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第二章 本章スタート
第五話 予想外のアクシデント
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「ではカーリスさん、リーゼさんを落として来ますのでクラスから出ないようにね。」
「言われなくても動けねぇよ!」
カーリスには重量がある服を着させて、グラビティで負荷をさせた状態でスクワットをやらせていた。
終了は私が戻る迄やり続けるという物だった。
「さて、リーゼさんはどちらにいらっしゃいますかね?」
廊下を走っていると、講師達が慌ただしく走り回っていた。
クラスを見ると、生徒達は騒がずに全員座っている状態だった。
更に扉には結界魔法が施されていた。
私のアブノーマルクラスは、校舎の端の方にある位に遠い為にこの慌ただしい状況が良く解らなかった。
私は講師の1人を捕まえて事情を尋ねた。
「クレマソワル先生、随分慌ただしい様ですが…一体何があったのですか?」
「この英雄学園に賊が侵入して、現在生徒の1人を捕らえて倉庫に立て籠もっている様なのです。」
「捕まっている生徒と賊の要求は何ですか?」
「捕らわれているのは聖女のジョブを得たベルリーニ嬢で、賊の要求はまだ不明です。」
よりにもよって…私のクラスの生徒だったのか。
しかも、セキュリティが万全の英雄学園に賊が侵入して来たなんて普通はあり得る事ではない。
かなり用意周到な計画を用いられて侵入してきたと考えられるだろうけど?
私は自分のクラスに戻ってから、カーリスの修業を一時停止して事情を話した。
カーリスはすぐに準備して、私と一緒に倉庫に向かったのだった。
すると倉庫の前では、大勢の講師達が倉庫の周りを取り囲んでいたのだった。
「中の状況はどうなっていますか?」
「テルパ先生!中の様子は相変わらずですが、賊の正体が分かりました。賊の正体は…ブランソワーズ侯爵領の領民という事が判明しました。」
「領民が何故…領主の娘を人質に?不当な扱いを受けた逆恨み…とは考え難いですね。」
私とカーリスは、皆の前に出てから賊に交渉を持ち掛けてみた。
「賊の皆さん、何があったかは知りませんが…ベルリーニさんを離しては貰えませんか?」
「関係ない奴はすっこんでいろ‼」
「いえ、彼女は私の生徒でもあるので…このまま見逃してはおけないのです。何があったのか理由をお聞かせくださいませんか?」
長い沈黙が続いた後に、賊達のリーダーは語りだした。
「俺達は伯爵家の領民で、領主の娘は聖女に選ばれた。領主の関係者なら領民に親身になる筈だろう?」
私はカーリスを見ると、カーリスは黙って頷いた。
「ところがだ!この女は領民に対して親身になるどころか、臭いから近寄るなと言って来た!俺達はただ…病に苦しんでいる娘を助けて欲しくてお願いをしたのに、この女はそれを断ったんだ!」
「ベル…流石にそれは。」
「だって、そんな事当たり前ですのよ!何故わたくしが、領民とはいえたかが平民の言う事を聞かなければなりませんの?」
「領民あってこその領地だぞ。領民がいなければ、領地を治める侯爵家は廃れていくんだから…」
「だからといって、何故わたくしが自分自身の命を削って平民如きを癒さないといけませんのよ‼」
「ベルリーニさん、それが聖女に選ばれた者の使命だからですよ。」
「たかが平民じゃない!死んだって他にも居るのだから…」
「お前は黙れ‼」
賊達はベルリーニの身勝手な発言に腹を立てて暴行を加えていた。
顔は殴られ、腹を蹴られ、そして蹲るベルリーニを袋叩き状態にしていた。
そしてしばらくしてからリンチが収まると、ベルリーニは怒った声で此方に向かって叫んできた。
「先生もカーリスも何故わたくしを助けてくれないのよ!こんな奴等はさっさと皆殺しにしてわたくしを助けなさいよ‼」
「お前は何でこんな目に遭っているか分かってないのか?お前が娘の癒しを拒否した所為で、俺達の娘や子供達は命を落としたんだぞ‼」
