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5章 レーデンブルク 悪魔討伐編

勇者達との再会

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フィン達にはキツ過ぎる罰を与えてしまった。レオンが回復魔法を唱えてくれたので、5分程で気絶から回復した。後遺症もないようだし、これなら大丈夫ね。

「うーん、version2はキツかったようね。まあ、これで命令違反は失くなるでしょう」

「サーシャ、仲間でも容赦ないわね。あの臭いは、2度と嗅ぎたくないわ」
「同感です」

「佐江と努の方も用意が整ったようね。私達も行きましょう。あの子達には、後でラーメンを死ぬ程食べさせてあげるわ」

佐江と努か。2人とも25歳前後で、熱々の恋人というより年数考えたら夫婦になるのかな?佐江は見た感じ優しそうだけど、芯の強い女性に見えたわ。努は物腰が柔らかく、どこか頼りなさそうだけど、いざという時は物事を冷静に判断出来るような印象を受けたわね。

「サリア、テイル、行くわよ!」
「ええ、佐江と努に会うのは久しぶりね」
「行きましょう!」

桜木君達とも再会するから、偽装を解除しておこう。


さあ、転移しますか!


○○○


ここはハイエルフの王宮。

私達が転移すると、佐江と努、エルフの国王と王妃(知らない人だけど雰囲気でわかる)、バーンさんとリフィアさん、そして-----目を見開いて私を見ている桜木君達がいた。こうやって直接会うのは久しぶりだ。実際は1ヶ月と少しなんだろうけど、もう何年も会ってないような感覚だ。


「「「清水!」」」  「「茜!」」


「ねえ、勇者達全員、驚いているんだけど、サーシャが清水茜だってこと説明してないの?」

「サリアの所為でしょうが!私だって言いたかったわよ。でもドミトリアスに会うまで、サリアの姿・性格・強さ全てが一切不明だった。私の本名を言ったら、存在隠蔽が解除されて、サリアに見つかる危険性もあったし、場合によっては殺される危険性もあった。だから桜木君達には事情を説明せず、私の姿もテルミア王国の王城にいる人達に対してのみ、姿を偽装していたのよ」

「ふ~ん、なんか私のせいで、色々と迷惑を掛けたってことね。一部の人間のみ偽装するって、サーシャも器用な事するわね」

「サリア様、軽いです。サーシャ様に関してのみ、全ての原因はサリア様にあるんですよ」

そう!私に関してのみ、全てサリアが原因なのよ。

「う、わかっているわよ。もうお仕置きは嫌だからね。私も悪魔討伐に参加するわ。元々、デモゴルゴン、スフィア、私の3人が引き起こした事だからね」

周りを伺うと、全員が私達がの話を聞いてかポカーンとしていた。あ、ようやく桜木君・竜崎君・久保君・美香・夕実が駆けつけて来た。

春人
「清水がサーシャだったのか!邪族の件はどうなったんだ?」

美香
「茜がサーシャだったの!邪族の件はどうなったのよ?」

真也・義輝
「清水、生きていたのか!!!」

夕実
「茜、生きていたの!!!」

うん?

2人と3人で言っている事が違くない?竜崎君と久保君と夕実は、私が死んだと思っているの?

「えーと、とりあえず私は生きているわよ。簡単に言うと、邪族になったんだけど、邪族は邪族でも最上級の邪神になったの。その後、人を多く救いすぎて女神にクラスチェンジしたのよ」

「「「「「はあ!?」」」」」

まあ、そういう反応になるよね。

「ところで、なんで死んだ事になっているの?」
「「あ!?」」

この反応、桜木君と美香がそう言ったんだね。

竜崎君、久保君、夕実の首だけが『ギギギギギギ』と効果音が鳴るくらい、ゆっくりと桜木君と美香の方へ向いた。

「「「春人(君)、美香、説明しろ!!!今の今まで、清水(茜)は死んだと思っていたぞ(よ)!!!」

「「えーーーと」」

うーん、状況が読めてきたわ。あの時の事件で、私が死んだ事になっているのね。その方が、全員の士気を高めれるし一致団結するからね。

「あのさ、私の事は後できちんと説明するから、その時に桜木君と美香に聞きましょうよ。周りの人達が呆然としているわよ」

「-----そうだね。春人君と美香には、ゆ~~くりと話し合う必要があるね」
「「そうだな」」

あははは、3人とも相当怒っているわね。

「と、とにかく清水が生きていて良かった。みんなを騙していたのは悪かったけど、俺達もあの件以降、連絡が取れていなかったから心配したんだ。探そうにも情報は一切ないし、本当に死んでいるかもしれないとさえ思ってしまった」

「うん、夕実・義輝・真也、ごめんね。あの時以来、私も茜と会っていないから事情がわからないのよ。春人同様、もしかしたら死んでいるかもしれないとさえ思っていた----でも、こうやって再会できた。茜は生きている!」

「-----そうだね、茜が生きている!春人君と美香からは死んだと聞かされていたから、またこうやって話し合えると思わなかったよ-------茜、生きていてくれてありがとう」

