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第1章
7. 緊急家族会議
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少し休憩の後、次は魔法の訓練を行う。
この頃になると、だいたい自分がなんの能力を持っているか理解することが出来た。
「(僕は水だろうなー。ある程度、生活魔法で使えるってことだけど、水だけは明らかに使える範囲を超えてるし。それにエリーも水だから、すぐに教えてもらえる人が側にいるってのもありがたい。)」
フェルが水魔法の能力持ちであることはエリーも納得していた。自分と同じく氷の彫刻が作れたり、ほとんど際限なく水を手の平から溢れ出すことが出来るからだ。
しかし、魔法訓練を終えた後、驚くべき事態が起こる。
たまたま、フェルが庭園のバラを母親に頼まれて摘んでいたとき、バラの棘で指を怪我してしまった。それを治そうと魔法を使ったのだが本来、少しの傷を塞ぐぐらいは皆出来るが、フェルは傷があった痕跡を無くす程の能力があった。
本人からすれば"あれ?"くらいだが、それを目撃したエリーはこの事実を雇い主へ報告することにした。
今回もエリーの報告を受け、緊急家族会議が行われる。"緊急"という言葉に騎士団で練習中のタジェットや仕事中の父様も集められた。
「突然のお呼びたて申し訳ございません。旦那様、奥様、フェンネル様のことでご報告がございます。」
「珍しいな、エリーがこんな改まって皆を集めるなんて。」
「そうですね。でも、フェルに何かあると聞くと納得してしまいますね。」
父様と母様は僕が魔法を使い出したのが異常に早かったので冷静な態度だった。
「フェルに関してはいつでも呼び出していいよ、何よりも一番に優先させるから!いや、むしろ何も無くても呼び出して構わないから!」
「私も大丈夫ですわ。何よりもフェルが大事ですもの。」
「僕もフェルが大事だよ。」
各々、フェルを大事に思っている発言をする。
場の雰囲気が和んでいると「今回集まって頂いたのは、フェンネル様は水魔法以外にも光魔法が使える2つの能力を持った方だったということです。」とエリーが発言した。
「そうなのか!?フェル!?」
「…そうみたい。自分ではそんな大したことしてないんだけど、エリーが凄いって言ってたから…。」
「フェル、何かしたの?」とイリスが聞いてくる。
「今日、母様に頼まれてたバラを摘んでたんだけどその時、棘で怪我しちゃって…魔法で治そうとしただけなんだけど、傷まで消えちゃって…。」と僕が告げると皆、驚いた表情をした。
「怪我!?怪我は大丈夫なのか!?いや、魔法で治したんだった…いや、それより…流石、フェル!!やっぱりフェルは天才だ!!」とタジェットは立ち上がり僕を抱き締める。
「えっ…でも傷を治しただけだよ…?そんなに凄いことじゃないし…。」
「いや、凄いことなんだよ!小さな傷を塞ぐくらいは皆出来るけど、傷口を無くすことはその能力を持ってないと出来ないんだ!だから、フェルは2つの能力を持ってるってことだよ。」
タジェットはニコニコしながら僕の肩に手を置き、説明してくれた。
「…そうなんだ。でもどうしよう…2つも能力があるってわかったら皆怖がらない…?」
薄々ではあったが、エリーが光魔法特有の治癒を行った自分を見て驚く姿から、これが異常なことであると分かってしまった。
しかし、タジェット、ロザリーナ、ディルそれぞれに「そんなことない!」と励まされると自然と笑みがこぼれた。
ただ今後のことについて不安があるのも事実だった。他の人と違う珍しい能力がある程、悪目立ちをするのは避けられない。
「フェル、これから学院に入学する時、自分の能力がどんなものか測る機会がある。その時は別室で行う様に頼んでみよう。学院には水魔法の能力者として申請して、フェルは本当に信頼できる友人が出来たら光魔法のことを教えてあげなさい。世の中には色んな人がいるからね…。学院の上層部には私が話を通しておくから、きっと何かあった時に手助けしてくれるだろう。だからフェルも今持っている能力を活かして先生達や友人達の助けになって欲しい。約束できるかい?」
