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第六章 家族で異世界転移した日本人との出会い
4、プリン堂に泊まる~スパイだらけの従業員!?
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緑茶を解析して生成したので、花織さんに入れてもらって久しぶりにお茶を頂く。
「ああ……何年ぶりだろう」
「……落ち着く~」
両親の感動が分からないのか、花音ちゃんはきょとんとした顔をしている。
「和也や花音は、ほとんど飲んだ事ないからねぇ」
お茶請けに出したチョコレートなどの方には驚いたようだ。
「これ……お母さんのプリンやケーキに負けてない」
ぽち、たま、うさ子が、花音ちゃんが近づくと素早く逃げていく。
花音ちゃんが諦めかけると、近づいてもふもふを一瞬だけ味あわせる……。
『カイト、おにごっこ~たのし~!』
『『あそぶ~!』』
うるうるとした目で見上げ、そ~と近づこうとする花音ちゃんをギリギリまで引き付けてかわす。
『……ほどほどにね』
『『『だいじょうぶ~』』』
ブランカさんマリアさんが、自分達も通った道と……微笑ましそうに見守っていた。誰にでも簡単にもふもふを許す、ぽち、たま、うさ子ではないのだ。
ぽち、たま、うさ子の気を引こうとして、花音ちゃんが専用のミルクを要求してきた。器に移すとなにやらやっているのだが、なかなか上手くいかないよう。
「生クリーム? そのミルクじゃ加熱してあるから無理じゃ……」
花織さんの言葉が終わらないうちに、ミルクが泡だってきて生クリーム? になった。本来ありえないのに、魔法の力技で可能にしたようだ。
どうやら本来手に入らない、ぽち、たま、うさ子用のケーキ用生クリームが手に入ったらしい。
『ぽち、たま、うさ子。花音ちゃんに、ご褒美もふもふ~』
『わかった~』『生クリーム? おいしそ~』
『ご褒美~!」
花音ちゃん作戦の成功に気をよくして、モフモフしている……。
「へえ~、随分苦労したみたいだね。君も、その50年前の転移者のおじいさんも……。しかし隣の王家の領土だけど、そんなに近くに日本人が居たんだね」
「ボク達と違って、転移したのは聖王都みたいですけど」
「僕達一家は、転移してから一番近いこの町で、ず~っと暮らしてるんだ。この町についてからは、少しも冒険はしてないんだよね」
「……少しもですか?」
「うん、マリアクアの町から一度も出てないね」
ボクも事件に巻き込まれ、狙われている事を知らなければ、ぽち、たま、うさ子が成長するまでマルシカの町に居ただろう。
おそらくこの二人は、子供達の安全のためにこの町に住み続けている。
「……だが、いつ何があってもいいように修練は積んでいるんだよ。フッフフフ」
「僕のレベルは、すでに100を超え限界値になっている~!」
「剣術レベルマックス」
「体術レベルマックス」
「幻影魔法レベルマックス!」
言いながら、どんどん鼻が伸びていく。……おいっ!
花織さん花音ちゃんが冷たい視線を飛ばしていた……。
「いや~、ピノキオのネタは、こちらの世界の人間には分からないからねぇ。ハッハハハ……」
修練って、どういう修練なんだ? ネタの練習で、家族に何度も見せているらしい……。
「「手品のタネが魔法って反則~」」
ボクが思っていて口に出さない事も、花織さん花音ちゃんは容赦ない。繰り返し親父ギャグを聞かせるとか気をつけよう。
どうやら長男は家出中だというのだけど原因は、まさか……。
「……それほどの使い手とは、後で一手ご指南をお願いできますか?」
レベルマックス発言を信じてしまったブランカさんに、何となくジョークだと気付いたマリアさんが、あきれたように首を振っている。
その日は、プリン堂に泊まる事になった。夕飯の主食にどうかと、お米のご飯を出して見るとすごく喜んでくれた。
もちろん、お茶や紅茶やコーヒーも飲む事ができる。
ボクも、お湯を沸かす魔道具くらいは必要かもしれないと思う。カップ麺もあるしね……。
お米のご飯を食べながら二人が泣いている。
十年ぶりの味覚に思わず涙が出てしまったようだ。
「何だか、懐かしい味……」
花音ちゃんも呟く。お米のご飯は日本人のソウルフードだね……。
異世界の朝は、太陽の恩恵を最大限に受けるため夜明けと共に始まる。
プリン堂も例外ではなかった。
朝早くからスイーツ作りが始まる。
花織さん花音ちゃんは勿論のこと、二人に比べると作業時間は遅いが父親の和弘さんまで調理に参加している。
限定販売の売り手市場。少し高めの値段設定である。
聞いて驚く一個3000マール……前の世界なら、暴動になりそうだ。
限定200一人5個まで、値段は高いけど平民の贅沢レベルという事で、1時間ほどで売り切れるらしい。
二つ目の鐘がなり、人が並び始める。8時を少し回って開店になる。
売り場の方には、8~10時で契約しているという三人の売り子が、7時になる前に来ていた。
「「「おはようございま~す」」」
和弘さんが売り場に来て相手をしている。
「おはようございます。準備が出来るまで、待っていてくださいね」
「店長、お客様ですか?」
「うん、遠くから親戚が来てるんだ……」
「へ~、親戚の方もプリンとか作れちゃうんですか?」
「……ん、料理はからっきしだっていってたね~」
なんだか、奥のほうをうかがっている気配がする……。
『カイト、怪しい鼓動してる』
『けいかいしてる、におい?』『……なんか変?』
