聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

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自由なスローライフの章

第六十話

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 皆をダマくらかしてバックれてから1週間が経過した。

 現在私のいる場所は、中継地点のカシリスの街から少し離れた森の少し高台になっている場所に拠点を構えて生活をしていた。

 この森はバシュハウダー王国から離れすぎている為に、王国が管理している森ではない。

 更に言えば…貴族の土地という訳でも無いので、別に拠点を構えた所で何にも問題は無かった。

 私は高台の場所に拠点である家を作る為に周りの木々を伐採してから家を建てた。

 私に建築の技術は無かったけど、テルミガンの保有している知識から適した家を教えて貰って作った。

 更に庭には畑を作り、家と庭を囲む様に柵を作ってから敷地内には聖女の結界を張った。

 畑には勿論、豊穣の恵みの加護を施してあるので…植えた薬草や野菜が異常な迄に繁殖していて、食べる物には苦労しなかった。

 でも正直言うと…肉が食べたかった。

 「この付近を探索魔法をした結果、ブルはおりませんがボアの出現があるようです。それに近くには川が流れているので魚を獲るのも良いでしょう。」

 「でも私は、ボアや魚を捕らえたとしても料理は出来ないよ?神殿では野菜料理は何度かしていたけど…」

 「ボアも魚も捕えてもその日には食べられませんよ。ボアに関しては捕えてから血抜きをした後に水や氷で1日冷やして体温を下げないと食用には向きません。同じく魚も…干してから水分が抜ける迄は食べる事は出来ません。料理の仕方はその内に教え致しますが、今はカシリスの街の食堂に持ち込むといった方が賢明かも知れませんね。」

 「そうね、すぐに食べたくても調理法を知らなければ食べる事が出来ないし…食堂の方が美味しい食べ方を解っていると思うから任せちゃった方が良いかもね。」

 私はテルミガンの収納魔法から錬金窯を取り出した。

 計画では錬金窯に変身したテルミガンでポーション造りをする予定だったけど、旅の出発の時に新品の錬金窯を渡されたのでそれを使用する事にした。

 本来なら馬車の中に入れていたのだけれど、グラシャラボレアスが襲って来た時にあらかたの物をテルミガンに収納して貰っていたのだった。

 私の死んだ遺体を運ぶ事が第一なのに、錬金窯の紛失までは気にしている余裕はないという事でパクっておいた。

 私は庭に生えていた薬草を刈り取ってから、ポーション造りを始めた。

 上級・中級・下級のポーションをそれぞれ10本ずつ造り出した。

 魚は大した大きさでは無かったので今回は保留として、捕まえて冷やしておいたボアをテルミガンから知恵を借りて造ったアイテム袋(小型の収納魔法)に収納した。

 そしてその袋はバッグに入る大きさなので入れてから、ポーションもバッグに詰めた。

 バッグもちょっとした収納魔法が施されていた物だった。

 「準備完了!ではではカシリスの街に向かうとしますか!」

 「マスターはまだ転移魔法の取得は出来ていませんので、徒歩で向かう事になりますが…」

 「なので補助魔法で強化してから向かうとするよ。そうすれば半日くらいで着くでしょ?」

 私は補助魔法で速度上昇や軽量化、体力回復魔法を施してからカシリスの街に向かった。

 半日程…よりも少し早めに街に着くと、私はまず薬品屋に顔を出した。

 「これらを買い取って欲しいのですが…」

 私はバックから上中下のポーションを取り出した。

 店員は私のポーションを手に取ると、鑑定出来る魔道具で鑑定をする事なく適当な値段を言い出して来た。

 私のポーションは作製の段階で神殿と同じ製法で造り出されている為に、巷で売られているポーションよりは質が良い筈なのにかなりの安い値段で全部で銀貨1枚で提示して来た。