「だから言っているでしょう、わたくしには関係のない事だって!平民の子供が何人死のうが、また新たに作ればいいじゃない‼」
ベルリーニはそう言い終わると、領民達から更に追加制裁を喰らっていた。
私とカーリスは呆れていた。
捕まっている状態にも関わらず、強気な態度と口の減らない毒舌を炸裂出来るのを。
「本当に何でこの子が聖女に選ばれたんだろう?」
「一緒にいる時はあまり気付かなかったが、ここまで口の悪い奴だとは思わなかった。領主の娘で聖女を与えられたのなら、普通は率先して行動を起こす物だろうに…。」
このまま放っておくと、また領民達が怒りを覚える様な発言をするかもしれない。
助けてあげたいが、このままだとベルリーニは領民に殺されかねない。
動きたくても動けない硬直状態が続いたのだった。
「はぁ…まぁ良い!これからこの女は始末するのだから、幾ら喚こうが好きにしろ‼」
「ちょ…ちょっと、何を言ってますの!わたくしを…聖女を殺したら貴方達はどうなるか位わかりませんの‼」
「どうせ掴まれば俺達は処罰されるだけだ!なら、一矢報いてやる位の事はさせてもらうぞ‼」
賊のリーダーの男は、懐から黒い水晶の球を取り出した。
その水晶からは、禍々しいオーラを放っていた。
「まさかアレは…魔魂吸の黒水晶⁉」
「先生、あれが何なのか知っているのか⁉」
「あれは本来、悪魔が人間の魂を肉体を傷付ける事なく魂を抜き取る魔道呪具なんです。人間界には存在しない物の筈だったのですが…」
私の言葉を聞いて、ベルリーニは青い顔をして黒水晶を見つめていた。
領民達が怒って行動するには何か裏があるとは思っていたけど、まさかあんな物を用意しているとは思わなかった。
「待ちなさい!その黒水晶は悪魔が使う魔道呪具よ!人間が使ったら、対象者だけではなく貴方達の命も吸われるのよ‼」
「あぁ、知っているさ!この女を…聖女を名乗る偽聖女を始末出来るのなら、俺達の命は惜しくはない!」
「やめて!先生、わたくしを助けてよ‼」
「偽聖女、やっと自分が置かれた状況を理解したようだな!俺達の娘が死ぬ前に何て言ったか教えてやるよ。まだ死にたくないと涙を流していたんだよ‼」
「そうだ!そして子供達が助からず、妻も衰弱して行って死んだんだよ!偽聖女のお前が俺達の子供を救ってくれていたら、俺達はこんな騒ぎは起こさなかったさ!」
「それなら、わたくしは謝罪致しますわ!だからお願い、助けて下さいまし‼」
「お前の謝罪で子供達は生き返るのか?妻が生き返るのか⁉自分の立場が危うくなったからって態度を変えた所で…」
賊のリーダーは、ベルリーニの胸元に黒水晶を押し当てた。
「先生、ベルを助ける事は出来ないか?」
「あの男が発動の言葉を唱える前に止まられればあるいは…」
「あばよ偽聖女!これから暗い闇の中で永遠に彷徨って行くんだな!ヴァルディサンテ‼」
賊のリーダーが呪文を発すると、黒水晶が光りだして周囲の者達から魂を吸い出して球に吸われて行った。
そして最悪な事に黒水晶の力は強力で、こちらの方まで禍々しいオーラが伸びて来た。
「極光障壁‼」
テルパは、光魔法の強力な結界を講師達の前に展開した。
そしてしばらく待っていると、黒水晶からあふれ出たオーラが収束されて行った。
それと同時に黒い影が突然現れたのだった。
『フッフッフ…あの人間達も役に立ってくれたな!これでこの大陸から聖女が生まれる事はもう無いだろう‼』
「ちくしょう!ベルをよくも‼」
「カーリス辞めなさい‼あれは魔族よ、貴女では相手にならないわ!今は堪えて‼」
「先生でも無理なのか?」
「ただの魔族なら…でもあれは上級魔族よ。私でも…」
しばらくすると魔族は黒水晶を拾ってから姿を消した。
そして極光障壁を解除すると、カーリスはベルリーニの元に駆け寄ってから、倒れていたベルリーニを抱き上げた。
「ベル…」
「ベルリーニさん、救えなくてごめんなさ…ん?」
私はベルリーニの胸元に耳を当てると、ベルリーニの鼓動は動いていた。
黒水晶は使用した者の命を奪う呪具の筈?
現に賊達は全て命を失っていた。
だから普通に考えて、ベルリーニが生きている筈はない…のだが?
