幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する！

第三章

第二話 最大級の警鐘（まぁ、魔王軍が攻めて来るとなれば…？）

　魔王サズンデスが世界に宣戦布告の放送を終えてからすぐに、冒険者ギルドから警鐘が鳴らされた。
　これは王国が絡む緊急クエストの際に鳴らされるので、普段はあまり鳴らないという話なのだが…？
　流石に魔王サズンデスから宣戦布告の放送時に、サーディリアン聖王国を侵攻するなんて言っていれば当然こうなる。
　僕とレイリアとクリアベールは、急いで身支度をしてから冒険者ギルドに向かった。
　ただ、その道の途中に…街にいる人達が大慌てで店じまいや、何処かに避難をしようと慌てていた。
　僕達は冒険者ギルドに到着すると、建物内はごった返していた、なかなか中に入れないといった状況だった。

　「参ったなぁ、これじゃあ中に入れないぞ？」
　「お兄ちゃん、こういう時こそ…Sランクが物を言うわよ。」
　「そうですね、高ランクは下のランクに命令する事が出来ますから。」

　Sランクにそんな使い方があったのか…？
　名称とランクと貴族位が手に入るくらいしか意味の無い物だと思っていた。
　元々この世界の住人なら、それは当たり前の事なのだろうけど、僕は元々この世界の人間ではない為に、そういった知識は乏しかった。
　僕はギルドカードを提示しながら道を開けて貰うと、受け付けのカウンターに行く事が出来た。
　するとそこには、数人の受付嬢とギルド職員以外に、ギルドマスターもいた。
　ギルドマスターのヴォルガンと目が合うと、僕に向かって声を掛けて来た。
　
　「待っていたぞダン殿、先程の放送は聞いたよな？」
　「はい、それでこちらに来たのですが…」
　
　ヴォルガンは深い溜息を吐いた。
　しかし、受付の方では騒がしく騒いでいる者達が言った。

　「ギルマス、そんな奴の事よりも…さっさと勇者を探した方が良いのではないですか‼」
　「そうですよ、勇者様がサーディリアン聖王国にいるのですよね⁉」

　僕とヴォルガンは顔を見合わせた。
　ヴォルガンは僕の素性を知っているので、アイコンタクトで語り掛けて来たので僕も頷いた。　
　ヴォルガンはまたも溜息を吐くと、受け付けに備わっている拡声器をもって皆に聞こえる様に話しかけた。

　『皆に言っておくが、魔王サズンデスの言っている勇者とは…恐らく此処に居るダン殿の事だ。　数週間前にテレシア王国のアルカディア第二王女様より、異世界から魔王を討伐する為に救世主召喚をして、その勇者達が魔王討伐の為に城から旅立ったという話は耳にしたと思う。』
　「その話は聞いたが、何でこいつが勇者なんだよ⁉」
　「そうよ、何処にそんな確証があるの⁉」
　『こちらにいるS冒険者のダン・スーガーは、救世主召喚で異世界よりやって来た…勇者様を含めた計五人の1人だ！　こんな事が起きさえしなければSランク冒険者のダン・スーガー殿は、城でSSランクを手にする筈だったのだ‼』

　ヴォルガンがそう発言すると、ギルド内にいた冒険者達は一斉に黙って僕を見た。
　この事は…レイリアもクリアベールも知らなかったみたいで、驚いた表情をしていた。
　まぁ、この2人には話した事は無いしね。

　「しかしギルマス、勇者様達と同じ世界から来たからとは言っても…SSランクを与えられるのはおかしいのではないのですか？」
　『それが、邪神ルキシフェルを単騎討伐したとしてもか？』
　「「「「「「「「「邪神ルキシフェル⁉」」」」」」」」」

　この世界の住人達は、伝説や伝承…昔話等で子供の頃から聞かされて育っている。
　邪神ルキシフェルは、元はこの世界では遊戯の神だった。
　その当時は大して娯楽が無くて、遊戯の神としては不満な毎日を送っていたのだが？
　ルキシフェルは何を思ったのか、魔界から魔族や魔獣をこの世界に解き放って、人々と戦わせるという事をしでかしたのだ。
　その戦いは数十年にも及び、人間側が常に劣勢だった。
　そこで残った人々達は、渾身の思いで救世主召喚を行って異世界人を呼び出した。
　その異世界人と共にルキシフェルの野望を打ち砕き、平和が訪れたのだった。　
　だが、遊戯の神だったルキシフェルの罰は、とても許されるものでは無かった。
　神々達はルキシフェルから肉体を奪って魂だけの存在になった。
　そして後に人々からは、ルキシフェルは邪神として忌み嫌われる存在になったという。

　…でも、話はこれで終わりでは無かった。
　悠久の時を魂だけの存在になった邪神ルキシフェルは、神々の復讐を忘れてはいなかった。
　そしてどんな方法を使ったのかは分からないが、100年前に現魔王サズンデスの先代の魔王をこの世界に呼び、再び人類に対して恐怖を振りまいた。
　その際にも救世主召喚は行われて、見事魔王を討伐したという話だった。
　過去の伝説や伝承でなら問題は無かったのだが、100年前に再び邪神ルキシフェルが出現した事によって災いをまき散らした当事者なので、人々の記憶的にはまだ新しい方だった。

　「なぁ、アンタ…本当に邪神ルキシフェルを倒したのか？」
　「倒したというか、消滅させたのは確かだ。　その証拠に…ギルドカードの討伐証明リストに邪神ルキシフェルの討伐記録が記載されている。」
　「なるほど、異世界人だからSSランクを手に入るのではなくて、ちゃんとした明確な理由があったわけか！」
　「納得だ！」
　
　先程まで騒いでいた冒険者達も、納得したかのように頷いていた。

　「ところでヴォルガン、魔王サズンデスは宣戦布告の際にサーディリアン聖王国に侵攻すると話していたが…それはいつの事だ？」
　「む？」
　「いやぁ、態々世界に向けて宣戦布告をした奴がだ…日にちも決めずにいきなり侵攻して来るとは思えないのだが？」
　「言われてみたら、その辺の話は全くしていなかったな？」

　すると、我々の話を聞いていたかのように…再び魔王サズンデスから放送が入り、侵攻は1週間後と話していた。
　侵攻は今すぐの話ではない…この話を聞いた冒険者達は安堵の溜め息を吐いていた。

　「決戦は1週間後か…」
　「ダン殿、勝つ事は出来るのだろうか…？」
　「勝てるかどうかは分からないけど、それに向けての準備としては十分だね！」

　さて、ダンは一体…魔王の侵攻に対してどう立ち向かうのか？