 「このポーションならこの位が妥当だな!」

 「そうですか…では他の店に持って行きますので。」

 私はポーションをしまおうとすると、店員は私の腕を掴んで来た。

 「おいおい、この値段は正当な物なんだよ。他の店でも同じ値段だよ!」

 「ならば…商業都市グランリーザに持って行く事にします。この店よりは遥かに高く買い取って貰えると思いますので…」

 店員は私に掴んだ腕を開放してくれなかった。

 「あの…放しては貰えませんか?」

 「強情な嬢ちゃんだな!ならば…全部で銀貨3枚でどうだ?」

 「話になりませんね、やはり別に持って行く事にします。」

 私は掴まれている腕を振り解いてからポーションを鞄に詰めて行った。

 「なら好きにしろ!」

 私は店を出ようと扉に近付くと、扉が勢いよく開いてから冒険者らしい男が飛び込んで来た。

 「ポーションはあるか?出来るだけ上級なヤツだ‼」

 「それなら少し値が張りますが此方に…」

 店員が差し出したポーションを鑑定すると、確かに上級ポーションには違いなかったが…色が少し濁っていて劣化版と表示されていた。

 冒険者の男は上級ポーションを受け取ってから怪我した女の子に飲ませた。

 表面上の傷は治ったが、怪我の治療にまでは至らなかった。

 「これが上級なのか?もっと強いポーションは無いのか⁉」

 この怪我の様子だと、私なら回復魔法を施した方が早い。

 だけど万が一のことを考えて極力魔法を使う事は控えていた。

 「もし宜しければ、こちらの上級ポーションを使用してみませんか?」

 私は冒険者の男に上級ポーションを渡すと、冒険者の男は頭を下げてから仲間に飲ませた。

 するとすぐに効果が発揮して、あれだけ重そうな怪我が治療されて行った。

 「これは凄いポーションだな!こんな高級品…俺達で支払えるかどうか。」

 「先程ここに売りに出したら、全部で銀貨3枚といわれましたので…」

 「は?冗談だろ⁉これ程の効果をもたらすポーションが銀貨3枚って…」

 冒険者の男は財布を出して全額を渡して来た。

 数えると銀貨500枚はあった。

 「今持っているのはこれしかない。後日また用意するので…」

 「いえ、これで構いませんよ。」

 私はそう言うと、冒険者達は店を出て行った。

 私も店を出ようとすると、先程の店員が扉を手で押さえながら言って来た。

 「おい、1本無くなったが残り29本あるだろ?今度は正規の値段で買い取ってやるから出せよ!」

 「正規の値段て幾らですか?」

 「全部で銀貨100枚だ!」

 「先程の冒険者の方は上級ポーション1本で銀貨500枚で…しかもこれだけでは足りないから後日とまで言われましたのに、全部で銀貨100枚ですか…物の価値が解らない人にお売りするつもりはありませんので。」

 私はそう言ってから扉を開けようとしたが、店員は私のバックを奪い取ろうとしていた。

 すると扉が勢い良く開いて…長身で大柄な男が入って来た。

 「おめぇ…何をしていやがる‼」

 長身で大柄な男に店員は殴られて店の奥の壁まで吹っ飛ばされていった。

 「済まねぇな嬢ちゃん、俺のこの店の店主のジェイガーっていうんだ。嬢ちゃんのポーションを見せてくれないか?」

 見た目は厳ついが、私は言う通りに上中下のポーションを1本ずつ渡した。

 ジェイガーはカウンターに置いていた魔道具で鑑定を行うと、ヨロヨロと立ち上がろうとしている店員の胸倉をつかんで持ち上げた。

 「おいベシュカ!お前は俺の店を潰す気か?」

 「い、いえ…」

 「お前はこれだけ品質の高いポーションを全部で銀貨100枚で買い取ろうとしていたのか!このポーションなら、下級ポーションだけで銀貨100枚の値段になるというのに。」

 やはり分かる人には分かるんだなぁ。

 「全部買い取りたいところだが…流石にそこまでの金が無いので、とりあえず下級ポーションだけでも買い取らせてはくれないか?」

 私は下級ポーションを10本をカウンターに置くと、店主は金貨1枚を渡してくれた。

 私はお店を出て扉が閉まると…中から痛々しい音が響いて来た。

 「全部は売れなかったけど、当面の資金は稼げたかな?」

 「後は食堂にボアを卸しに行きましょう。」

 私は食堂に向かってボアを売りに行った。

 そこでちょっとした揉め事に遭遇したのだった。
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