【不定期】自意識過剰の勘違い勇者は、今日も聖女に縋りつく!

アノマロカリス

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クズ聖女とゲス勇者の章

閑話 モブ娘たちの努力

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 私の名前はエーファ、年齢は17歳でカミュ様と同じ年。
 今日もカミュ様に美味しい料理を届ける為に頑張ります!

 朝4時…
 私はベッドから起きてから身支度を整えると、畑に行って作物を収穫する事から始めます。
 家族にはその日1日分の料理を鍋で作り置きし、もう1つの鍋にはカミュ様への料理を用意致します。
 他の2人に比べて私のは肉が入っていませんが、栄養を補える豆料理が得意なのでそれをお作りして持って行きます。
 味付けは岩塩のみですが、長くじっくりと煮込む事により、野菜の甘みと岩塩の塩が馴染んで丁度良い味付けに変化します。

 「お肉が入っていないから、高級感はあまりない田舎の素朴な料理なのよね。」

 完成した料理をいつも通り、カミュ様にお持ち致します。
 カミュ様はいつもお仰います。

 「今日も美味しそうだな。肉が入っていないが、この味付けや肉に変わる食材で栄養面を心配してくれてありがとう!」

 私はカミュ様の眩しい笑顔にくらくらしています。
 カミュ様は他の子達の料理も一緒に持って行きます。
 味の比較をされるかもしれませんが、私のはきっと大丈夫!
 他の2人よりはマシなはずよ!

 いつも前向きなエーファだった。

 ~~~~~~~~~~~~

 私の名前はビーナ、年齢は16歳で猟師の娘。
 父が猟師をしていて、毎日多くの魔物を狩って来るので、今日もカミュ君の為に料理を作ります。
 
 「若い物は肉が大好きなんだよ!」
 
 父の言葉を信じて、私の料理は肉中心のメニューです。
 とは言っても、ステーキばかりではただの肉焼きなので、料理とは呼べません。
 私は毎日思考を凝らして、食べやすい肉料理を開発して行きました。
 まず、魔物の骨で旨味を引き出してから、その後に肉と少量のニンニクや野菜を入れて煮込んで行きます。
 野菜を入れる事により、肉の臭みを消してくれます。
 そして煮込んだ事により、溶けた野菜を取り除いてから、肉のみのシチューを持っていきます。

 「今日も悪いな…おっと、俺の好きな肉料理か!」
 「味は薄めにしてあるよ。」
 「いつも悪いな、俺の為に…」

 カミュ君の爽やかなイケメンフェイスに、私の鼓動は高鳴ります。
 カミュ君は他の子達の料理を受け取ると、一緒に持って帰りますが…選ばれるのは私の料理の筈です!
 さて、明日もカミュ君の為に料理を作らなきゃ!

 ~~~~~~~~~~~~

 私はシータ、年齢は15歳で三人娘の中で割と裕福な家庭です。
 裕福とは言っても、所詮は田舎の家で貴族には到底及びません。
 そんな私の得意とする物は料理で、家には商人から仕入れた様々な調味料があります。
 今日も、カミュ君の為に料理を作りますわ!

 私の用意する料理は、肉と野菜のスープとパンです。
 肉は湯煎して油気を取り除いてから、塩と調味料で味を調えて…
 野菜は煮込む事により野菜の甘みを引き出してから、仕上げ前に肉を入れてから一煮立ちさせる。
 パンは作る過程で少し置いてからふっくらさせたものを焼いて仕上げるという…王都の街で作るやり方をそのまま実行しています。
 そして完成させた料理をカミュ様に持って行くと?

 「シータの料理はいつも美味しそうだね。僕はシータの料理が一番好きだな。」

 勿論カミュ様がそうおっしゃるときは、あの2人がいない時です。
 そうは言ってもカミュ様は、社交辞令で2人の料理を貰ってからちゃんと持ち帰ります。
 ですが、カミュ様の私の料理が一番と言ったあの笑顔は嘘ではありません。
 エーファやビーナには悪いですが、カミュ様の心は私が戴ですわ!

 ~~~~~~~~~~~~

 帰路につくカミュは、家に入る前に貰った料理を開けてみた。

 「エーファは相変わらず野菜だけの料理かよ…俺は動物じゃねーんだぞ!」

 そう言ってエーファの料理を豚の皿に入れてから「餌だ喰え!」と言って器に入れた。

 「ビーナも相変わらず肉料理だが、油でギドギドじゃねぇか!俺を太らせる気かよ、冗談じゃねぇぜ!」

 そう言って豚の皿に餌の追加としてビーナの肉料理を追加した。

 「一番まともだと言えるのはシータ位だが…味付けはイマイチだし、調味料の使い方がなってねぇな!それにパンも中身がスカスカでパサパサだしよ。これならまだ自分で作った方がマシだな。」

 カミュは豚の皿にシータの料理を追加してやった。
 豚は喜んでがっついていた。
 
 「俺様に喰わせたいと思うなら、もっとまともな物を作って来いよ!こんな豚が喜んで喰う様な物を俺に喰わせようとするんじゃねぇよ!」

 カミュは思った。
 やはり、俺のイケメンを生かせるのは王都の貴族令嬢くらいだと。
 そして…貴族令嬢と結婚をしてから楽に人生を生きて、毎日美味い物を喰いながら豪遊するのがカミュの目標だった。

 「この村にいる間は、あの女共でも少しは役に立つんだし、次は金でもせびってみるかね?」

 カミュは豚の家畜五世を見て微笑んだ。
 豚の名前は、家畜五世…四世までは既に出荷されていた。
 丸々太れたのは、モブ娘達のお陰なのだが…カミュはその事には一切感謝などしていなかった。
 そう…彼女達の努力は全くの無駄に終わっていた。
 いや、今迄の家畜を出荷出来た訳だから全くの無駄という訳ではないか。

 カミュは外面はイケメンだが、中身は最低なゲスだった。
 果たして…この回の最終回を迎えるまでに、お気に入り登録人数はどれくらい減るのだろうか?
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