アルテミスの着ぐるみ美少女たち

　俺宛に送られてきた成海先生からのメールには、一度採寸のために指定の場所に行くようにとあった。もちろんそれは美少女着ぐるみのためだった。
　考えてみれば俺は自分も内臓になるといってしまったから、志桜里の美少女着ぐるみ姿を見るために…

　そのメールにあった指定の場所は聞いたことがあった。美少女着ぐるみの「内臓」から聞いたことのある有名な製作会社だった。

　　俺は美少女着ぐるみの着替えを見たことがあった。もちろん野郎の方だ。とあるコスプレイベント会場に被写体の警戒感を解くために友人から借りてきたゲームに登場する陸上自衛隊の制服を着ていた時の事だ。

 　その時更衣室でウロウロしていたら、外から帰ってきた美少女着ぐるみ（内臓は野郎）が元の姿に戻っていくのを目の当たりすることが出来た。やっぱり男が女になるのはいろいろと難しいことなんだと思った。

 　男と女では体形など違いすぎるから努力もそれなりにしないといけないようだった。まあ「男の娘」の中には本物の女よりも女らしい奴もいるけど。その時、話しかけた奴から美少女着ぐるみの「内臓」になるための苦労を聞くことが出来た。

　まず美少女きぐるみは、コスプレの中でも非常に金がかかるということだ。ある程度の衣装を用意しようとするとそれなりに予算は必要だけど、アニメキャラクターのマスクはそれらよりも高価ということだ。

　模型製作が得意な奴のなかにはマスクを自作するのもいるが、大抵はプロの製作者にオーダーすることになる。人気がある製作者になると発注してから納入されるまで数か月以上かかるという。

　マスクには能面のように顔面だけのものとウィッグを被るだけの簡単なものから、後頭部も一体になったものまでいろいろな構造のモノが存在する。
　また素材はアトラクションなどのイベントに使われていたアニメキャラクターのマスクはFRP（繊維強化プラスチック）で出来ている。これの方が熱による変形も少ないし寿命も長いという特徴があるという。

　だから、アニメマスクだけでも給料一か月分はすぐに無くなってしまう事もあるということだった。それにアニメマスクはオーダーメイドなので持っている奴の頭の形に合わせているので、他の人がかぶれない事も珍しくなかった。だから俺の場合はかぶっった事はなかった。OKもらった奴のアニメマスクにハマりそうもなかったからだ。

　だから美少女着ぐるみ体験などしたことなかったが、そんな自分が美少女着ぐるみの内臓になるとは、夢にもおもえないことだった。