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そんな瀬津とは打って変わって、周りに居合わせた女子たちはキャーキャーと黄色い声を飛ばしている。
クラスでも人気の1位と2位のツーショット。耳打ちをする接近。しかも亮は真っ赤で珍しく慌てている。咲夜の方はそんな状況を楽しんでいるかのように、ニヤニヤと企みの笑みを浮かべている。一部の女子生徒は在らぬ噂を立ててしまいそうなこの状況。
しかし、当の2人はそんな声、耳に入ってないかのように、何やらコソコソと会話を続けている。
「いいじゃん。...-..*..・・―+。」
"好きなんだろ?瀬津のこと。"
「そりゃ......まぁそうだけど...。でも...そんなん...。」
いつもの元気が嘘のように、言葉を濁す亮。後にいけばいく程、なにかに元気が吸い取られてしまっているようだ。
「ねぇ、遅刻するよ?止まってないで行こうよ。」
「あっ...おぅ!!」
瀬津の声に、我に返った2人は、瀬津の手を引き校門へ向かって走り出す。さっきの会話、なんだったんだろ。気にはなるが、秘密にしていることをわざわざ聞く趣味はない。
教室に入り、席につく。落書きは...なかった。代わりに朝イチだと言うのに、いつものメモが入っていた。『今日のパン、よろしく。』またあの5人だ。仲間から外すと散々言っていたのに、変わらず使いたい気持ちはあるのだろう。でも、逆らうのは怖い。今更、逆らうなんてこと出来ない。
昼休みに入り、1番に教室を飛び出し、瀬津が購買へ向かって走り出す。
はぁ...。バカだなぁ......私って。と、思わず弱音を吐き出したくなる。購買へ向かう道、ため息を何度もついた。何怖いからって従ってるんだろう。
「どうぞ。...では、私はこれで。失礼いたします。」
今日言われていたのはパンだけ。多目的教室に持っていき、取り巻きの1人に手渡すと、有無を言わせることなく、瀬津は身を翻した。
今日はどこに行こうか。途方もなく、行くあてもなく歩き続ける。適当に時間を潰して、昼休みを乗り切ろうと思った。
あーぁ。もう、やめよう。あの人たちに頼まれても、もうやめよう。従うのは辞めよう。何度も何度も、心の中で唱え続ける。それはもう、自己暗示のように。
「瀬津、ちょっといいか?」
ただ、行くあてもなくさ迷うように歩いていた瀬津を、亮が追い掛けて来て、呼び止める。
「うん?」
改まった亮の態度に緊張する。何かあったかな...。ドキドキと、嫌な動悸がした。何かやらかしてしまっているのではないかという不安に飲まれる。
「いや...えっと......。」
あからさまに言葉を詰まらせる、亮。落ち着け。と何度も心の中で唱えた。今まで告白をしてくれて、断ってきた女の子たちもこんなに勇気を出して言ってくれてたんだ...。今なら、その気持ちが分かる。自分の立場になって、初めて分かる。
咲夜に告白をしてきている子達も同じだろう。代わりに手紙を渡してくれと、頼んでくる子は...どうなんだろう。同じなのかな...。
「今から言う事に、落ち着いて聞けよ?」
瀬津は何も焦っていないのに、念を押す。亮の鼓動は限界まで高鳴っていた。自分が一番落ち着いてくれ、と思う。心臓が口から出ていきそうだ。
「うん。」
そんな亮とは正反対で、何も意識することがないように、瀬津は平然と答える。何を言われるかなんて、考えもしていないのだろう。
「俺な...俺、瀬津のことが......ことが...好きなんだ。入学してからずっと。だから、いつも虐められてんの見るのが辛かった。でも、クラスのルールに逆らうのが怖かった。虐めに合いたくない気持ちを優先させた。ごめん。でも...それでも、好きだから。俺はお前の事が好きだから。えっと......」
つっかえながら、噛みながら、一生懸命に気持ちを伝える。全然格好良くなんてない。落ち着いて聞けと言いながら、自分自身が一番動揺し、いつもの平常さを失っていた。瀬津と目線を合わせることが難しい。無意識に、自信が無い現れなのか、目は泳ぎ、足元を見てしまう。
そんな亮とは対照的に、瀬津は身動き1つせずに亮の言葉を受け止め、固まり、頭の中で反芻し、ようやく理解出来たのか、時間をかけて口を開いた。
「あの...それ、本当?本当に私なんかを好きになってくれたの?......だって、今までいろんな人が告白したの全部断ってるよね?何で...私なの?私なんかが......」
相手になってもいいような人じゃない。そう言いかけて、亮の辛そうな顔に気が付いた。下唇を噛み、目を逸らす亮の姿にハッとした。好きだと、言ってくれているのに...その相手である自分を卑下するなんて。
でも、私なんて、到底あの多くの女の子たちの上に立ってもいいような人じゃない。他の女の子たちが手に入れられなかったものを手に入れていいとは思えない。亮の気持ちはもちろん嬉しいけど...。
親にしか好きだと、言われたことがなかった。初めての親以外の好き。つい、戸惑ってしまう。考えが全然まとまらない。