「生きている事には驚きです。聖女の力が呪具の効果を跳ね返したのでしょうか?」
「例えそうであっても、ベルが生きているのなら別に良いさ‼」
他の講師達が賊達の遺体を運んで行った。
私はベルリーニに回復魔法を施すと、ベルリーニは目を覚ました…のだけど?
「私は助かったのですね。他の方達はどうなりましたの?」
「ベルリーニさん以外の者達は全て息絶えました。」
「それは…せめて私に出来る事として祈りを捧げますわ!」
ベルリーニは運ばれて行く遺体に向かって祈りをささげた。
遺体には天からの光が差して、遺体の死に顔が穏やかな表情をしていた。
「私は彼等にとんでも無い事をしてしまいました。既に失った命に対して出来る事といえば祈るだけしか出来ませんが、私は必死に祈りを捧げたいと思います。」
「お…おい、お前は本当にベルか⁉」
カーリスは恐る恐るベルリーニに尋ねた。
確かに今迄の言動を考えると、ベルリーニの発言は異質なモノを感じていた。
「はい、私はベルリーニ・ディル・ブランソワーズですわ。」
「とりあえず、生きていて良かったです。」
「今日はこれから領民達の家に向かって謝罪と懺悔を伝えて来ます。明日からはテルパ先生、ご指導やご鞭撻のほどを宜しくお願い致します。」
ベルリーニはそういうと、その場を去って行った。
「先生…これは一体どういう事だ?あの黒水晶から確かにベルの魂が抜かれて行ったのを見た筈なのに。」
「う~ん?確か黒水晶の呪具は、悪魔が好きそうな悪しき心や邪な心を持つ者の魂を吸い取る呪具の筈だったのですが…私もハッキリした事は分かりませんが、もしかするとベルリーニさんの邪悪な部分だけが吸われて行ったのかと。」
「だからいつものベルとは違い、何か気持ち悪い位に素直なベルになっていたのか!」
ベルリーニが生きているから、結果オーライ…なんだけど、何か釈然としない終わり方になりましたね。
とりあえず、明日になったら性格が元に戻るとか?
だが、翌日クラスに来たベルリーニは、昨日の通りのベルリーニだった。
これでクラスには2人になったのだけど、当初の予定と少し狂いましたね。
今日こそは、リーザを攻略してみましょうか!
面白ければ感想をお待ちしております!
コメント数が少なくて焦ってしまって…(⌒-⌒; )
「言われなくても動けねぇよ!」
カーリスには重量がある服を着させて、グラビティで負荷をさせた状態でスクワットをやらせていた。
終了は私が戻る迄やり続けるという物だった。
「さて、リーゼさんはどちらにいらっしゃいますかね?」
廊下を走っていると、講師達が慌ただしく走り回っていた。
クラスを見ると、生徒達は騒がずに全員座っている状態だった。
更に扉には結界魔法が施されていた。
私のアブノーマルクラスは、校舎の端の方にある位に遠い為にこの慌ただしい状況が良く解らなかった。
私は講師の1人を捕まえて事情を尋ねた。
「クレマソワル先生、随分慌ただしい様ですが…一体何があったのですか?」
「この英雄学園に賊が侵入して、現在生徒の1人を捕らえて倉庫に立て籠もっている様なのです。」
「捕まっている生徒と賊の要求は何ですか?」
「捕らわれているのは聖女のジョブを得たベルリーニ嬢で、賊の要求はまだ不明です。」
よりにもよって…私のクラスの生徒だったのか。
しかも、セキュリティが万全の英雄学園に賊が侵入して来たなんて普通はあり得る事ではない。
かなり用意周到な計画を用いられて侵入してきたと考えられるだろうけど?
私は自分のクラスに戻ってから、カーリスの修業を一時停止して事情を話した。
カーリスはすぐに準備して、私と一緒に倉庫に向かったのだった。
すると倉庫の前では、大勢の講師達が倉庫の周りを取り囲んでいたのだった。
「中の状況はどうなっていますか?」
「テルパ先生!中の様子は相変わらずですが、賊の正体が分かりました。賊の正体は…ブランソワーズ侯爵領の領民という事が判明しました。」
「領民が何故…領主の娘を人質に?不当な扱いを受けた逆恨み…とは考え難いですね。」
私とカーリスは、皆の前に出てから賊に交渉を持ち掛けてみた。
「賊の皆さん、何があったかは知りませんが…ベルリーニさんを離しては貰えませんか?」
「関係ない奴はすっこんでいろ‼」
「いえ、彼女は私の生徒でもあるので…このまま見逃してはおけないのです。何があったのか理由をお聞かせくださいませんか?」
長い沈黙が続いた後に、賊達のリーダーは語りだした。
「俺達は伯爵家の領民で、領主の娘は聖女に選ばれた。領主の関係者なら領民に親身になる筈だろう?」
私はカーリスを見ると、カーリスは黙って頷いた。
「ところがだ!この女は領民に対して親身になるどころか、臭いから近寄るなと言って来た!俺達はただ…病に苦しんでいる娘を助けて欲しくてお願いをしたのに、この女はそれを断ったんだ!」
「ベル…流石にそれは。」
「だって、そんな事当たり前ですのよ!何故わたくしが、領民とはいえたかが平民の言う事を聞かなければなりませんの?」
「領民あってこその領地だぞ。領民がいなければ、領地を治める侯爵家は廃れていくんだから…」
「だからといって、何故わたくしが自分自身の命を削って平民如きを癒さないといけませんのよ‼」
「ベルリーニさん、それが聖女に選ばれた者の使命だからですよ。」
「たかが平民じゃない!死んだって他にも居るのだから…」
「お前は黙れ‼」
賊達はベルリーニの身勝手な発言に腹を立てて暴行を加えていた。
顔は殴られ、腹を蹴られ、そして蹲るベルリーニを袋叩き状態にしていた。
そしてしばらくしてからリンチが収まると、ベルリーニは怒った声で此方に向かって叫んできた。
「先生もカーリスも何故わたくしを助けてくれないのよ!こんな奴等はさっさと皆殺しにしてわたくしを助けなさいよ‼」
「お前は何でこんな目に遭っているか分かってないのか?お前が娘の癒しを拒否した所為で、俺達の娘や子供達は命を落としたんだぞ‼」
「だから言っているでしょう、わたくしには関係のない事だって!平民の子供が何人死のうが、また新たに作ればいいじゃない‼」
ベルリーニはそう言い終わると、領民達から更に追加制裁を喰らっていた。
私とカーリスは呆れていた。
捕まっている状態にも関わらず、強気な態度と口の減らない毒舌を炸裂出来るのを。
「本当に何でこの子が聖女に選ばれたんだろう?」
「一緒にいる時はあまり気付かなかったが、ここまで口の悪い奴だとは思わなかった。領主の娘で聖女を与えられたのなら、普通は率先して行動を起こす物だろうに…。」
このまま放っておくと、また領民達が怒りを覚える様な発言をするかもしれない。
助けてあげたいが、このままだとベルリーニは領民に殺されかねない。
動きたくても動けない硬直状態が続いたのだった。
「はぁ…まぁ良い!これからこの女は始末するのだから、幾ら喚こうが好きにしろ‼」
「ちょ…ちょっと、何を言ってますの!わたくしを…聖女を殺したら貴方達はどうなるか位わかりませんの‼」
「どうせ掴まれば俺達は処罰されるだけだ!なら、一矢報いてやる位の事はさせてもらうぞ‼」
賊のリーダーの男は、懐から黒い水晶の球を取り出した。
その水晶からは、禍々しいオーラを放っていた。
「まさかアレは…魔魂吸の黒水晶⁉」
「先生、あれが何なのか知っているのか⁉」
「あれは本来、悪魔が人間の魂を肉体を傷付ける事なく魂を抜き取る魔道呪具なんです。人間界には存在しない物の筈だったのですが…」
私の言葉を聞いて、ベルリーニは青い顔をして黒水晶を見つめていた。
領民達が怒って行動するには何か裏があるとは思っていたけど、まさかあんな物を用意しているとは思わなかった。
「待ちなさい!その黒水晶は悪魔が使う魔道呪具よ!人間が使ったら、対象者だけではなく貴方達の命も吸われるのよ‼」
「あぁ、知っているさ!この女を…聖女を名乗る偽聖女を始末出来るのなら、俺達の命は惜しくはない!」
「やめて!先生、わたくしを助けてよ‼」
