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1章 テルミア王国 王都編
マジックバッグの中身と懸賞金
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翌朝、朝食を食べた後、私はマジックバッグを出した
「師匠、ガルム一味のバッグの整理ですか?」
「ええ、朝の内にやっておかないとね」
「あいつらは、お金も物資も大量に持っていました。自分で入れたりしてたから分かります。」
え、そんな大量にあるの?うーん、どうしようかな?
そうだ!全部、アイテムボックスに入れて、ステータスに表示させよう。そうすれば、手間が省ける。
「それならマジックバッグごと、私のアイテムボックスに入れましょう。ステータスに表示させて、そこで整理すればいいわ」
「え、そんな事可能なんですか?」
「まあ、やってみれば分かるわ?」
私のアイテムボックスは精神世界だから、そういう区分け程度なら簡単に出来るはず。それに、ステータス自体も私と繋がっているのだから道具の表示程度なら機能するはず。マジックバッグをアイテムボックスに入れて、区分けしてステータスに表示しろ。
「よし、成功!」
「ふぇ~、本当に出来たんですか!なんでもありですね、師匠」
なんか、変に呆れられてる気がするけど、まあいいでしょう。
まずはお金からね。えーと、
星金貨 10枚 (1枚当たり100万円に相当)
白金貨 38枚 (1枚当たり10万円に相当)
金貨 123枚 (1枚当たり1万円に相当)
銀貨 534枚 (1枚当たり1000円に相当)
銅貨 876枚 (1枚当たり100円に相当)
あいつら、どんだけ盗んでいるのよ。これ使っていいのかな?なんか、使い辛いわね。
フィンに教えて上げよう。
「フィン、お金が表示されたわ。簡単に言うと、金貨1500枚近くあるわね」
「そ、そ、そんなにありましたか!」
「意外ね、もっと大声を出すかと思ったわ」
「師匠と出会って、これまでに色々とありましたから、そうそう驚かなくなりました。」
そう言えば、事あるごとに大声を上げてたもんね。
「じゃあ、次は物資の方ね。金属やら宝石やらが色々と多過ぎる。とりあえず、武器から見てみよう。フィン、メモしておいてね」
出てきたのは、
魔剣×5
アダマンタイト製の槍×2、剣×3
ミスリル製の剣×5
鋼鉄製の剣×10
鉄の爪×4
武器はこれぐらいかな。この後も、防具類、金属、宝石とかなりの量が入っていた。あいつら、換金してなかったの?
「フィン、あいつら換金しないの?」
「それが信頼できる所じゃないと駄目らしくて、ここ最近は換金してなかったんです」
「まあ、いいか。このアダマンタイトの剣とミスリルの剣は使えるわね。それぞれ2つずつ、持っておこう。フィンは、この鉄の爪ね、2つ持っておきなさい」
「いいんですか、ありがとうございます」
後は金属か。使えるのは、オリハルコン、アダマンタイト、ミスリルの3つね。オリハルコンが私の剣で、アダマンタイトは保留、ミスリルはフィン専用の爪ね。後はいらないわね。宝石も興味ないからパス。防具類もサイズの関係からパス。こんなところか。
「よし、整理出来たわ。フィン、あなたがもう少し強くなったら、鉄の爪からミスリルの爪にしてあげる。そっちの方が魔力伝導も良いしね。今は鉄の爪で、基礎を磨きなさい」
「はい、ありがとうございます。師匠の武器は、アダマンタイトかミスリルの剣になるんですか?魔剣は使わないんですか?」
「あー、あれらは予備よ。今の剣も、ボロボロだからね。多分、アダマンタイトもミスリルも、そんな長く持たないでしょうね。あと、魔剣は必要ない。やろうと思えば、同じ事をミスリルの剣とかで簡単に出来るからね。冒険者の人達に渡した方が、魔剣も本望でしょう。魔剣の1つ嵐属性のものは、レインさんにあげるわ。あの人なら、この魔剣を充分に使いこなしてくれるでしょう。私の本命はオリハルコンよ。鍛冶屋を探して、私専用の剣を創ってもらいましょう」
「オリハルコンですか!それに、アダマンタイトはミスリルより硬くて凄く丈夫なんですけど。魔剣と同じ事を簡単に出来るのは、師匠だけだと思います」
いいツッコミをありがとう。
「言っておきますけど、別に馬鹿力というわけじゃないのよ。私の魔力にそう長く耐えられないの」
「あ、なるほど」
絶対、馬鹿力と思ってたわね。
「あの師匠、質問したい事があるんですが良いですか?」
「急にどうしたの?」
「師匠は、一体何者なんですか?魔力と邪力両方扱える種族はいません」
「おー、やっと質問してきたか?そうね、今はまだ答えられないわね。強いて言えば、この世界の真実を探る探求者て所かしらね。いずれ教えて上げるわ。ただ、これだけは言っておくわ。私は、フィンを絶対に裏切らないてことよ」
今の段階で話しても、理解出来ないだろうしね。あとは、信頼性かな。フィンもそれで納得したのか追求してこなかった。今は、この状態で良いでしょう。
さて、先立つものが大幅に増えた。これで、カイルに宿泊の延長を言っても大丈夫だ。ちょっと豪華なお昼ご飯を食べて、フィンを連れてギルドに行きますか!
