天正十一年。越前・大野城の筆頭家老、佐竹貞吉は主家の失政の責を負い、突然の左遷処分を受ける。行き先は、荒れ果てた城下の酒蔵
――だがそれは、地方経済の要であり、敵対勢力との接点でもあった。
刀も軍勢も使えぬ中、貞吉はただ一人で「酒」と「銭」を武器に立ち上がる。城下の商人、蔵元、遊女たちを巻き込み、腐敗した城政を改革しながら、知られざる“もう一つの戦国”を生き抜いてゆく。
これは、史に名を残さぬ“裏方の英雄”が起こした、小さな城の大きな逆転劇。
策も謀もすべては、ただ城と人の未来のために――。
文字数 62,697
最終更新日 2025.06.20
登録日 2025.05.17