第9回漫画大賞終了

第9回漫画大賞

選考概要

編集部内で大賞候補作としたのは、「柳生烈堂地獄旅」「Gullveida」「イルマリネンの花嫁」「BOUNDARY」「怪奇!魚人間」「起業したらたった半年で行き詰った」「文子と早春の煙」「ヘタレオオカミと毒舌赤ずきん」「スラムの不死鳥」「ぼくらのめいきゅー」の10作品。

最終選考ではどの作品もそれぞれに魅力があるが、「大賞」にふさわしい作品かと考えると、いずれも一歩及ばず、やや物足りなさが感じられるという総意となった。その後の議論の末、評価が他より抜けて高かった三作「柳生烈堂地獄旅」「Gullveida」「イルマリネンの花嫁」を選出。新たに「優秀賞」(賞金30万円)を設け、授与することとした。

「柳生烈堂地獄旅」は異形の剣客が主人公の時代劇ファンタジー。荒々しくはあるものの、白と黒を基調とした迫力あるアクションは圧巻であり、特に絵柄やコマ割りなどの構成力が秀逸な作品として、高く評価された。魅力的なヒロインが描ければ、より商業作品としての完成度が増すことだろう。

「Gullveida」は、絶海の孤島で繰り広げられるファンタジー。背景の描き込みやコマ割りに優れ、画面にメリハリがついていて読みやすい。またキャラクターの魅力が引き出されており、続きを読みたいと思わせる力を十分に持った作品であった。ただ、物語に関してはインパクトが弱かった。今後のストーリー構築が課題といえる。

「イルマリネンの花嫁」は、星を飲み込んだ少女と、その星を探す男の物語。力のある絵に支えられた独特な世界観に加え、二人を取り巻く時間の流れがしっかりと表現された、センスの高い作品として評価された。もう少し、行動の意図や意味を伝えるような、セリフとコマがあれば、より良い作品となるだろう。

また受賞には至らなかったが、そのほかの7作も各々に違った魅力があり、編集部内の評価も差のないものだった。

「BOUNDARY」は画力と構成力に優れ、特にモンスターとのバトルアクションが光る良作であった。ただ、物語がバトルを見せるためのご都合主義となってしまっている点が惜しい。

「怪奇!魚人間」は絵の雰囲気や世界観が良く、また安心して読み進めることのできる展開も評価されたが、ドラマ構築が弱くエンタメとしては物足りない点がマイナスとなった。

「起業したらたった半年で行き詰った」は起業を題材としたコミックエッセイ。題材自体に新しさはないが、独自の視点や解釈、感情が盛り込まれた4コマとして評価された。

「文子と早春の煙」は時代感と雰囲気作りが上手く、加えて人物の細やかな描写も高く評価された。定型の4コマではなく、ストーリー漫画の形式で読みたい作品であった。

「ヘタレオオカミと毒舌赤ずきん」は画力については課題が残るが、物語の展開や、キャラクターの見せ方が上手く、読者に感情移入をさせる力があると評価された。

「スラムの不死鳥」は画面作りの華やかさに欠け、全体的に粗い印象を受けるが、世界観の作り込みと、バイタリティ溢れるキャラクター描写に評価が集まった。

「ぼくらのめいきゅー」は引きもしっかりと作られた4コマ漫画。学校出たらすぐダンジョンといった斬新な構成も評価されたが、1話のみでの応募がマイナスとなった。

「第9回漫画大賞」は応募者の層が厚く、またジャンルの多様さもあり、数多の議論が飛び交う充実した選考となった。残念ながら、「漫画大賞」にふさわしい突出した作品は無かったものの、将来への期待を込めて「優秀賞」を設けた。次回は、よりパワーアップした面白い漫画が読めることを期待している。

応募総数137作品 開催期間2016年03月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。自由気ままな猫との生活が伸び伸びと描かれたエッセイコミックです。全編フルカラーで、メリハリのある構成は、猫たちの個性を出すことに成功しており、一気に読ませる力がありました。「吉田んち」という世界観に惹きこまれ、4匹のエピソードに一喜一憂し、自分が飼い主であるかのように感情移入した読者も多かったことでしょう。今後の更新を楽しみにしています。


編集部より

人物の絵柄や効果線などはレベルが高く、非常にバランスよく描けています。ただ、背景に関しては、人物に対して白いコマが多く作品の迫力を阻害しています。トーンを使用するか、スミベタを多用して画面の密集度を上げましょう。また、商業ということを念頭におくと、魅力的なヒロインが不足しています。バトルでは十二分に読者を楽しませる力量がありますので、今後はヒロインも作品に加え大ヒットする漫画を作ってほしいと思います。


編集部より

絵柄にやや古さはあるものの、画力が高い作品です。背景の描き込みをはじめ、衣装や小物も綺麗に仕上がっており、世界観も確立されています。また、キャラクターの個性も序盤から引き出されており、魅力的と言えるでしょう。ただ、ストーリー構築には課題が残ります。現時点ではインパクトに欠けておりますので、キャラクターと世界観を活かしたストーリーを心がけ、ワンランク上の漫画作りを目指してください。


編集部より

物語のきっかけや転機はややありふれたものですが、それを感じさせない画力・構成力・ストーリー構築力があります。シアンとリネンの関係性を独特の切り口で描き、流れるように物語を追える反面、やや説明が不足している印象も受けました。もう少し意図や行動の意味を伝えるようなセリフ・コマを作ると、作品の間口が広がるでしょう。より多くの読者に楽しんでもらえる作品を目指してください。

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