聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

文字の大きさ
44 / 95
バックれ計画の章

第四十三話

しおりを挟む
 聖女の旅とは世界の各地巡って穢れを浄化する…という目的以外に、怪我をした人々さえも救う為に治癒を施すという仕事も担っている。

 聖女の旅と言ってはいるものの…私はまだちゃんとした聖女ではない。

 世界を巡って穢れを浄化し、大神殿に戻ってから初めて聖女として認定されるので、現在はまだ聖女ではなく仮聖女という扱いなんだけどね。

 私が旅で身に付けている衣装の法衣は、伝承の聖女様が身に纏っていた物と同じなので…それを見た人々からは聖女と呼ばれたりする。

 護衛の神殿騎士達もその辺は把握しているのだけれど、まだ聖女ではないとか聖女に認定されるのはまだ先…という言い訳をするのが面倒で私を聖女か様付で呼んでいる。

 初めの頃は私も心の中で否定していたけど、後に面倒になって聖女と呼ばれても平気になっていた。

 穢れの浄化は何も街の外だけという訳ではない。

 街の中にも穢れがある場所は存在する。

 それも1つや2つではないので、その街にいる時は神殿を拠点にして長い日数を掛けて浄化作業を行う。

 でもそれ以外の時間は自由時間で、街の中に買い物をしたりする時間もある。

 必ず護衛付きなのが面倒なんだけど…。

 私は商業都市グランリーザに来る時は結構楽しみだった。

 商業都市グランリーザは、世界でも1位か2位を争う位に店の数が豊富という話だったからだ。

 私はこの街で欲しいものが2つある。

 正確に言うともっとあるんだけど…絞ると大体2つくらいだった。

 1つはバックれ用の着替えの服で平民の服が欲しかった。

 これでも一応貴族令嬢なのだから、貴族のドレスが欲しい…とは全く思わなかった。

 あんな物を着ていたら動きづらいしバックれ計画には邪魔になる。

 1度でも袖を通した事があれば憧れていたかもしれないが、テリガン侯爵家では私は奴隷の様な服を着せられていただけでドレスなんかは1度も着た事がなかった。

 なので私が欲しい服は動き易そうな平民の服だった。

 何故そう思うのかと言うとね…一見華やかで煌びやかな法衣だけど、目立つからというのもあるけど実はこの法衣はドレス並みに動きにくい。

 肩の部分や背中の部分にワイヤーみたいな物が入っていて、姿勢を正す為の矯正的な服という感じが否めなかった。

 「ラフな格好的な意味で平民の服を着てみたいんだけどね…」

 シーダとディーナと一緒に服屋に入ると下着類に関しては何も言われないが、平民の服を手に取ると注意された。

 私達は神殿に仕える者で法衣以外は必要無い…と毎回注意された。

 「侯爵家では牢獄の様な部屋で奴隷の服を着せられて、神殿に来たら法衣だけだったから…平民の服がどういったものなのかが興味あっただけよ。」

 …と言い訳をしておいた。

 そしてもう1つ欲しいもの…それは言うまでも無く肉を食べたいという事だった。

 この街は商業都市なので様々な食材が運ばれて売られている。

 場所によれば…肉の焼ける匂いが漂っているんだけど、その匂いに釣られて歩き出そうとするとシーダに止められる。

 私はテルミガンの話を伝えたけど、声が聞こえない聖獣の話よりも伝承の聖女様が言ったことの方が説得力があるのか、私の意見は一切聞き入れて貰えなかった。

 これは浴場での一件以来、信用度と信頼度が上がっても許してくれる事はなくて…相変わらず神殿に帰ってから肉の無い料理を食べさせられるという物だった。

 「ならば…街でちょっとした行動を起こしてみようかしら?」

 この街は商業都市というだけあって往来は結構人の行き交いが多い。

 なので、バックれとは少し違うけど…それに近いある行動に移してみようと思ったのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の侯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした侯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親は必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

満場一致で削除されましたが、世界は問題なく回っております』

鷹 綾
恋愛
王太子アルベルトは、ある日、貴族全会の満場一致によって廃嫡された。 断罪もなければ、処刑もない。 血も流れず、罪状も曖昧。 ただ「順序を飛ばした」という一点だけで、彼は王位継承の座から静かに削除される。 婚約者だった公爵令嬢エリシアは、婚約破棄の時点で王都の構造から距離を取り、隣国との長期協定を進めていく。 彼女の世界は合理で動き、感情に振り回されることはない。 一方、王太子が選んだ“新たな聖女”は、どこまでも従順で、どこまでも寄り添う存在だった。 「殿下に従わない者は、私が処理しておきます」 その甘い囁きの裏で、王都では“偶然”が重なり始める。 だが真実は語られない。 急病も、辞任も、転任も、すべては記録上の出来事。 証拠はない。 ただ王太子だけが、血に濡れた笑顔の悪夢を見る。 そして気づく。 自分のざまあは、罰ではない。 「中心ではなくなること」だと。 王都は安定し、新王は即位し、歴史は何事もなかったかのように進む。 旧王太子の名は、ただ一行の記録として残るのみ。 婚約破棄のその後に始まる、静かな因果応報。 激情ではなく“構造”が裁く、最強レベルの心理ざまあ。 これは―― 満場一致で削除された男と、最初から無関係な位置に立っていた令嬢の物語。

生きるために逃げだした。幸せになりたい。

白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。 2020/9/19 第一章終了 続きが書け次第また連載再開します。 2021/2/14 第二章開幕 2021/2/28 完結

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。

病弱設定されているようです

との
恋愛
『あのようにご立派な家門にお産まれになられたのに⋯⋯お可哀想なご令嬢だそうですのよ』 なんて噂が流れているけれど、誰も会ったことがないミリー・ミッドランド侯爵令嬢。 ネグレクトなんて言葉はない時代に生まれ落ちて、前世の記憶を取り戻したら⋯⋯。 前世の記憶と共に無双します! 再開しました。完結まで続投です。 ーーーーーー 恋愛小説大賞27位、ありがとうございました(感謝) ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定。 完結確定、R15は念の為・・

処理中です...