ギルドに到着した途端、みんなから注目を浴びた。それだけガルム一味が凄いて事か。受付に行くとカリンさんがいた。
「待ってたわ、サーシャ。ギルド長の部屋に来て」
「カリンさん、レインさんが来たら教えてくれませんか?渡したい物があるので」
「わかったわ」
部屋に入ると、クロードさんが笑顔で出迎えてくれた。
「サーシャ、よく来てくれたな。早速だが、これが懸賞金、金貨200枚だ」
「え、そんなに貰って良いんですか?」
「当たり前だ。ガルム一味のボスであるガルムだが、目覚めてすぐに、これまでの事を一部始終話したよ。はっきり言って拍子抜けだ。拷問する前に、全部自白したんだからな。そして、何かに怯えていた。サーシャ、何かしたか?」
ナイトメアの後遺症ね。
「いいえ、何もしていません。ただ、ガルムの周りに怨霊がまとわりついていたので、ちょっと怨霊に力を与えただけです」
「おいおい、危ない事をするな。まあいい、手間が省けた。ガルム一味がレーデンブルク第3王女を誘拐した事、依頼者がソフィア・アレンシャルであることがわかった。そしてその第3王女が、フィンであることが昨日カリンの鑑定で証明された。実はな、半年程前、レーデンブルク王国からフィン王女のステータス異常と誘拐の件は、こちらに届いていて、邪族が関与している可能性があるという事で、その注意喚起と捜索依頼が出ていたんだ。王には報告済だ。おそらく、騎士団がフィンを引き取りに来ると思うぞ」
成る程、レーデンブルク王国は捜索依頼を出してたのね。でも、変装の魔導具のせいで全然見つからなかったというわけか。
「フィンのステータス異常に関しては、私が解決しました。その結果、今回の事件の背後に邪族が大きく関わっていることがわかりました」
「なんだと、昨日カリンが見た時、ステータス異常は治ってなかったぞ」
「治したのは、その後です。今、ここで詳しい事を話しても良いんですが、騎士団の方が来られてからの方が良いでしょう。先にカリンさんに再鑑定してもらいましょう」
カリンさんに来てもらい再鑑定してもらった結果、ステータス異常は完全に治っていたため、2人ともひどく驚いていた。
「うそ、本当に治ってる。称号に神獣の加護があります。間違いなく、治っています」
「マジかよ。レーデンブルク王国では、どんな魔法使いでもステータス異常の原因や治療方法もわからなかったのに、サーシャがそれをたった1日で解決だと、---信じられん。サーシャ、どうやって解決したんだ?」
「それは、騎士団の方が来てから詳しく話します。とりあえず、今言えるのは、フィンについては、私が預かります。王宮で呑気に暮らしてたら、殺される可能性が高いです。今回、ソフィア・アレンシャルが依頼したものですが、裏で邪族が手引きしているのは間違いありません。私がフィンを送り届けます」
「邪族はどこに潜んでいるかわからんからな。下手に王宮に住まわせるより、サーシャに預けた方が安心だ。だが、王がそれで納得するかどうかはわからんぞ」
「では、王自身が依頼を出せば良いです。私が早いうちにAクラスにでもなれば、納得すると思います」
「おいおい、Aクラスときたか。サーシャの場合、Sクラスでも大丈夫だがな。お前から感じる気配は、Sクラスに匹敵するものだ。何か1つ大きな依頼をこなしてこい。そうすれば、おそらくAクラスに上がれるかもしれん」
かなり気配を抑えているにも関わらず、それでもSクラスなんだ。まだ、完全にコントロール出来ていないか。うーん、気を付けないといけないね。
「わかりました」
「フィンの件については、騎士団が来るのを待とう。明日、来るはずだから、その時に詳しい話をしてくれ。それはそうと、アイテムはどうするか決まったかい?」
「はい、いくつか貰いますが、残りは売ります。これがそのリストです」
