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第五章 動き出す…?

第十八話 ダンと慱(兄弟?で相談みたいです。)

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 ………漆黒の空間………

 僕は今、慱のいる漆黒の空間にアトランティカに頼んで連れて来てもらっていた。
 
 「兄貴が忙しいのは知っているけど、やはり念話よりも直に話たいと思ってね。 迷惑だった?」
 「いや、別に構わないよ…戦いに負けたら、こうして話す事は出来なくなるんだしね。」
 「実は兄貴に聞きたい事があるんだけど、良いかな?」
 「ん? 何でも行ってみると良い…」

 ダンは咳払いをしてから話した。

 「実は、最終手段の攻撃として…スキル合成を試してみようと思うんだけど、可能かどうかを聞きたくてね?」
 「まさか…バーン・ザ・ソウルと何かを組み合わるとか言うんじゃないだろうね?」
 「それは最終奥義の方だね。 あれは体に掛かる負荷が大きいからやりたくないし、別の方法なんだけど…」
 「最終手段というくらいだから、覚醒と何かを組み合わせるという事かな?」
 「覚醒+獣化をやった場合、体に掛かる負荷はどれくらいだろう?」
 
 慱は悩んだ。
 確かに…バーン・ザ・ソウルを抜かせば、現段階の最強手段はそれしかないだろう?
 属性魔法をさっさと解除したい所だが、かなり難関で未だに37%しか解除されてない。

 「正直に言うけど、使い終わった後の状態を考えると、1000連撃の非じゃない位に激痛が駆け抜けると思うよ。 それも3~5日くらい…」
 「勝利が出来ると思えば、多少の痛み何て…がまん…でき…る…かな?」
 
 僕はあの時の後遺症を思い返すと、あの地獄がまた甦って来るのかと思って身震いした。
 勝てるなら、多少の痛みくらいは…なんて思ったりもする。

 「だけど、懸念すべき点はそれだけではない…と思う。」
 「兄貴、どういう事?」
 「八魔将がどういうタイプかにもよるけど、進化をする可能性があるという事を考慮に入れた方が良いという事だ。」
 「あ…その可能性もあるのか⁉ そうだよな、覚醒が使える日を選ぶ以外に仲間も呼べという位の自身だから、その可能性はあると思った方が良いのか…」

 確かに言われてみれば、兄貴の言う通りかもしれない。
 その対策を考えると、正直…戦法が思い付かない。

 「なら、いっその事…」
 「うん?」
 「進化するのか聞いてみるか?」
 「んなっ! ダンは良くそういう発想が思い付くねw」
 「あれだけ自信があるなら、その辺も包み隠さずに教えるだろうと思ってw」
 「まぁ、確かに…それもありと言えばありだろうけど…聞いた所で答えないかもしれないだろ?」
 
 我が弟ながら、柔軟な発想は恐れ入る。
 やはり僕達は、顔は同じでも全く違う物なんだなと思う。
 
 「あとはガルムの弱点とか…属性とかが解ればねぇ…?」
 「恐らくガルムは、闇と火属性だと思うよ。 神話が正しければ…」 
 「なるほど、神話通りならか…ダンは不思議に思った事が無いかな? 魔王の事…」
 「あのへっぽこ? 頭が悪いのかな?…と思ったりはするけど?」
 「それもあるんだけど、僕が気付いた点は…ガルムという名前を聞いた時に気付いたんだけど…」
 「ガルムの名前で…ねぇ? ガルム…ガルム…あ! そういう事?」
 
 慱は頷いてみせた。
 そうか…確かに言われてみたらそうだよな?

 「邪神ルキシフェル…これは元いた世界でも、どの神話でも出てこないけど、ガルムは元いた世界では地獄の番犬⁉」
 「もしも、魔王が八魔将や四天王、三元将の名前を名付けているとしたら…」 
 「魔王は元いた世界の何か?」
 「そうなる可能性があるという話だよ。 元いた世界の人だった…と仮定すると、魔王も異世界召喚で呼び出された僕等の世界の住人で、召喚得点で強大な力を手に入れた存在ではないかと…」
 
 その発想は全くなかった。
 十六鬼影衆の名付けした下っ端もそう考えると合点がいく…
 アイマァフールに関していえば、I am a fool. 元いた世界の英語になるからなぁ。
 他の十六鬼影衆の名前もそうだよな…全て英語での悪口だし…

 「僕等の時代のから、僕達以外が召喚されて来た可能性もあるのかな?」
 「いや、それは無いと思うよ。 マナの状態を見る限りでは、5人を呼び出すだけでかなりギリギリだったのは間違いないから…」
 「なら、70年前に…になるのかな?」
 「その可能性はないとも言い切れないね…さすがに70年前の事まではわからないから…」
 
 話を戻して…
 ガルムが地獄の番犬の名前と同じ意味なら、地獄から呼び寄せた訳ではなく、この世界で神話を元に作りだされたと考えるなら、べースはどうみても犬か狼だろう?

 「もしもベースが犬か狼だとしたら、元いた世界の犬の弱点も有効…になるかわらないな…」
 「恐らくそこまで間抜けではないだろう。 それだと、対策も立てられて嬉しいが…」
 「最強にして、最終兵器を喰らわせてみるか…」
 「最終兵器? そんなものがあるの??」
 「華奈の料理w」
 「・・・・・・・・・」
 
 兄貴が呆れてしまったかな?
 やっぱ、駄目かな?

 「意外に良い作戦かもねw? 自身があるというか…硬派な感じだったから…」
 「戦いの前に腹ごしらえで作りましたので、死闘の前に是非食べて下さいと差し出す?」
 「ダンはさぁ、華奈の料理をこっちに来てから食べた事ある?」
 「うん…試しに舌鑑定を発動しながら食べた事はあるよ。 舌鑑定には、華奈の料理には毒物という文字は一切出なかったけど…」
 「華奈が料理を作りだした原因は、多分僕の所為なんだよね…両親が死ぬ前に料理を作って貰った事があってね、料理を笑顔で無理しながら食べた時に、料理を褒めまくったらそれ以降やる気になってね…」
 「兄貴が原因だったのか⁉ 僕は中学生の時に華奈の料理を食べて、1日で体重が4㎏も落ちたんだぞ‼」
 「それは済まない事をした…だが、意外と効果があるかもしれないかもよ?」

 華奈の料理は、見た目も匂いも美味しそうなんだよね。
 味は…最悪…いや、極悪だけど…
 冗談半分で華奈に作って貰って、試してみるか?

 「あとは、何か組み合わせられるスキルはないだろうか?」
 「セコイ方法で良いならいくつかあるけど、兄貴…引いたりしない?」
 「勝利の為なら引いたりしないよ。 話してみて?」
 「ハバネとジョロキとバネロの実の粉末で、目つぶし…酢をぶっ掛けて嗅覚封印…泡魔法と水魔法で丸洗いとかw」
 「本当にセコイな…だけど、有効ならどんどん試してみるのも良いかもね。 相手も調味料を攻撃に使ってくるとは思ってないだろうから、意表を突いた攻撃にはなると思うよ。」
 
 やはり、兄貴に相談して良かった。
 僕はこれからの数日間は、調味料攻撃を視野に入れて仕込みを作る事にした。

 八魔将・ガルムまでの戦いまで、残り9日…
 クライシスの様子でも見ておかないとね…?
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