「夕実の言う通りだ。俺も義輝も死んだと思っていた。清水が生きていてくれて良かった」

「ああ、そうだな。他のクラスメイト達も喜ぶだろう」


あはは、みんな私のために泣いてくれているんだ。--------嬉しいよ。




「----ところで、清水が生きていてくれたのは凄く嬉しいんだけど、そろそろ状況を説明して欲しい。俺達も国王や王妃様も虫を通して清水を見ていたんだけど、映像だけで声は聞こえなかったんだ。きちんとした事情を知っているのは、佐江さんと努さんだけなんだよ」

ああ、そういえばそうだったわね。

「うう、感動の再会ですね、サリア様。あ、佐江さん、努さん、お久しぶりです」

「ちょっと、佐江、努!なんで声を聞かせなかったのよ。映像だけじゃあ、わかるわけないでしょ!!」

テイルとサリアの声で、ポカーンと見ていた2人の男女が前に出てきたわ。

「はじめまして、サーシャ。私が東伍佐江よ。そしてサリア、久しぶりね。事情を説明していないのは、きちんとした理由があるの。サーシャを監視している時、時折殺気や威圧が飛んできて、私や努は何度も死にかけたのよ。少しでも機嫌を損ねたら確実に殺されると思ったわ。それなら、ここにいる全員に事情を説明せず、サーシャ本人から言ってもらった方が良いかなと思ったのよ」

あー、そういえば、ダンジョン攻略中、暇な時は佐江と努で遊んでいたっけ?あちゃあ、あれが原因で、佐江と努に恐怖を埋め込んでしまったのか。

「サーシャ、そんな事してたの?」

「まあね。ダンジョン攻略中、堂々と人を監視しているから暇な時に遊んでいたのよ。やろうと思えば、そのまま討伐出来たけど、その時点では佐江と努の事情を知らなかったから放置しておいたわ。まあ、人を勝手に監視したんだから一種の罰ゲームね」

「サーシャ、初めまして、森本努です。監視していたことは謝罪します。私達としてもオリュンプスの最下層には行っていなかったので、何があるか知りたかったのです。そして最下層に行けば、サリアがスフィアを追い出す理由も、より明確にわかるのではないかと思い、失礼を承知で監視させてもらいました。ドミトリアスさんやサリアがサーシャに説明してくれた事で、私と佐江はサリアの事を上部でしか判断していなかった事がわかりました。------サリア、あの時はすいませんでした」

「もっと親身に接しておくべきだったわ。サリア、ごめんなさい」

「な、な、なによ!いきなり私に謝らないでよ!ま、まあ、わかってくれたのなら許してあげるわ!」

「そういう理由なら、私も許すわ。さて、まずは桜木君達やエルフの国王様と王妃様に、一から説明しないといけないわね」

みんな混乱しているからね。時間はかかるけど、私のこれまでの旅を話していきましょう。

「それでは、執務室の方へ案内しましょう。軽く飲み物でも飲みながら、サーシャに話してもらいましょう」

そうね、話は絶対長くなるから、落ち着ける場所がいいわね。
早速、移動しましょう。


○○○


移動中、桜木君達が私に話しかけてくるかな~と思ったら、桜木君と美香が由美や久保君、竜崎君に質問攻めにあっていた。私の事をどう説明していたのだろうか?少し聞き耳を立てておこう。


《春人君、美香、どういう事か説明して下さい。茜が生きていた事は凄く嬉しいですよ!それじゃあ、王城でのあれは演技だったんですか!》

《是非、説明してもらいたいね。『自分で殺した』とクラス全員の前で宣言したよな。仲間の俺達にも、内緒にする明確な理由を言ってもらおうか!》

《ああ、義輝の言う通りだ。俺達が納得出来る理由を説明しろ!》

あー、桜木君が私を殺した事にして、その場を収めたんだ。どんな演技だったのだろうか?後で聞いてみよう。

《みんな、落ち着いて聞いてくれ。これは美香とマーカスさんの3人で決めた事なんだ。まず、カプリースボックスがあった場所には手紙が置いてあって、清水はいなかった。手紙の内容は、邪族にはなったけど、姿が変わっていないというものだった。ただ、清水が俺達の元へ戻って来た場合、女神サリアの件で大きく迷惑を掛ける可能性があるから、テルミア王国内でひっそりと暮らすと書いてあったんだ》