「こんなに売るのか、宝石とかはいいのか、かなりあるぞ。それに、魔剣が4つもあるじゃないか!」
いらないです。宝石に興味がないというのもあるけど、盗んだ物を身につけたくないです。
「はい、全部入りません。その代わりお願いがあるんですが、売る手続きをやってくれませんか?正直面倒くさいです」
「ああ、構わんよ。オークションが7日後にあるから、終わった後に来ればいいだろう。しかし、今回のオークション、これは荒れるぞ」
「ありがとうございます。魔剣に関しては、冒険者の方々が買ってくれれば良いんですけど。あと、邪族や女神について興味があるんですが、どこに行けば詳しい情報がありますか?」
「一番は図書館か王宮の資料室だな。ここ以外となると、南にあるスフィアートか。あそこは女神スフィアを祀るスフィア教の本部があるからな。馬車で4日程かかるぞ」
ここでも、女神スフィアか、せっかくだから色々と聞いてみるか。
「スフィアートですね。そういえば、女神はスフィアだけなんですか?」
「ははは、女神はスフィア1人に決まってるじゃないか、サーシャは変な事をいうな。まず、歴史から勉強した方がいいから図書館に行ってみろ」
嘘ではない。じゃあ、女神サリアて何者なの?女神スフィアはどこにいるの?
まずは、この世界の歴史、創世というものを勉強しよう。
「そうですね。まずは図書館に行って色々と調べてみます」
その時、ドアのノック音が聞こえた。
「入っていいぞ」
「レインか、どうしたんだ?」
「サーシャが私に用があるって聞いたからね。何の用なんだい?」
これで、魔剣の1つを渡せる。ちなみに、新品同様に魔剣を回復させておいた。ダンジョンの魔剣は、邪法で耐久力を回復出来る事がわかった。
「ガルム一味が持っていたものなんですが、レインさんにこれを上げます」
袋に包まれた魔剣を渡した。
レインさんが袋を取り、魔剣を確認すると-----
「え、こ、これ魔剣かい。しかもかなり強力だよ」
「はい、嵐魔法が組み込まれた魔剣です。レインさんにぴったりだと思って、どうか使って下さい」
「いいのかい!売れば、星金貨5枚はする代物だよ!」
これにはクロードさんもひどく驚いていた。
「おいおい、サーシャは思い切った事をするな」
「魔剣は、優秀な冒険者に使われてこそ、力を発揮します。レインさんなら、この魔剣の力を引き出してくれると思うんです」
「確かに、この魔剣、妙にしっくりくる。私が求めていたもの近いよ。こんな高価な物いいのかい?」
「はい、受け取って下さい」
「わかったよ、サーシャ、ありがとう。大事に使わせてもらうよ」
レインさんはお礼を言い、部屋から出て行った。
「全く、つくづく驚かされるよ。そうそう、サーシャ、Cクラス昇格おめでとう」
「Cクラス!話は聞いてましたけど、速いですね」
「速いほうがいいんだ。サーシャの強さは完全にDクラスを逸脱している。このままいては、迷惑になるからな。さっき言ったように、大きな依頼をこなせば、おそらくAクラスになれるはずだ」
「わかりました。あと、フィンも冒険者登録、お願いします」
「わかった」
フィンの冒険者登録を行うため、模擬戦を行った結果、フィンはEクラススタートとなった。年齢を考えれば、極めて異例らしい。
登録後ギルドを出て、夜の為の買い出しを行い、ひょっとこ屋に戻った。
そして、夜の宴会が始まった。
宴会は、一言で言えば戦争だった。料理を作っても作っても、すぐになくなった。みんな食べるの早すぎだよ。かなり多めに作ってるはずなんだけどな。
結局、私が夕食を食べたのは、深夜になってからだった。
「師匠、ガルム一味のバッグの整理ですか?」
「ええ、朝の内にやっておかないとね」
「あいつらは、お金も物資も大量に持っていました。自分で入れたりしてたから分かります。」
え、そんな大量にあるの?うーん、どうしようかな?