「えっと.........」
クラスでも人気の1位と2位のツーショット。耳打ちをする接近。しかも亮は真っ赤で珍しく慌てている。咲夜の方はそんな状況を楽しんでいるかのように、ニヤニヤと企みの笑みを浮かべている。一部の女子生徒は在らぬ噂を立ててしまいそうなこの状況。
しかし、当の2人はそんな声、耳に入ってないかのように、何やらコソコソと会話を続けている。
「いいじゃん。...-..*..・・―+。」
"好きなんだろ?瀬津のこと。"
「そりゃ......まぁそうだけど...。でも...そんなん...。」
いつもの元気が嘘のように、言葉を濁す亮。後にいけばいく程、なにかに元気が吸い取られてしまっているようだ。
「ねぇ、遅刻するよ?止まってないで行こうよ。」
「あっ...おぅ!!」
瀬津の声に、我に返った2人は、瀬津の手を引き校門へ向かって走り出す。さっきの会話、なんだったんだろ。気にはなるが、秘密にしていることをわざわざ聞く趣味はない。
教室に入り、席につく。落書きは...なかった。代わりに朝イチだと言うのに、いつものメモが入っていた。『今日のパン、よろしく。』またあの5人だ。仲間から外すと散々言っていたのに、変わらず使いたい気持ちはあるのだろう。でも、逆らうのは怖い。今更、逆らうなんてこと出来ない。
昼休みに入り、1番に教室を飛び出し、瀬津が購買へ向かって走り出す。
はぁ...。バカだなぁ......私って。と、思わず弱音を吐き出したくなる。購買へ向かう道、ため息を何度もついた。何怖いからって従ってるんだろう。
「どうぞ。...では、私はこれで。失礼いたします。」
今日言われていたのはパンだけ。多目的教室に持っていき、取り巻きの1人に手渡すと、有無を言わせることなく、瀬津は身を翻した。
今日はどこに行こうか。途方もなく、行くあてもなく歩き続ける。適当に時間を潰して、昼休みを乗り切ろうと思った。
あーぁ。もう、やめよう。あの人たちに頼まれても、もうやめよう。従うのは辞めよう。何度も何度も、心の中で唱え続ける。それはもう、自己暗示のように。
「瀬津、ちょっといいか?」
ただ、行くあてもなくさ迷うように歩いていた瀬津を、亮が追い掛けて来て、呼び止める。
「うん?」
改まった亮の態度に緊張する。何かあったかな...。ドキドキと、嫌な動悸がした。何かやらかしてしまっているのではないかという不安に飲まれる。
「いや...えっと......。」
あからさまに言葉を詰まらせる、亮。落ち着け。と何度も心の中で唱えた。今まで告白をしてくれて、断ってきた女の子たちもこんなに勇気を出して言ってくれてたんだ...。今なら、その気持ちが分かる。自分の立場になって、初めて分かる。
咲夜に告白をしてきている子達も同じだろう。代わりに手紙を渡してくれと、頼んでくる子は...どうなんだろう。同じなのかな...。
「今から言う事に、落ち着いて聞けよ?」
瀬津は何も焦っていないのに、念を押す。亮の鼓動は限界まで高鳴っていた。自分が一番落ち着いてくれ、と思う。心臓が口から出ていきそうだ。
「うん。」
そんな亮とは正反対で、何も意識することがないように、瀬津は平然と答える。何を言われるかなんて、考えもしていないのだろう。
「俺な...俺、瀬津のことが......ことが...好きなんだ。入学してからずっと。だから、いつも虐められてんの見るのが辛かった。でも、クラスのルールに逆らうのが怖かった。虐めに合いたくない気持ちを優先させた。ごめん。でも...それでも、好きだから。俺はお前の事が好きだから。えっと......」
つっかえながら、噛みながら、一生懸命に気持ちを伝える。全然格好良くなんてない。落ち着いて聞けと言いながら、自分自身が一番動揺し、いつもの平常さを失っていた。瀬津と目線を合わせることが難しい。無意識に、自信が無い現れなのか、目は泳ぎ、足元を見てしまう。
そんな亮とは対照的に、瀬津は身動き1つせずに亮の言葉を受け止め、固まり、頭の中で反芻し、ようやく理解出来たのか、時間をかけて口を開いた。
「あの...それ、本当?本当に私なんかを好きになってくれたの?......だって、今までいろんな人が告白したの全部断ってるよね?何で...私なの?私なんかが......」
相手になってもいいような人じゃない。そう言いかけて、亮の辛そうな顔に気が付いた。下唇を噛み、目を逸らす亮の姿にハッとした。好きだと、言ってくれているのに...その相手である自分を卑下するなんて。
でも、私なんて、到底あの多くの女の子たちの上に立ってもいいような人じゃない。他の女の子たちが手に入れられなかったものを手に入れていいとは思えない。亮の気持ちはもちろん嬉しいけど...。
親にしか好きだと、言われたことがなかった。初めての親以外の好き。つい、戸惑ってしまう。考えが全然まとまらない。
「えっと.........」
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