひひひひひひひ……」
ピンポーン
俺「え?」
ピンポーン
俺「う、嘘だよな……?」
ピンポーン ピンポーン
俺「あ……あ、ああ……」ガタガタガタガタ
0
あなたにおすすめの小説
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる