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聖女メローナと勇者カースの章
第八話 条件…
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「俺は…勇者に戻りたいんだ!」
「そうですねぇ…一度知った甘い汁を味わった人は何が何でも返り咲きたいと思うのでしょうから。」
「だから、メローナに戻って来て…」
「何度も申し上げましたが、私は戻る気はもうありませんので、他の聖女を探して下さい。 とはいっても、貴方の悪名がここまで広がった状態では、他の聖女もパーティーに参加する事は無いとは思いますが。」
「そうだ、何人もの聖女に声を掛けたが…全て無視された。」
「だからってかつての仲間だった私に声を掛けた訳ですか? 貴方にはビーシャという治癒術士の方がいらっしゃったのではないのですか?」
「あいつはパーティーから去って行った。」
やっぱり口ばっかで見切りをつけたのでしょうね。
まぁビーシャも、悪名が結構広がっていますから…再びパーティーを探しても入れる所は、ありますね。
あの闇ギルドみたいな、人を人とは思わない扱いをする場所が…ある意味カースと良く似ていますね。
「お前はさっき…ソロでやるとか言っていなかったか? ただの聖女がソロでやっていたらすぐに死ぬぞ!」
「仮に私が命を落としても貴方には関係のない事です。 私の実力不足だった…それでよいではありませんか?」
「パーティーなら死亡率が減るぞ! だから俺達のパーティーに…」
「今迄は散々我慢して来ましたが、正直言って貴方達の様に身勝手に動くパーティーに付き合うつもりはありませんよ。」
「何だと⁉ 今迄お前は俺達のパーティーにいる事により経験値を得ていたではないか!」
「はぁ? 何を言っているんですか、貴方は? 私の制止も聞かずに勝手に魔物に突っ込んだり、指示を無視して魔法をぶっ放してパーティーを危険に晒したりしたのにですか? 言っておきますけど、聖女の仕事が回復や補助魔法だけだと思っていませんか?」
「はぁ? それしかやってないだろ!」
「その程度の認識だから貴方のパーティーには戻らないと言っているのです。 聖女の役割は回復や補助魔法の他に、魔物の生態や旅に必要な薬学や毒の知識、更には周囲に的確に対処出来る判断力が求められます。 貴方達がそれを1つでも行ってくれましたか?」
「ぐ…!」
さすがにここまで悟らせれば、馬鹿でも解るでしょう。
あ、カースはその馬鹿よりも上に行く人でしたね?
「だが…俺にはお前がどうしても必要なんだ!」
「それは勇者認定とホームという活動拠点を手に入れる為ですよね? 勇者認定をされれば、そのパーティーには国から補助金が出ますし、ホームが手に入れば宿に泊まる手間が省けますからね。」
「そ…そ…それだけではない! メローナの存在が…」
言葉に詰まっている所を見ると、図星を刺されてこれ以上に物が言えないのですね。
では、普通の冒険者なら当然知っているアレを課題としてやってあげましょうか。
「どうしても私が必要で、私に戻って来て欲しいのですね?」
「あぁ、さっきからそう言っているだろ!」
「なら条件があります。 上級者の洞窟の第一層に現れるマイマイスライムの角を10個持って来て下さい。 それを交換に貴方のパーティーに復帰してあげましょう。」
「あの上級者の洞窟に何故か現れるあのクソ弱いアイツか! そんなんだったら楽勝だぜ!」
カースはそう言うと、ズークとアーズレバを連れて上級者の洞窟に向かって行った。
あぁ…カースはやっぱり忘れているんですね。
マイマイスライムのいる所、バジリスクが待機している…これ、ある程度の冒険者なら常識なんですけどね?
マイマイスライムはバジリスクと共存関係を保っている。
マイマイスライムの角は、上級ポーションやエリクサーの材料として重宝されているので、それを目当てに狩る冒険者が多いのだけど、その冒険者を目当てにバジリスクが待機している事は初心者にはあまり知られていない。
金に目が眩んだ者や、知識のない者は餌にされる訳なんだけど?
「初心者の洞窟でフロアボスまで辿り着けずにその上の階層で全滅する様なあの3人に、マイマイスライムは…。 まぁ、これで私は誘われる事は無いわね。」
私はこうして…王都を目指す為に乗合馬車に乗り込んだ。
「そうですねぇ…一度知った甘い汁を味わった人は何が何でも返り咲きたいと思うのでしょうから。」
「だから、メローナに戻って来て…」
「何度も申し上げましたが、私は戻る気はもうありませんので、他の聖女を探して下さい。 とはいっても、貴方の悪名がここまで広がった状態では、他の聖女もパーティーに参加する事は無いとは思いますが。」
「そうだ、何人もの聖女に声を掛けたが…全て無視された。」
「だからってかつての仲間だった私に声を掛けた訳ですか? 貴方にはビーシャという治癒術士の方がいらっしゃったのではないのですか?」
「あいつはパーティーから去って行った。」
やっぱり口ばっかで見切りをつけたのでしょうね。
まぁビーシャも、悪名が結構広がっていますから…再びパーティーを探しても入れる所は、ありますね。
あの闇ギルドみたいな、人を人とは思わない扱いをする場所が…ある意味カースと良く似ていますね。
「お前はさっき…ソロでやるとか言っていなかったか? ただの聖女がソロでやっていたらすぐに死ぬぞ!」
「仮に私が命を落としても貴方には関係のない事です。 私の実力不足だった…それでよいではありませんか?」
「パーティーなら死亡率が減るぞ! だから俺達のパーティーに…」
「今迄は散々我慢して来ましたが、正直言って貴方達の様に身勝手に動くパーティーに付き合うつもりはありませんよ。」
「何だと⁉ 今迄お前は俺達のパーティーにいる事により経験値を得ていたではないか!」
「はぁ? 何を言っているんですか、貴方は? 私の制止も聞かずに勝手に魔物に突っ込んだり、指示を無視して魔法をぶっ放してパーティーを危険に晒したりしたのにですか? 言っておきますけど、聖女の仕事が回復や補助魔法だけだと思っていませんか?」
「はぁ? それしかやってないだろ!」
「その程度の認識だから貴方のパーティーには戻らないと言っているのです。 聖女の役割は回復や補助魔法の他に、魔物の生態や旅に必要な薬学や毒の知識、更には周囲に的確に対処出来る判断力が求められます。 貴方達がそれを1つでも行ってくれましたか?」
「ぐ…!」
さすがにここまで悟らせれば、馬鹿でも解るでしょう。
あ、カースはその馬鹿よりも上に行く人でしたね?
「だが…俺にはお前がどうしても必要なんだ!」
「それは勇者認定とホームという活動拠点を手に入れる為ですよね? 勇者認定をされれば、そのパーティーには国から補助金が出ますし、ホームが手に入れば宿に泊まる手間が省けますからね。」
「そ…そ…それだけではない! メローナの存在が…」
言葉に詰まっている所を見ると、図星を刺されてこれ以上に物が言えないのですね。
では、普通の冒険者なら当然知っているアレを課題としてやってあげましょうか。
「どうしても私が必要で、私に戻って来て欲しいのですね?」
「あぁ、さっきからそう言っているだろ!」
「なら条件があります。 上級者の洞窟の第一層に現れるマイマイスライムの角を10個持って来て下さい。 それを交換に貴方のパーティーに復帰してあげましょう。」
「あの上級者の洞窟に何故か現れるあのクソ弱いアイツか! そんなんだったら楽勝だぜ!」
カースはそう言うと、ズークとアーズレバを連れて上級者の洞窟に向かって行った。
あぁ…カースはやっぱり忘れているんですね。
マイマイスライムのいる所、バジリスクが待機している…これ、ある程度の冒険者なら常識なんですけどね?
マイマイスライムはバジリスクと共存関係を保っている。
マイマイスライムの角は、上級ポーションやエリクサーの材料として重宝されているので、それを目当てに狩る冒険者が多いのだけど、その冒険者を目当てにバジリスクが待機している事は初心者にはあまり知られていない。
金に目が眩んだ者や、知識のない者は餌にされる訳なんだけど?
「初心者の洞窟でフロアボスまで辿り着けずにその上の階層で全滅する様なあの3人に、マイマイスライムは…。 まぁ、これで私は誘われる事は無いわね。」
私はこうして…王都を目指す為に乗合馬車に乗り込んだ。
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