売り子の三人の中に気を付けた方がよい人が混じっているらしい。
『誰が、あやしいの?』
『『『さんにん、ぜんぶ~!』』』
「ああ……何年ぶりだろう」
「……落ち着く~」
両親の感動が分からないのか、花音ちゃんはきょとんとした顔をしている。
「和也や花音は、ほとんど飲んだ事ないからねぇ」
お茶請けに出したチョコレートなどの方には驚いたようだ。
「これ……お母さんのプリンやケーキに負けてない」
ぽち、たま、うさ子が、花音ちゃんが近づくと素早く逃げていく。
花音ちゃんが諦めかけると、近づいてもふもふを一瞬だけ味あわせる……。
『カイト、おにごっこ~たのし~!』
『『あそぶ~!』』
うるうるとした目で見上げ、そ~と近づこうとする花音ちゃんをギリギリまで引き付けてかわす。
『……ほどほどにね』
『『『だいじょうぶ~』』』
ブランカさんマリアさんが、自分達も通った道と……微笑ましそうに見守っていた。誰にでも簡単にもふもふを許す、ぽち、たま、うさ子ではないのだ。
ぽち、たま、うさ子の気を引こうとして、花音ちゃんが専用のミルクを要求してきた。器に移すとなにやらやっているのだが、なかなか上手くいかないよう。
「生クリーム? そのミルクじゃ加熱してあるから無理じゃ……」
花織さんの言葉が終わらないうちに、ミルクが泡だってきて生クリーム? になった。本来ありえないのに、魔法の力技で可能にしたようだ。
どうやら本来手に入らない、ぽち、たま、うさ子用のケーキ用生クリームが手に入ったらしい。
『ぽち、たま、うさ子。花音ちゃんに、ご褒美もふもふ~』
『わかった~』『生クリーム? おいしそ~』
『ご褒美~!」
花音ちゃん作戦の成功に気をよくして、モフモフしている……。
「へえ~、随分苦労したみたいだね。君も、その50年前の転移者のおじいさんも……。しかし隣の王家の領土だけど、そんなに近くに日本人が居たんだね」
「ボク達と違って、転移したのは聖王都みたいですけど」
「僕達一家は、転移してから一番近いこの町で、ず~っと暮らしてるんだ。この町についてからは、少しも冒険はしてないんだよね」
「……少しもですか?」
「うん、マリアクアの町から一度も出てないね」
ボクも事件に巻き込まれ、狙われている事を知らなければ、ぽち、たま、うさ子が成長するまでマルシカの町に居ただろう。
おそらくこの二人は、子供達の安全のためにこの町に住み続けている。
「……だが、いつ何があってもいいように修練は積んでいるんだよ。フッフフフ」
「僕のレベルは、すでに100を超え限界値になっている~!」
「剣術レベルマックス」
「体術レベルマックス」
「幻影魔法レベルマックス!」
言いながら、どんどん鼻が伸びていく。……おいっ!
花織さん花音ちゃんが冷たい視線を飛ばしていた……。
「いや~、ピノキオのネタは、こちらの世界の人間には分からないからねぇ。ハッハハハ……」
修練って、どういう修練なんだ? ネタの練習で、家族に何度も見せているらしい……。
「「手品のタネが魔法って反則~」」
ボクが思っていて口に出さない事も、花織さん花音ちゃんは容赦ない。繰り返し親父ギャグを聞かせるとか気をつけよう。
どうやら長男は家出中だというのだけど原因は、まさか……。
「……それほどの使い手とは、後で一手ご指南をお願いできますか?」
レベルマックス発言を信じてしまったブランカさんに、何となくジョークだと気付いたマリアさんが、あきれたように首を振っている。
その日は、プリン堂に泊まる事になった。夕飯の主食にどうかと、お米のご飯を出して見るとすごく喜んでくれた。
もちろん、お茶や紅茶やコーヒーも飲む事ができる。
ボクも、お湯を沸かす魔道具くらいは必要かもしれないと思う。カップ麺もあるしね……。
お米のご飯を食べながら二人が泣いている。
十年ぶりの味覚に思わず涙が出てしまったようだ。
「何だか、懐かしい味……」
花音ちゃんも呟く。お米のご飯は日本人のソウルフードだね……。
異世界の朝は、太陽の恩恵を最大限に受けるため夜明けと共に始まる。
プリン堂も例外ではなかった。
朝早くからスイーツ作りが始まる。
花織さん花音ちゃんは勿論のこと、二人に比べると作業時間は遅いが父親の和弘さんまで調理に参加している。
限定販売の売り手市場。少し高めの値段設定である。
聞いて驚く一個3000マール……前の世界なら、暴動になりそうだ。
限定200一人5個まで、値段は高いけど平民の贅沢レベルという事で、1時間ほどで売り切れるらしい。
二つ目の鐘がなり、人が並び始める。8時を少し回って開店になる。
売り場の方には、8~10時で契約しているという三人の売り子が、7時になる前に来ていた。
「「「おはようございま~す」」」
和弘さんが売り場に来て相手をしている。
「おはようございます。準備が出来るまで、待っていてくださいね」
「店長、お客様ですか?」
「うん、遠くから親戚が来てるんだ……」
「へ~、親戚の方もプリンとか作れちゃうんですか?」
「……ん、料理はからっきしだっていってたね~」
なんだか、奥のほうをうかがっている気配がする……。
『カイト、怪しい鼓動してる』
『けいかいしてる、におい?』『……なんか変?』
売り子の三人の中に気を付けた方がよい人が混じっているらしい。
『誰が、あやしいの?』
『『『さんにん、ぜんぶ~!』』』
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