そうだ!全部、アイテムボックスに入れて、ステータスに表示させよう。そうすれば、手間が省ける。
「それならマジックバッグごと、私のアイテムボックスに入れましょう。ステータスに表示させて、そこで整理すればいいわ」
「え、そんな事可能なんですか?」
「まあ、やってみれば分かるわ?」
私のアイテムボックスは精神世界だから、そういう区分け程度なら簡単に出来るはず。それに、ステータス自体も私と繋がっているのだから道具の表示程度なら機能するはず。マジックバッグをアイテムボックスに入れて、区分けしてステータスに表示しろ。
「よし、成功!」
「ふぇ~、本当に出来たんですか!なんでもありですね、師匠」
なんか、変に呆れられてる気がするけど、まあいいでしょう。
まずはお金からね。えーと、
星金貨 10枚 (1枚当たり100万円に相当)
白金貨 38枚 (1枚当たり10万円に相当)
金貨 123枚 (1枚当たり1万円に相当)
銀貨 534枚 (1枚当たり1000円に相当)
銅貨 876枚 (1枚当たり100円に相当)
あいつら、どんだけ盗んでいるのよ。これ使っていいのかな?なんか、使い辛いわね。
フィンに教えて上げよう。
「フィン、お金が表示されたわ。簡単に言うと、金貨1500枚近くあるわね」
「そ、そ、そんなにありましたか!」
「意外ね、もっと大声を出すかと思ったわ」
「師匠と出会って、これまでに色々とありましたから、そうそう驚かなくなりました。」
そう言えば、事あるごとに大声を上げてたもんね。
「じゃあ、次は物資の方ね。金属やら宝石やらが色々と多過ぎる。とりあえず、武器から見てみよう。フィン、メモしておいてね」
出てきたのは、
魔剣×5
アダマンタイト製の槍×2、剣×3
ミスリル製の剣×5
鋼鉄製の剣×10
鉄の爪×4
武器はこれぐらいかな。この後も、防具類、金属、宝石とかなりの量が入っていた。あいつら、換金してなかったの?
「フィン、あいつら換金しないの?」
「それが信頼できる所じゃないと駄目らしくて、ここ最近は換金してなかったんです」
「まあ、いいか。このアダマンタイトの剣とミスリルの剣は使えるわね。それぞれ2つずつ、持っておこう。フィンは、この鉄の爪ね、2つ持っておきなさい」
「いいんですか、ありがとうございます」
後は金属か。使えるのは、オリハルコン、アダマンタイト、ミスリルの3つね。オリハルコンが私の剣で、アダマンタイトは保留、ミスリルはフィン専用の爪ね。後はいらないわね。宝石も興味ないからパス。防具類もサイズの関係からパス。こんなところか。
「よし、整理出来たわ。フィン、あなたがもう少し強くなったら、鉄の爪からミスリルの爪にしてあげる。そっちの方が魔力伝導も良いしね。今は鉄の爪で、基礎を磨きなさい」
「はい、ありがとうございます。師匠の武器は、アダマンタイトかミスリルの剣になるんですか?魔剣は使わないんですか?」
「あー、あれらは予備よ。今の剣も、ボロボロだからね。多分、アダマンタイトもミスリルも、そんな長く持たないでしょうね。あと、魔剣は必要ない。やろうと思えば、同じ事をミスリルの剣とかで簡単に出来るからね。冒険者の人達に渡した方が、魔剣も本望でしょう。魔剣の1つ嵐属性のものは、レインさんにあげるわ。あの人なら、この魔剣を充分に使いこなしてくれるでしょう。私の本命はオリハルコンよ。鍛冶屋を探して、私専用の剣を創ってもらいましょう」
「オリハルコンですか!それに、アダマンタイトはミスリルより硬くて凄く丈夫なんですけど。魔剣と同じ事を簡単に出来るのは、師匠だけだと思います」
いいツッコミをありがとう。
「言っておきますけど、別に馬鹿力というわけじゃないのよ。私の魔力にそう長く耐えられないの」
「あ、なるほど」
絶対、馬鹿力と思ってたわね。
「あの師匠、質問したい事があるんですが良いですか?」
「急にどうしたの?」
「師匠は、一体何者なんですか?魔力と邪力両方扱える種族はいません」
「おー、やっと質問してきたか?そうね、今はまだ答えられないわね。強いて言えば、この世界の真実を探る探求者て所かしらね。いずれ教えて上げるわ。ただ、これだけは言っておくわ。私は、フィンを絶対に裏切らないてことよ」
今の段階で話しても、理解出来ないだろうしね。あとは、信頼性かな。フィンもそれで納得したのか追求してこなかった。今は、この状態で良いでしょう。
さて、先立つものが大幅に増えた。これで、カイルに宿泊の延長を言っても大丈夫だ。ちょっと豪華なお昼ご飯を食べて、フィンを連れてギルドに行きますか!