父様は僕に優しく尋ねる。
僕は僕を愛してくれる家族の為に精一杯頑張ろうと心に誓った。
この頃になると、だいたい自分がなんの能力を持っているか理解することが出来た。
「(僕は水だろうなー。ある程度、生活魔法で使えるってことだけど、水だけは明らかに使える範囲を超えてるし。それにエリーも水だから、すぐに教えてもらえる人が側にいるってのもありがたい。)」
フェルが水魔法の能力持ちであることはエリーも納得していた。自分と同じく氷の彫刻が作れたり、ほとんど際限なく水を手の平から溢れ出すことが出来るからだ。
しかし、魔法訓練を終えた後、驚くべき事態が起こる。
たまたま、フェルが庭園のバラを母親に頼まれて摘んでいたとき、バラの棘で指を怪我してしまった。それを治そうと魔法を使ったのだが本来、少しの傷を塞ぐぐらいは皆出来るが、フェルは傷があった痕跡を無くす程の能力があった。
本人からすれば"あれ?"くらいだが、それを目撃したエリーはこの事実を雇い主へ報告することにした。
今回もエリーの報告を受け、緊急家族会議が行われる。"緊急"という言葉に騎士団で練習中のタジェットや仕事中の父様も集められた。
「突然のお呼びたて申し訳ございません。旦那様、奥様、フェンネル様のことでご報告がございます。」
「珍しいな、エリーがこんな改まって皆を集めるなんて。」
「そうですね。でも、フェルに何かあると聞くと納得してしまいますね。」
父様と母様は僕が魔法を使い出したのが異常に早かったので冷静な態度だった。
「フェルに関してはいつでも呼び出していいよ、何よりも一番に優先させるから!いや、むしろ何も無くても呼び出して構わないから!」
「私も大丈夫ですわ。何よりもフェルが大事ですもの。」
「僕もフェルが大事だよ。」
各々、フェルを大事に思っている発言をする。
場の雰囲気が和んでいると「今回集まって頂いたのは、フェンネル様は水魔法以外にも光魔法が使える2つの能力を持った方だったということです。」とエリーが発言した。
「そうなのか!?フェル!?」
「…そうみたい。自分ではそんな大したことしてないんだけど、エリーが凄いって言ってたから…。」
「フェル、何かしたの?」とイリスが聞いてくる。
「今日、母様に頼まれてたバラを摘んでたんだけどその時、棘で怪我しちゃって…魔法で治そうとしただけなんだけど、傷まで消えちゃって…。」と僕が告げると皆、驚いた表情をした。
「怪我!?怪我は大丈夫なのか!?いや、魔法で治したんだった…いや、それより…流石、フェル!!やっぱりフェルは天才だ!!」とタジェットは立ち上がり僕を抱き締める。
「えっ…でも傷を治しただけだよ…?そんなに凄いことじゃないし…。」
「いや、凄いことなんだよ!小さな傷を塞ぐくらいは皆出来るけど、傷口を無くすことはその能力を持ってないと出来ないんだ!だから、フェルは2つの能力を持ってるってことだよ。」
タジェットはニコニコしながら僕の肩に手を置き、説明してくれた。
「…そうなんだ。でもどうしよう…2つも能力があるってわかったら皆怖がらない…?」
薄々ではあったが、エリーが光魔法特有の治癒を行った自分を見て驚く姿から、これが異常なことであると分かってしまった。
しかし、タジェット、ロザリーナ、ディルそれぞれに「そんなことない!」と励まされると自然と笑みがこぼれた。
ただ今後のことについて不安があるのも事実だった。他の人と違う珍しい能力がある程、悪目立ちをするのは避けられない。
「フェル、これから学院に入学する時、自分の能力がどんなものか測る機会がある。その時は別室で行う様に頼んでみよう。学院には水魔法の能力者として申請して、フェルは本当に信頼できる友人が出来たら光魔法のことを教えてあげなさい。世の中には色んな人がいるからね…。学院の上層部には私が話を通しておくから、きっと何かあった時に手助けしてくれるだろう。だからフェルも今持っている能力を活かして先生達や友人達の助けになって欲しい。約束できるかい?」
父様は僕に優しく尋ねる。
僕は僕を愛してくれる家族の為に精一杯頑張ろうと心に誓った。
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