「偽聖女、やっと自分が置かれた状況を理解したようだな!俺達の娘が死ぬ前に何て言ったか教えてやるよ。まだ死にたくないと涙を流していたんだよ‼」
「そうだ!そして子供達が助からず、妻も衰弱して行って死んだんだよ!偽聖女のお前が俺達の子供を救ってくれていたら、俺達はこんな騒ぎは起こさなかったさ!」
「それなら、わたくしは謝罪致しますわ!だからお願い、助けて下さいまし‼」
「お前の謝罪で子供達は生き返るのか?妻が生き返るのか⁉自分の立場が危うくなったからって態度を変えた所で…」
賊のリーダーは、ベルリーニの胸元に黒水晶を押し当てた。
「先生、ベルを助ける事は出来ないか?」
「あの男が発動の言葉を唱える前に止まられればあるいは…」
「あばよ偽聖女!これから暗い闇の中で永遠に彷徨って行くんだな!ヴァルディサンテ‼」
賊のリーダーが呪文を発すると、黒水晶が光りだして周囲の者達から魂を吸い出して球に吸われて行った。
そして最悪な事に黒水晶の力は強力で、こちらの方まで禍々しいオーラが伸びて来た。
「極光障壁‼」
テルパは、光魔法の強力な結界を講師達の前に展開した。
そしてしばらく待っていると、黒水晶からあふれ出たオーラが収束されて行った。
それと同時に黒い影が突然現れたのだった。
『フッフッフ…あの人間達も役に立ってくれたな!これでこの大陸から聖女が生まれる事はもう無いだろう‼』
「ちくしょう!ベルをよくも‼」
「カーリス辞めなさい‼あれは魔族よ、貴女では相手にならないわ!今は堪えて‼」
「先生でも無理なのか?」
「ただの魔族なら…でもあれは上級魔族よ。私でも…」
しばらくすると魔族は黒水晶を拾ってから姿を消した。
そして極光障壁を解除すると、カーリスはベルリーニの元に駆け寄ってから、倒れていたベルリーニを抱き上げた。
「ベル…」
「ベルリーニさん、救えなくてごめんなさ…ん?」
私はベルリーニの胸元に耳を当てると、ベルリーニの鼓動は動いていた。
黒水晶は使用した者の命を奪う呪具の筈?
現に賊達は全て命を失っていた。
だから普通に考えて、ベルリーニが生きている筈はない…のだが?
「生きている事には驚きです。聖女の力が呪具の効果を跳ね返したのでしょうか?」
「例えそうであっても、ベルが生きているのなら別に良いさ‼」
他の講師達が賊達の遺体を運んで行った。
私はベルリーニに回復魔法を施すと、ベルリーニは目を覚ました…のだけど?
「私は助かったのですね。他の方達はどうなりましたの?」
「ベルリーニさん以外の者達は全て息絶えました。」
「それは…せめて私に出来る事として祈りを捧げますわ!」
ベルリーニは運ばれて行く遺体に向かって祈りをささげた。
遺体には天からの光が差して、遺体の死に顔が穏やかな表情をしていた。
「私は彼等にとんでも無い事をしてしまいました。既に失った命に対して出来る事といえば祈るだけしか出来ませんが、私は必死に祈りを捧げたいと思います。」
「お…おい、お前は本当にベルか⁉」
カーリスは恐る恐るベルリーニに尋ねた。
確かに今迄の言動を考えると、ベルリーニの発言は異質なモノを感じていた。
「はい、私はベルリーニ・ディル・ブランソワーズですわ。」
「とりあえず、生きていて良かったです。」
「今日はこれから領民達の家に向かって謝罪と懺悔を伝えて来ます。明日からはテルパ先生、ご指導やご鞭撻のほどを宜しくお願い致します。」
ベルリーニはそういうと、その場を去って行った。
「先生…これは一体どういう事だ?あの黒水晶から確かにベルの魂が抜かれて行ったのを見た筈なのに。」
「う~ん?確か黒水晶の呪具は、悪魔が好きそうな悪しき心や邪な心を持つ者の魂を吸い取る呪具の筈だったのですが…私もハッキリした事は分かりませんが、もしかするとベルリーニさんの邪悪な部分だけが吸われて行ったのかと。」
「だからいつものベルとは違い、何か気持ち悪い位に素直なベルになっていたのか!」
ベルリーニが生きているから、結果オーライ…なんだけど、何か釈然としない終わり方になりましたね。
とりあえず、明日になったら性格が元に戻るとか?
だが、翌日クラスに来たベルリーニは、昨日の通りのベルリーニだった。
これでクラスには2人になったのだけど、当初の予定と少し狂いましたね。
今日こそは、リーザを攻略してみましょうか!
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