ギルドに到着した途端、みんなから注目を浴びた。それだけガルム一味が凄いて事か。受付に行くとカリンさんがいた。
「待ってたわ、サーシャ。ギルド長の部屋に来て」
「カリンさん、レインさんが来たら教えてくれませんか?渡したい物があるので」
「わかったわ」
部屋に入ると、クロードさんが笑顔で出迎えてくれた。
「サーシャ、よく来てくれたな。早速だが、これが懸賞金、金貨200枚だ」
「え、そんなに貰って良いんですか?」
「当たり前だ。ガルム一味のボスであるガルムだが、目覚めてすぐに、これまでの事を一部始終話したよ。はっきり言って拍子抜けだ。拷問する前に、全部自白したんだからな。そして、何かに怯えていた。サーシャ、何かしたか?」
ナイトメアの後遺症ね。
「いいえ、何もしていません。ただ、ガルムの周りに怨霊がまとわりついていたので、ちょっと怨霊に力を与えただけです」
「おいおい、危ない事をするな。まあいい、手間が省けた。ガルム一味がレーデンブルク第3王女を誘拐した事、依頼者がソフィア・アレンシャルであることがわかった。そしてその第3王女が、フィンであることが昨日カリンの鑑定で証明された。実はな、半年程前、レーデンブルク王国からフィン王女のステータス異常と誘拐の件は、こちらに届いていて、邪族が関与している可能性があるという事で、その注意喚起と捜索依頼が出ていたんだ。王には報告済だ。おそらく、騎士団がフィンを引き取りに来ると思うぞ」
成る程、レーデンブルク王国は捜索依頼を出してたのね。でも、変装の魔導具のせいで全然見つからなかったというわけか。
「フィンのステータス異常に関しては、私が解決しました。その結果、今回の事件の背後に邪族が大きく関わっていることがわかりました」
「なんだと、昨日カリンが見た時、ステータス異常は治ってなかったぞ」
「治したのは、その後です。今、ここで詳しい事を話しても良いんですが、騎士団の方が来られてからの方が良いでしょう。先にカリンさんに再鑑定してもらいましょう」
カリンさんに来てもらい再鑑定してもらった結果、ステータス異常は完全に治っていたため、2人ともひどく驚いていた。
「うそ、本当に治ってる。称号に神獣の加護があります。間違いなく、治っています」
「マジかよ。レーデンブルク王国では、どんな魔法使いでもステータス異常の原因や治療方法もわからなかったのに、サーシャがそれをたった1日で解決だと、---信じられん。サーシャ、どうやって解決したんだ?」
「それは、騎士団の方が来てから詳しく話します。とりあえず、今言えるのは、フィンについては、私が預かります。王宮で呑気に暮らしてたら、殺される可能性が高いです。今回、ソフィア・アレンシャルが依頼したものですが、裏で邪族が手引きしているのは間違いありません。私がフィンを送り届けます」
「邪族はどこに潜んでいるかわからんからな。下手に王宮に住まわせるより、サーシャに預けた方が安心だ。だが、王がそれで納得するかどうかはわからんぞ」
「では、王自身が依頼を出せば良いです。私が早いうちにAクラスにでもなれば、納得すると思います」
「おいおい、Aクラスときたか。サーシャの場合、Sクラスでも大丈夫だがな。お前から感じる気配は、Sクラスに匹敵するものだ。何か1つ大きな依頼をこなしてこい。そうすれば、おそらくAクラスに上がれるかもしれん」
かなり気配を抑えているにも関わらず、それでもSクラスなんだ。まだ、完全にコントロール出来ていないか。うーん、気を付けないといけないね。
「わかりました」
「フィンの件については、騎士団が来るのを待とう。明日、来るはずだから、その時に詳しい話をしてくれ。それはそうと、アイテムはどうするか決まったかい?」
「はい、いくつか貰いますが、残りは売ります。これがそのリストです」