《ちょっと待って下さい。その時点でなら王都内にいますよね?どうして連れ戻さなかったんですか?》

《王城の中には、邪族によって家族を殺された者もいる。清水が戻って来た場合、最悪暗殺される可能性があるからだよ》

《う、確かにありえますね》

《それなら、王都を出発した後、どうして俺達に言わなかったんだ?》
《真也の言う通りだ》

《下手に言ったら、サリアに勘付かれるからだよ》
《みんな、黙っててごめん!》

どうやら全員納得したようね。

「サリア様は、この人達の絆を腹いせで断ち切ったんですよ!」
「う!我ながら、悪い事をしたと思っているわよ」

「おーーい、みんな納得出来た~~?」

「あ!ごめん!茜と離れた後、色々とあったのよ」

「そうみたいね。こっちこそ、本当の事を言えなくてごめんね。今はサリアとも和解して、こうして地上に連れて来たの。こっちの小さい子は精霊のテイルよ」

「サリアよ。----その-----私の所為で迷惑を掛けたみたいね。-----ごめん」
「精霊のテイルです」

多分、美香と夕実はサリアのようなツンデレタイプの子には-----

「ええーーこの子、凄く可愛い!この子がサリアなの!私のイメージとかけ離れているんだけど!」

「本当です。あの女神がこんなツンデレタイプの可愛い女の子だったなんて!てっきり、もっと傲慢な20歳ぐらいの女だと思ってました。精霊のテイルさんも凄くいいし、組合せがバッチリです!」

あちゃあ~、やっぱり美香と夕実はこの手のツンデレタイプの女の子に目がないのよね~。少しずつサリアに近づいているし。スフィアタリアに召喚される少し前から、ツンデレ系女の子がメインに登場する学園アニメを3人で見てて、美香と夕実は結構ハマっていたのよね。現実には、そんな女の子(14歳)存在するわけないんだけど、ここにきてサリアが、まともに当てはまっているわ。

「ちょっと何、なんなの!サーシャ、この2人なんか変よ」

「変じゃないわ。美香と夕実は、それで正常なのよ。サリアは2人の生け----2人と遊んでいてね」

「ちょっと、今なんて言おうとしたのよ!」
「「抱きつかせて~~」」

「ぎゃあ~~、なんで抱きついてくるのよ~~」

「サーシャ様、今『生贄』と言いかけませんでしたか?」
「まあ、迷惑を掛けたから、軽い罰ゲームと思えば良いわよ」

暴走している美香・夕実に関しては、サリアに任せましょう。
これで、桜木君と話せるわね。

「清水、とにかく生きてて良かったよ」

「何も言えなくてごめんね。あの時点では、どうなるかわからなかったから、ああするしかなかったのよ。他にみんなに言ってない事情もあるしね。ところで、みんな呼び方変えたの?」

「ああ、結束力を固めるために、苗字でなく名で呼ぶ事にしたんだ」

それなら私も合わせるか。でも、いざ呼び捨てで言うのも妙に恥ずかしいな。

「ああ、なるほど。------それなら私も----春人君と言わせてもらって良いかな?」

「---あ、ああ、も、もちろん良いよ。それなら俺も茜と呼ばせてもらおうかな?」

「ええ、良いわよ」

うーん、やはりどこか恥ずかしい。

「良かったな~、春人。みんなの前で宣言した甲斐があったじゃないか~」
「そうそう、あれには俺も義輝も驚いたな~~」

?なんか妙にわざとらしく言うわね?

「なんて宣言したの?」

「「ああ、それはな」」

「お、おい、それは今言う必要ないだろ!言うんだったら、俺が直接茜に言うよ!」

「「ほほう、まあ頑張ってくれ」」
「サーシャ様に何を言いたいのかわかりましたよ。春人さん、頑張れ!」

真也君、義輝君、テイルが私と春人君を見て、ニヤッとしているのが気になるわね。
テイルも知らない間に、2人と意気投合しているわ。


?春人君は一体何を宣言したのだろうか?


○○○


その頃のエルフの国王と王妃(見た目40代)

《なあ、私達国王と王妃なのに、完全に空気扱いされていないか?》
《奇遇ですね。私も同じ事を思いました。私達だけ、紹介してもらってませんしね》

《下手に言わない方が良いな?》
《言った瞬間、消し炭にされそうで怖いですね》

《これからサーシャ様との会談が始まるのか。正直、逃げたい気分だ。今でも、足が震えている》

《私もですよ。ずっと監視していたんだもの。ここに訪れた瞬間、消し炭になる覚悟をしていました》

《国王様、王妃様、お気持ちお察しします。私もバーンもサーシャを知っていますが、未だに一言も話していません》

《まあ、仕方ないだろう。2人のハイエルフはともかく、2人の女神に関しては機嫌を損ねない方がいい。黙って監視するのは悪いと思っていたが、まさか虫を通してこっちを見ただけで、力が伝わるとは思わなかったぜ。サーシャの奴、ダンジョン攻略中、春人達以外を威圧して遊んでいたからな。当然、そこには俺達や国王達も入っていて、何度も殺される恐怖を感じたな。今でも怒っているのかもな》

《何日も監視され続けていたんだもの、怒っているに決まっているでしょう。執務室に到着したら、まず謝罪しましょう》



聞き耳を立てていたけど、全然怒ってません。単に存在を忘れていただけです。あと、やっぱりバーンさん達も見ていたんだね。メンドイから、春人君達以外はどうなってもいいやと思って、軽い威圧や殺気で遊んでいただけです。うーん、佐江と努同様、恐怖を植え付けてしまったようだ。


私からも、バーンさん達に謝っておこう。
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