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バックれ計画の章

第四十話

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 私がこれから起こす行動は…演技による物だった。

 あまりやり過ぎてはいけない。

 あざと過ぎて可愛さを振り撒き過ぎてもいけない。

 私の取る行動とは、アルファとオメガには「お兄ちゃん」と呼び、シーダとディーナには「お姉ちゃん」呼びをする事だった。

 最初の段階からこれを行うと、神殿騎士達に馴れ馴れしくなると思っていつ実行するかのタイミングを計っていた。

 初めの内は戸惑う事があるだろうが、徐々に慣らして行けば信用度と親密度と信頼度の3つが同時に手に入るだろう。

 全てはバックレ計画をスムーズに実行する為に必要な事だった。

 …と思っていたのだけれど、神殿騎士達の4人は中々手強かった。

 何が手強いかというと…この4人は笑った顔どころか表情が変化した所を一度も見た事が無く、常に平静を装った無表情だったからだ。

 感情を表に出せば浸け込まれると教わったのだろうか?

 なのでお兄ちゃん呼びやお姉ちゃん呼びは、初めの頃は意味がない空振りかと思われた。

 所が商業都市グランリーザに到着してから1回目のチャンスが到来した。

 大きな街には必ず神殿が存在する。

 私達はその街にいる間は神殿を拠点として行動をする…のだけど、観光というわけでは無いが街の店などで旅の必需品の食料や雑貨などを購入する為だった。

 …とはいえ、到着した早々に行動を起こす訳ではなくその日は旅の疲れを取る為に神殿内でゆっくりと静養する事になった。

 私には個室を与えられたのだが、部屋の前には言うまでもなく見張りでこの街の神殿騎士が警備していたのだった。

 だけど部屋の中は1人なので色々と模索するのにはちょうど良かった。

 私は久々にテルミガンを召喚して話をする事にした。

 旅の移動中にテルミガンを召喚しなかったのには、存在を神殿騎士達に明かしたく無かったからだった。

 「マスター、計画の方は順調ですか?」

 「それがねぇ…私がバックれる計画がバレている様な気がするのよ。何かしら先手を打たれていたりしてね…」

 「ではどうするおつもりですか?」

 「コソコソと姑息な手を使って隙を見てバックれるという計画は一時保留にして、神殿騎士達を信用や信頼させる事に専念しようかと思っているの。」

 「その方が良いかもしれませんね…彼等はマスターよりも長く生きておりますし、様々な事を経験している筈なので思い付きの行動では見破られる可能性が高いと思います。」

 「なのでね…こんな方法を実行しようと思ったんだけど、テルミガンから見てイケるかな?」

 私はお兄ちゃん、お姉ちゃん呼びで信頼させる作戦を尋ねてみた。

 「神殿騎士達は感情を表に出さない様に訓練を受けていますからね、生半可な事では感情を表に出すことはないと思いますが…マスターの方法なら可能だとは思いますよ。ただ…根気良く長い期間が必要になると思いますが…」

 私の考えは的外れでは無かったかぁ。

 暫くすると神殿の神官から入浴の準備が出来たと知らせが来た。

 私は浴場に赴くと…そこは私にいた神殿とは違って個室にある風呂では無く、皆が使う大浴場という感じだった。

 男女に分けられている訳ではなく、時間によって入る順番が決められていた。

 だけど今回は私と…シーダとディーナのみで貸切の状態だった。

 流石に裸でバックれる度胸は私には無い。

 なのに何故かシーダとディーナが一緒だった。

 「アルファとオメガは一緒に入らないの?」

 「彼等は男性ですので、時間をずらして入浴する予定です。」

 「私は別に一緒でも構わないけど?」

 勿論大嘘です。

 流石に男性と一緒に入る度胸も勇気も無い。

 こう言ったのには理由があった。

 シーダとディーナがそう言われて照れるかどうかを確認する為だった。

 ところが相変わらずの無表情…なんだけど、浴場の熱気でなのか少し顔が赤く見えた。

 照れから来ているのか浴場の熱気からなのかがイマイチよく分からなかったけど…私は2人の信用度と信頼度を勝ち取る為にある行動に出る事にした。

 ただし…コレをやるには結構恥ずかしくて覚悟がいるんだよねぇ…?
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