「こんなに売るのか、宝石とかはいいのか、かなりあるぞ。それに、魔剣が4つもあるじゃないか!」
いらないです。宝石に興味がないというのもあるけど、盗んだ物を身につけたくないです。
「はい、全部入りません。その代わりお願いがあるんですが、売る手続きをやってくれませんか?正直面倒くさいです」
「ああ、構わんよ。オークションが7日後にあるから、終わった後に来ればいいだろう。しかし、今回のオークション、これは荒れるぞ」
「ありがとうございます。魔剣に関しては、冒険者の方々が買ってくれれば良いんですけど。あと、邪族や女神について興味があるんですが、どこに行けば詳しい情報がありますか?」
「一番は図書館か王宮の資料室だな。ここ以外となると、南にあるスフィアートか。あそこは女神スフィアを祀るスフィア教の本部があるからな。馬車で4日程かかるぞ」
ここでも、女神スフィアか、せっかくだから色々と聞いてみるか。
「スフィアートですね。そういえば、女神はスフィアだけなんですか?」
「ははは、女神はスフィア1人に決まってるじゃないか、サーシャは変な事をいうな。まず、歴史から勉強した方がいいから図書館に行ってみろ」
嘘ではない。じゃあ、女神サリアて何者なの?女神スフィアはどこにいるの?
まずは、この世界の歴史、創世というものを勉強しよう。
「そうですね。まずは図書館に行って色々と調べてみます」
その時、ドアのノック音が聞こえた。
「入っていいぞ」
「レインか、どうしたんだ?」
「サーシャが私に用があるって聞いたからね。何の用なんだい?」
これで、魔剣の1つを渡せる。ちなみに、新品同様に魔剣を回復させておいた。ダンジョンの魔剣は、邪法で耐久力を回復出来る事がわかった。
「ガルム一味が持っていたものなんですが、レインさんにこれを上げます」
袋に包まれた魔剣を渡した。
レインさんが袋を取り、魔剣を確認すると-----
「え、こ、これ魔剣かい。しかもかなり強力だよ」
「はい、嵐魔法が組み込まれた魔剣です。レインさんにぴったりだと思って、どうか使って下さい」
「いいのかい!売れば、星金貨5枚はする代物だよ!」
これにはクロードさんもひどく驚いていた。
「おいおい、サーシャは思い切った事をするな」
「魔剣は、優秀な冒険者に使われてこそ、力を発揮します。レインさんなら、この魔剣の力を引き出してくれると思うんです」
「確かに、この魔剣、妙にしっくりくる。私が求めていたもの近いよ。こんな高価な物いいのかい?」
「はい、受け取って下さい」
「わかったよ、サーシャ、ありがとう。大事に使わせてもらうよ」
レインさんはお礼を言い、部屋から出て行った。
「全く、つくづく驚かされるよ。そうそう、サーシャ、Cクラス昇格おめでとう」
「Cクラス!話は聞いてましたけど、速いですね」
「速いほうがいいんだ。サーシャの強さは完全にDクラスを逸脱している。このままいては、迷惑になるからな。さっき言ったように、大きな依頼をこなせば、おそらくAクラスになれるはずだ」
「わかりました。あと、フィンも冒険者登録、お願いします」
「わかった」
フィンの冒険者登録を行うため、模擬戦を行った結果、フィンはEクラススタートとなった。年齢を考えれば、極めて異例らしい。
登録後ギルドを出て、夜の為の買い出しを行い、ひょっとこ屋に戻った。
そして、夜の宴会が始まった。
宴会は、一言で言えば戦争だった。料理を作っても作っても、すぐになくなった。みんな食べるの早すぎだよ。かなり多めに作ってるはずなんだけどな。
結局、私が夕食を食べたのは、深夜になってからだった。
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